第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的等
1 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的 マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適時適切な修繕工事を行うことが必要です。また、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図る改修工事を行うことも望まれます。 そのためには、次に掲げる事項を目的とした長期修繕計画を作成し、これに基づいて修繕積立金の額を設定することが不可欠です。 @ 将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする。 A 計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。 B 修繕工事及び改修工事に関する長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図る。
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〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆マンションの居住環境や資産価値を良好に維持するためには、建物及び設備の経年劣化に対応して適時適切に修繕工事を行うことが必要です。さらに、区分所有者の要望など必要に応じて、建物及び設備の耐震性や断熱性などの性能を新築時の水準から向上させる改修工事を行うことが望まれます。
◆修繕工事及び改修工事を適時適切に、また円滑に実施するためには、長期修繕計画を作成し、この計画を踏まえて計画修繕工事を実施することと、計画修繕工事に要する費用に充当するため、この計画に基づいて修繕積立金の額を設定し積み立てることが不可欠です。
◆具体的には、将来の一定期間に見込まれる修繕工事及び改修工事について、@マンションの形状、仕様などに応じた内容、A経済性(順序、集約化など)、立地条件、劣化状況などを考慮したおおよその時期、B必要となる概算の費用などを明確にします。
◆また、区分所有者が負担する修繕積立金の額の根拠としても、その使途となる将来の修繕工事及び改修工事の内容等を明示することが必要です。
◆長期修繕計画の作成により、どのような工事を、おおよそいつごろ、どの程度の費用をかけて行うのか、そのためにどの程度の資金が必要かなどについて、区分所有者が十分理解し、その内容を合意しておくことによって、計画修繕工事を実施するための合意形成が円滑になると考えられます。
◆建物の敷地、構造及び設備の最低基準として「建築基準法」が定められています。この法律の中でマンションなどの建築物の所有者又は管理者は、敷地や建物・設備を常に関係法令に適合している状態に維持するように努め、また、必要に応じ、維持保全(点検や修繕など)に関する準則(複数の計画相互の整合性を図るもの)又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならないと定められています。
〔参 考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〇適正化指針(二 管理組合が留意すべき基本的事項 5 長期修繕計画の策定及び見直し等)
| マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要である。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておくことが必要である。 (以下略) |
〇標準管理規約 第32条(業務)第3号
第32条 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。 三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務 |
〇標準管理規約 第32条(業務)関係コメント@
| @ 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。 |
〇建築基準法 第8条(維持保全)
第八条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。 2 第十二条第一項に規定する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。この場合において、国土交通大臣は、当該準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。 |
(注)「建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針を定める件」 (昭和60年3月19日 国土交通省告示第606号)
2 基本的な考え方 一 長期修繕計画の対象の範囲 単棟型のマンションの場合、管理規約に定めた組合管理部分である敷地、建物の共用部分及び附属施設(共用部分の修繕工事又は改修工事に伴って修繕工事が必要となる専有部分を含む。)を対象とします。 また、団地型のマンションの場合は、多様な所有・管理形態(管理組合、管理規約、会計等)がありますが、一般的に、団地全体の土地、附属施設及び団地共用部分並びに各棟の共用部分を対象とします。
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〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆単棟型のマンションの場合、標準管理規約では、敷地、建物の共用部分及び附属施設(建物の専有部分を除く部分)の管理については、「管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。」としています。
◆また、共用部分の排水管の取替えを行うために、パイプシャフトに面した専有部分の壁を一旦撤去した後に修復することがあります。このような共用部分の修繕工事及び改修工事に伴う専有部分の修繕工事は、管理組合が費用を負担しますので、長期修繕計画の対象に含むこととなります。
◆計画修繕工事の実施におけるトラブルを避けるためにも、標準管理規約(単棟型)の第7条(専有部分の範囲)、第8条(共用部分の範囲)などを参考にして、建物の共用部分の範囲(所有区分、使用区分及び管理区分)を整理し、管理規約に明示しておく必要があります。
◆団地型のマンションの形態としては「団地内の土地と集会所等の附属施設が数棟の区分所有者全員の共有となっているもの」と「土地の共有関係は各棟ごとに分かれ、集会所等の附属施設が数棟の区分所有者全員の共有となっているもの」があります。 前者の場合、土地、附属施設及び団地共用部分を対象とした長期修繕計画と各棟ごとの共用部分を対象とした長期修繕計画を作成します。修繕積立金は、それぞれの長期修繕計画に基づいて設定した団地修繕積立金と各棟修繕積立金に区分して積み立てます。後者の場合、団地共用部分及び附属施設を対象とした長期修繕計画と各棟ごとの敷地と建物の共用部分を対象とした長期修繕計画を作成します。 なお、団地を構成する棟の数、各棟の建物の規模、構造、建物の完成時期などの差異について十分考慮する必要があります。
◆組合管理部分の修繕工事には、@経常的な補修工事(管理費から充当)、A計画修繕工事及びB災害や不測の事故に伴う特別修繕工事があります。このうち、長期修繕計画は、計画修繕工事を対象としたものです。
◆例えば、管理組合が、共用部分の排水管の取替えに併せて、専有部分の排水管の取替えを行うと工事を効率的に行うことができ、その費用も軽減されますが、区分所有者の費用の負担が問題となります。この場合、区分所有者が、共用部分の長期修繕計画に合わせて専有部分の修繕工事の計画を作成し、必要な費用を計画的に積み立てておくことが望まれます。
〔参 考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〇適正化指針(二 管理組合が留意すべき基本的事項 3 共用部分の範囲及び管理費用の明確化)
管理組合は、マンションの快適な居住環境を確保するため、あらかじめ、共用部分の範囲及び管理費用を明確にし、トラブルの未然防止を図ることが重要である。 特に、専有部分と共用部分の区分、専用使用部分と共用部分の管理及び駐車場の使用等に関してトラブルが生じることが多いことから、適正な利用と公平な負担が確保されるよう、各部分の範囲及びこれに対するマンションの区分所有者等の負担を明確に定めておくことが望ましい。 |
〇標準管理規約 第21条(敷地及び共用部分等の管理)
第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。 2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。 |
〇標準管理規約 第21条(敷地及び共用部分等の管理)関係コメント
@ 駐車場の管理は、管理組合がその責任と負担で行う。 A バルコニー等の管理のうち、管理組合がその責任と負担において行わなければならないのは、計画修繕等である。 B 本条ただし書の「通常の使用に伴う」管理とは、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入れ替え等である。 C 第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。 D 配管の清掃等に要する費用については、第27条第三号の「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。 |
〇表 標準管理規約(単棟型)による区分
(注) ( )内は、該当条文
二 長期修繕計画の作成の前提条件 長期修繕計画の作成に当たっては、次に掲げる事項を前提条件とします。 @ 推定修繕工事は、建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持、回復させる修繕工事を基本とする。 A 区分所有者の要望など必要に応じて、建物及び設備の性能を向上させる改修工事を設定する。 B 計画期間において、法定点検等の点検及び経常的な補修工事を適切に実施する。 C 計画修繕工事の実施の要否、内容等は、事前に調査・診断を行い、その結果に基づいて判断する。
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〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆新築マンションの場合、経年に伴う物理的な劣化などにより低下する性能・機能を新築時の水準に維持、回復すること(修繕)が基本となります。
◆既存マンションの場合、経年に伴う生活様式や社会環境の変化等の社会的な要因などから、耐震性や断熱性など建物及び設備の性能・機能を新築時の水準から向上させること(改修)も必要となります。
図 マンションの補修・修繕・改修の概念図
 (出典:「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」/国土交通省) @ 改修:現状レベルを現時点で望まれるレベルまで回復させる(修繕+改良) A 修繕:現状レベルを新築当初のレベルまで回復させる B 補修:現状レベルを実用上支障のないレベルまで回復させる
◆マンションの建物及び設備の状態を良好に保つためには、日常的又は定期的にその状態(建物各部の不具合や設備等の作動異常など)を把握し、適切にその処置(消耗品の交換、作動調整、補修など)を行い、それを記録し、整理・保管しておくことが必要です。 一定規模以上のマンションでは、建築基準法や消防法などの法令で点検等の実施と報告が義務付けられています(法定点検)。その他の点検としては、一般的には管理業者に委託して日々行う「日常点検」、エレベーターなど保守会社等との契約に基づく「保守契約による点検」などがあります。
◆長期修繕計画の推定修繕工事は、設定した内容や時期はおおよその目安ですし、費用も概算です。したがって、計画修繕工事を実施する際は、その基本計画の検討時において、建物及び設備の現状、修繕等の履歴などの調査・診断を行い、その結果に基づいて内容や時期等を判断します。
〔参 考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〇管理標準指針(四 建物・設備の維持管理(一)保守点検の実施) 1 法定点検
| 標準的な対応 | 建築基準法等の関連法令に基づく建物・設備の法定点検について、年間計画を作成し、区分所有者等に周知したうえで実施している。 |
2 定期点検(法定点検以外)
| 標準的な対応 | 建物・設備に関して、定期的に点検を実施している。 |
〇管理標準指針(四 建物・設備の維持管理(四)大規模修繕工事の実施1大規模修繕工事の実施)
| 標準的な対応 | 適切な長期修繕計画に定められた時期を目安とし、調査・診断の結果に基づいて、計画された工事の要否、実施する工事内容等を決め、実施している。 |
〇表 マンションの法定点検 (内容は地域によって異なる場合があります。)
法定点検の名称 (関係する法令) |
点検の内容 |
点検の時期 |
特殊建築物等定期調査 (建築基準法 12条1項) |
調査 |
6か月〜3年の間で特定行政庁が定める時期 |
建築設備定期検査 (建築基準法 12条3項) |
検査 |
6か月〜1年の間で特定行政庁が定める時期 |
昇降機定期検査 (建築基準法 12条3項) |
検査 |
6か月〜1年の間で特定行政庁が定める時期 |
消防用設備等点検 (消防法 17条の3の3) |
機器点検 |
6か月に1回 |
報告は、3年に1回 (複合用途の場合は、1年に1回) |
| 総合点検 |
1年に1回 |
専用水道定期水質検査 (水道法 3条6項、34条) |
水質検査 |
1か月ごとに1回以上、臨時 |
| 消毒の残留効果等に関する検査 |
1日に1回以上 |
簡易専用水道管理状況検査 (水道法 3条7項、34条の2) |
水質検査 |
1年以内ごとに1回 |
| 水槽の掃除 |
1年以内ごとに1回 |
浄化槽の保守点検、清掃、定期検査 (浄化槽法 7条、10条、11条) |
保守点検 |
浄化槽の種類により1週間〜6か月ごとに1回以上 |
| 清掃 |
全ばつ気方式は6か月ごとに1回以上、 その他は1年に1回 |
| 水質検査 |
1年に1回 |
自家用電気工作物定期点検 (電気事業法 39条、42条) |
月次点検 |
1か月に1回 |
| 年次点検 |
1年に1回 |
※特定行政庁:建築主事(建築確認を行う資格者)を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいいます。 報告の窓口は、市町村の担当課、都道府県の出先機関の担当課、関係団体等です。
三 長期修繕計画の精度 長期修繕計画は、作成時点において、計画期間の推定修繕工事の内容、時期、概算の費用等に関して計画を定めるものです。 推定修繕工事の内容の設定、概算の費用の算出等は、新築マンションの場合、設計図書、工事請負契約書による請負代金内訳書及び数量計算書等を参考にして、また、既存マンションの場合、保管されている設計図書のほか、修繕等の履歴、劣化状況等の調査・診断の結果に基づいて行います。 したがって、長期修繕計画は、次に掲げる事項のとおり、将来実施する計画修繕工事の内容、時期、費用等を確定するものではありません。また、一定期間ごとに見直していくことを前提としています。 @ 推定修繕工事の内容は、新築マンションの場合は現状の仕様により、既存マンションの場合は現状又は見直し時点での一般的な仕様により設定するが、計画修繕工事の実施時には技術開発等により異なることがある。 A 時期(周期)は、おおよその目安であり、立地条件等により異なることがある。 B 収支計画には、修繕積立金の運用利率、借入金の金利、物価及び消費税率の変動など不確定な要素がある。
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〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆長期修繕計画は、作成又は見直し時点で、@計画期間において見込まれる推定修繕工事の内容、Aおおよその時期の目安、B必要とする概算の費用、C修繕積立金との収支計画に関して定めるものです。
◆推定修繕工事の内容の設定や概算の費用の算出は、新築マンンョンの場合、設計図書のほか、工事請負契約書により施工会社から提出された請負代金内訳書、数量計算書などを参考にして、長期修繕計画用に設定します。また、既存マンションの場合、分譲事業者から引き渡された設計図書、保管している修繕等の履歴のほか、現状の調査・診断の結果に基づいて、長期修繕計画用に設定します。
◆本文に掲げる事項のとおり、作成又は見直し時点で数十年先までの推定修繕工事の内容等を設定することには限度があります。したがって、長期修繕計画は、将来実施する計画修繕工事の内容、時期、費用等を確定するものではなく、計画修繕工事の実施時の見積りのように修繕設計を基にして詳細に積算することまでは求めていません。また、一定期間ごとに見直すことを前提としています。
3 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の条件 一 管理規約の規定 管理規約に、長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定に関する次に掲げる事項について、マンション標準管理規約(以下「標準管理規約」という。)と同趣旨の規定を定めることが必要です。 @ 管理組合の業務(長期修繕計画の作成、変更) A 総会決議事項(長期修繕計画の作成、変更) B 管理費と修繕積立金の区分経理 C 修繕積立金の使途範囲 D 管理費と修繕積立金に関する納入義務・分割請求禁止 E 専有部分と共用部分の区分 F 敷地及び共用部分等の管理 また、長期修繕計画及び修繕積立金の額を一定期間(5年程度)ごとに見直しを行う規定を定めることも望まれます。
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〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆単棟型のマンションの場合、管理規約に、長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定に関して、次に掲げる事項について、標準管理規約と同趣旨の規定を定めることが必要です。また、その管理規約を区分所有者等が閲覧できるように保管することも必要です。
◆また、長期修繕計画は、一定期間ごとに見直すことを前提としており、併せて、修繕積立金の額の見直しも必要です。これらの見直しの実施が確実に行われるようにするために、長期修繕計画及び修繕積立金の額を一定期間ごとに見直すことを管理規約で定めることが望まれます。
〔参 考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〇区分所有法 第30条(規約事項)第1項
| 第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。 |
〇適正化指針(二 管理組合が留意すべき基本的事項 2 管理規約)
| 管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、その作成にあたっては、管理組合は、建物の区分所有等に関する法律に則り、「マンション標準管理規約」を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、必要に応じ、その改正を行うことが重要である。 (以下略) |
〇管理標準指針(二 管理規約の作成及び改正(一)管理規約の作成・改正 1 管理規約の内容)
| 標準的な対応 | @〜Kの全ての項目について、標準管理規約と同趣旨の規定が置かれ、かつ、H〜Kについては、使用細則等によりルールを定めている。 |
二 会計処理 管理組合は、修繕積立金に関して、次に掲げる事項により会計処理を行うことが必要です。 @ 修繕積立金は管理費と区分して経理する。 A 専用庭等の専用使用料及び駐車場等の使用料は、これらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。 B 修繕積立金(修繕積立基金を含む。)を適切に管理及び運用する。 C 修繕積立金の使途は、標準管理規約第28条に定められた事項に要する経費に充当する場合に限る。
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〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆マンションにおける修繕工事には、@経常的な補修工事、A計画修繕工事とB災害や不測の事故等による特別修繕工事があり、これらに充当する費用は経理上区分します。
表 マンションの維持管理と経費
| 区 分 |
内 容 |
費用の区分 |
| 点検 |
建物、給・排水、消防、電気、昇降機などの設備、外構について、法令に基づく点検、保守契約による点検など |
管理費 |
| 調査・診断 |
計画(大規模)修繕工事の実施や長期修繕計画の見直しの前に行う調査・診断 |
修繕積立金 (注) |
| 長期修繕計画の見直し |
5年程度ごとに、調査・診断を行いその結果に基づいて計画を見直す。 |
修 繕 工 事 |
経常的補修 |
磨耗など通常の使用による劣化、予測しがたい破損や故障の補修工事(ガラス、建具、機器の破損等) |
管理費 |
| 計画(大規模)修繕 |
経年による劣化に応じて計画的に行う(比較的大規模な)修繕工事(屋上防水、外壁塗装、給・排水管取替等) |
修繕積立金 |
| 特別修繕 |
不測の事故や自然災害(台風、大雨、大雪等)による被害の復旧など、特別な事由による修繕工事 |
(注)標準管理規約第32条(業務)関係コメントCによれば、長期修繕計画の作成(又は見直し)に要する経費及びそのための事前に行う調査・診断に要する経費は、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでも充当することができます。 しかし、計画的に行うためには長期修繕計画に費用を計上し、修繕積立金から充当することが必要です。
◆専用庭等の専用使用料や駐車場等の使用料などを徴収している場合は、それらの管理に要する費用に充当する額を差し引いた額を修繕積立金会計に繰り入れます。
◆積み立てた修繕積立金は、計画修繕工事に要する経費に充当する場合に取り崩すことができます。また、災害や不測の事故に伴う特別の修繕等やマンションの建替えを目的とした調査等に要する経費に充当する場合にも取り崩すことができます。
◆なお、修繕積立金の取崩しは、標準管理規約では、総会の決議事項と規定しています。したがって、修繕積立金を取り崩して行う長期修繕計画見直しや事前に行う調査・診断に係る費用については、事業計画(案)及び収支予算(案)に含めて、総会で決議する必要があります。なお、点検についても同様に、共用設備の保守維持費、委託業務費などとして、毎年度、管理費の支出に含めておきます。
〔参 考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〇区分所有法 第19条(共用部分の負担及び利益収取)
| 第十九条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。 |
〇適正化指針(二 管理組合が留意すべき基本的事項 4 管理組合の経理)
| 管理組合がその機能を発揮するためには、その経済的基盤が確立されていることが重要である。このため、管理費及び特別修繕費等について必要な費用を徴収するとともに、これらの費目を明確に区分して経理を行い、適正に管理する必要がある。 (以下略) |
〇管理標準指針(三 管理組合の経理 (一)予算・決算 1 区分経理)
| 標準的な対応 | 管理費会計と修繕積立金会計に区分している。 |
| 望ましい対応 | 機械式駐車場等で維持管理に多額の費用を要する施設を有する場合は、駐車場使用料会計等を管理費会計及び修繕積立金会計とは区分している。 |
〇標準管理規約 第28条(修繕積立金)第1項
第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。 一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕 二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕 三 敷地及び共用部分等の変更 四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査 五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理 (以下略) |
〇標準管理規約 第28条(修繕積立金)関係コメント@
| @ 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う計画的な維持修繕工事が重要であるので、修繕積立金を必ず積み立てることとしたものである。 |
〇標準管理規約 第28条(業務)関係コメントC
| C 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。 (以下略) |
〇標準管理規約 第25条(管理費等)
第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。 一 管理費 二 修繕積立金 2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。 |
〇標準管理規約 第60条(管理費等の徴収)第5項
| 5 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。 |
〇標準管理規約 第61条(管理費等の過不足)
第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生した場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。 2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。 |
三 設計図書等の保管 管理組合は、分譲事業者から交付された設計図書、数量計算書等のほか、計画修繕工事の設計図書、点検報告書等の修繕等の履歴情報を整理し、区分所有者等の求めがあれば閲覧できる状態で保管することが必要です。なお、設計図書等は、紛失、損傷等を防ぐために、電子ファイルにより保管することが望まれます。
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〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆長期修繕計画の見直しや大規模修繕工事を行うに当たっては、専門家に調査・診断を依頼し、建物や設備の現状を把握する必要があります。その際は、新築時の設計図書、過去に実施した計画修繕工事の図面や書類、法定点検等の報告書、調査・診断の報告書など修繕等の履歴情報が大変有用なものとなります。(整備されていると専門家の作業が軽減され、負担する費用が削減できます。)したがって、これらを整理し、区分所有者又は利害関係者が閲覧できる状態で保管することが必要です。
◆マンションの建設工事が完了した日が、適正化法の施行日(平成13年8月1日)以降の場合、同法第103条第1項に基づいて設計に関する図書が交付されていますので、保管しているか確認してください。 また、標準管理規約第32条関係コメントD及びEに掲げられている図書も修繕に有用な図書や書類ですので、整理して管理員事務室などに大切に保管しておきます。必要な図書がない場合は、分譲事業者に写しの提供を依頼するか、計画修繕工事の修繕設計の際などに必要な図面を整備しておくことが望まれます。
◆新築時の設計図書や修繕工事の図面は、閲覧や貸出による傷みや紛失を防ぐために、原本は厳重に保管し、コピー(紙)や電子ファイル化(CD等)して、閲覧や貸出に応じることが望まれます。なお、財団法人マンション管理センターが運営する「マンションみらいネット」を活用し、電子ファイルにより保管する方法(バックアップ用の電子ファイルを保管)もあります。
〔参 考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〇適正化指針(二 管理組合が留意すべき基本事項 5 長期修繕計画の策定及び見直し等)
| (略)管理組合は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるように配慮することが望ましい。 (以下略) |
〇管理標準指針(四 建物・設備の維持管理(六)設計図書等の保管・閲覧) 1 設計図書の保管・閲覧
| 標準的な対応 | 適正化法施行規則第102条に列挙された設計図書を、区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管している。 |
| 望ましい対応 | 適正化法施行規則第102条に列挙された設計図書及び標準管理規約第32条関係コメントの(5)に掲げられている建物の修繕に有用な書類を、区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管している。 |
〇管理標準指針(四 建物・設備の維持管理(六)設計図書等の保管・閲覧) 2 修繕の履歴情報の整理、保管・閲覧
| 標準的な対応 | 継続して修繕等の履歴情報が整理され、区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管している。 |
〇適正化法 第103条(設計図書の交付等)第1項
| 第百三条 宅地建物取引業者(略)は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(略)を分譲した場合においては、国土交通省令で定める期間内に当該建物又はその附属施設の管理を行う管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、当該建物又はその附属施設の設計に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならない。 |
〇適正化法施行規則 第102条(法第103条第1項の国土交通省令で定める図書)
第百二条 法第103条第1項の国土交通省令で定める図書は、次の各号に掲げる、工事が完了した時点の同項の建物及びその附属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る図書とする。
| 一 付近見取図 | 二 配置図 | | 三 仕様書(仕上げ表を含む。) | 四 各階平面図 | | 五 二面以上の立面図 | 六 断面図又は矩計図 | | 七 基礎伏図 | 八 各階床伏図 | | 九 小屋伏図 | 十 構造詳細図 | | 十一 構造計算書 | |
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〇標準管理規約 第32条(業務)第5号、第6号
第32条 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。 五 適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理 六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等 |
〇標準管理規約 第32条(業務)関係コメントD及びE
D 管理組合が管理すべき設計図書は、適正化法第103条に基づいて宅地建物取引業者から交付される竣工時の付近見取図、配置図、仕様書(仕上げ表を含む。)、各階平面図、2面以上の立面図、断面図又は矩計図、基礎伏図、小屋伏図、構造詳細図及び構造計算書である。ただし、同条は、適正化法の施行(平成13年8月1日)前に建設工事が完了した建物の分譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンションには上述の図書が交付されていない場合もある。 他方、建物の修繕に有用な書類としては、上述以外の設計関係書類(数量調書、竣工地積測量図等)、特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日影協定書等)、消防関係書類、機械関係設備施設の関係書類、売買契約書関係書類等がある。 このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載することが望ましい。 E 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建築基準法第12条第1項及び第2項の特殊建築物等の定期調査報告及び建築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条の2の2の防火対象物定期点検報告等の法定点検など、維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するために有効な情報である。 |
〇標準管理委託契約書 別表第1(事務管理業務)2基幹事務以外の事務管理業務(3)その他B
B 図書等の保管 一 乙は、本マンションに係る設計図書を、甲の事務所で保管する。 二 乙は、甲の管理規約の原本、総会議事録、総会議案書等を、甲の事務所で保管する。 |
【長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメントの添付資料の入手方法】
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長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント目次
第3編 長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント 第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方 第2節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定手順 へ
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