マンション管理標準指針
コ メ ン ト


四 建物・設備の維持管理   bP




 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (一) 保守点検の実施

小項目  1 法定点検

標準的な対応  建築基準法等の関連法令に基づく建物・設備の法定点検について、年間計画を作成し、区分所有者等に周知したうえで実施している。
望ましい対応  ―
参 考
(平均的な状況等)
 ―

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆マンションの資産価値をできる限り保全し、快適な居住環境を確保するためには、日常的又は定期的に建物、設備、外構の清掃を行うことが基本として必要です。その上で、共用部分である外壁、屋上防水、共用廊下・階段、エレベーター、駐車場などについて、経年による劣化等に対して、定期的な保守点検と計画的な修繕工事を適切に行っていくことが必要です。

◆保守点検には、日常的な清掃等と併せて行う「日常点検」、定期的に行う「定期点検」(法令で義務付けられている「法定点検」、専門業者等との保守契約による点検と管理組合が自主的に行う点検があります。)、そして、被災や不具合の発生に伴って行う「臨時点検」があります。

◆一定規模以上のマンションについては、建築基準法や消防法、水道法その他の法律により建物や設備を定期的に調査及び点検し、行政庁又は関係機関に報告することが管理組合(管理者)等に義務づけられています。なお、建築基準法に基づく建物や設備の定期調査・検査については、その報告内容が特定行政庁(※)において閲覧に供されます。

◆法定点検の具体的な作業は、有資格者が行うため、専門業者等に依頼することになるでしょう。なお、管理会社への委託業務に含めている場合には管理会社を通じて行うことになります。

◆しかし、法令上はあくまで管理組合(管理者)に義務づけられていますので、専門業者等に依頼した場合であっても、管理組合として、実施状況を把握しておく必要があります。ついては、年間スケジュールを作成し、区分所有者等にも周知しておくことが重要ですので、これを「標準的な対応」としました。なお、点検の結果、不具合があった場合は、応急措置(修繕工事)を行うか、建築士等の専門家に依頼して、修繕工事のための調査・診断を行い、必要な措置を施さなければなりません。

◆なお、地方自治体等によって、適用となる建築物の規模(階数、床面積)や建築設備等の条件が異なる場合があるため、確認が必要です。

※特定行政庁:建築主事(建築確認を行なう資格者)を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいいます。
報告の窓口は、市町村の担当課、都道府県の出先機関の担当課、関係団体等です。


 〔参  考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

標準管理規約第32条(業務)第一号

 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。

一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理


○点検の区分

点検の区分

○法定点検の例(内容は地方自治体等によって異なる場合があります。)

 
法定点検の名称
(関係する法令)
対象となる建物・設備 点検等の時期
特殊建築物等定期調査
(建築基準法12条1項)
建築物の敷地、構造及び建築設備 6か月〜3年の間で特定行政庁(※)が定める時期
建築設備定期検査
(建築基準法12条2項)
換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備、排水設備 6か月〜3年の間で特定行政庁(※)が定める時期
昇降機定期検査
(建築基準法12条2項)
昇降機(エレベーター)
消防用設備等点検
(消防法17条3の3)
消火器具、消防機関へ通報する火災報知設備、誘導灯、誘導標識、消防用水、非常コンセント設備、無線通信補助設備 機器点検:6か月に1回
屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、泡消火設備、ハロゲン化物消火設備、屋外消火栓設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器、非常警報器具・設備、避難器具、排煙設備、連結送水管、非常電源等 機器点検:6か月に1回
総合点検:1年に1回
配線 総合点検:1年に1回
専用水道定期水質検査
(水道法3条6項、34条)
水槽の有効容量が100m3を超える施設
口径25mm以上の導管の全長が1,500m超
居住人口100人超
1日最大給水量が20m3超
水質検査:月1回
消毒の残留効果等に関する検査は1日1回
簡易専用水道管理状況検査
(水道法3条7項、34条2)
水槽の有効容量が10m3を超える施設 水質検査:1年以内ごとに1回
水槽の掃除:1年以内ごとに1回
自家用電気工作物定期点検
(電気事業法39条、42条)
高圧(600V超)で受電する設備 月次点検:月1回
年次点検:1年に1回
浄化槽の保守点検、清掃、定期検査
(浄化槽法8条〜11条)
浄化槽 保守点検:浄化槽の種類により1週〜6か月ごとに1回以上
清掃:浄化槽の種類により6か月〜1年ごとに1回以上
水質検査:1年に1回



 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (一) 保守点検の実施

小項目  2 定期点検(法定点検以外)

標準的な対応  建物・設備に関して、定期的に点検を実施している。
望ましい対応  ―
参 考
(平均的な状況等)
 ―

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆法律で義務づけられた法定点検に限らず、建物・設備の経年による劣化、汚破損等について、定期的、継続的に点検を行うことが不可欠です。

◆法定点検以外で定期的に行われる点検としては、(1)昇降機の日本工業規格に基づく点検、機械式駐車場の点検など保守契約による点検と、(2)管理組合が建物・設備全体を自主的に点検するものがあります。

◆実際には、(1)及び(2)を法定点検と併せて管理会社への委託管理業務に含める場合と、(1)は製作メーカー、サービス会社などの専門業者と個別に保守契約を締結、(2)は、管理組合の役員が自ら巡回して行う場合があります。

◆(1)の保守契約による点検としては、法定点検の対象とならない(水槽の有効容量が10.以下)受水槽の水質検査や清掃なども実施が望まれます。

◆(2)の自主点検は、例えば、(管理組合が行う場合は可能な範囲内で)年1回巡回しながら次のような劣化現象の有無を目視、触手又は作動確認により点検します。
 ○屋上防水:ひび割れ、欠損、剥がれ、浮き、排水の状況など
 ○外壁:ひび割れ、欠損、剥がれ、白華状況、汚れなど

◆点検において劣化による損耗・破損等が相当程度まで進行している状況が確認された場合には、応急措置(修繕工事)を行うか、建築士等の専門家に依頼して、修繕工事のための調査・診断を行い、必要な措置を施さなければなりません。

◆管理会社又は専門業者から点検結果の報告を受けた報告書、自ら点検した報告書は、法定点検の報告書や他の修繕工事等の履歴情報とともに整理し、区分所有者等の求めに応じて閲覧できる状態で管理組合で保管しておくことも必要です。




 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (二)長期修繕計画の作成・見直し

小項目  1 計画の作成・見直し

標準的な対応

調査・診断を行い、建物・設備等の状況を把握したうえで、(1)〜(5)の全ての項目について定めている。

望ましい対応  ―
参 考
(平均的な状況等)
 ―

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆マンションの共用部分を適正に維持管理するためには、定期的、継続的に保守点検を行うとともに、適時、適切な修繕工事を行う必要があります。

◆そのためには、長期的な修繕工事の計画を作成し、これに基づいて修繕工事を行うこと、修繕工事に必要な費用を算出し、その修繕費用に充てるため各区分所有者が負担する積立金の額を明らかにしておくことが重要です。

◆また、長期修繕計画を、建物・設備等の現状に即したものとするためには、あらかじめ、建物・設備等について、建築士等の専門家に調査・診断を依頼して、修繕工事等の履歴、経年に伴う劣化状況や社会情勢や生活様式の変化等に伴う区分所有者からの改良の要望などの実態を把握しておくことが不可欠です。そして、それを計画の作成又は見直しに反映することが必要です。

◆長期修繕計画の内容としては、基本的な事項である(1)計画期間、(2)修繕工事項目、(3)修繕周期、(4)修繕工事費及び(5)収支計画の全ての項目について定めていることが必要ですので、これを「標準的な対応」としています。

◆更に、社会的背景や生活様式の変化などに応じて、マンションの性能(省エネ、バリアフリー、防犯等)を向上させるグレードアップ工事の項目についても計画に入れることが望まれます。


 〔参  考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)

 (略)長期修繕計画の策定及び見直しにあたっては、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。
 長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定めそれらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。 (略)

標準管理規約第32条(業務)第三号

 管理組合は次の各号に掲げる業務を行う。
 三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務

標準管理規約第32条(業務)関係コメント(1)〜(3)

(1)建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。

(2)長期修繕工事の内容としては次のようなものが最低限必要である。

1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅できることとなる。

2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。

3 全体の工事金額が定められたものであること。
 また、長期修繕計画の内容については、定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である。

(3)長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。


 〔デ ー タ〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○総合調査(長期修繕計画の作成方法についての考え方)

○管理業者に業務の一環で作成を委託(48.2%)
○専門家に作成を委託すべき(35.4%)
○分譲事業者が計画案を作成(28.1%)
○管理組合自身で作成すべき(21.6%)
  長期修繕計画の作成方法についての考え方(重複回答)



 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (二)長期修繕計画の作成・見直し

小項目  1 計画の作成・見直し (1)計画期間

標準的な対応  25年程度としている。(新築時30年程度としている。)
望ましい対応  ―
参 考
(平均的な状況等)
 【H16調査】計画期間25年以上:51.2%
            平均:24年

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆計画的に修繕工事を行い、その経費として修繕積立金を安定的に徴収するためには、その根拠となる計画の期間はできるだけ長期とし、予定される修繕工事がすべて設定されていることが望まれます。しかしながら、計画の作成時点で数十年先の劣化状況や工事費を予測することはその精度が問題となります。
 したがって、工事費が多額である外壁等の修繕工事の修繕周期が12年程度ですので、外壁等工事の2回分を必ず含む期間として、計画期間は、作成・見直しの時点から「25年程度としている。」を「標準的な対応」としています。

◆しかし、新築時の計画期間は、25年程度とすると、工事費が多額である給水・排水設備工事や昇降機設備工事などが含まれないことから、ほぼすべての修繕工事項目を含むことができる30年程度としています。(計画期間が30年の場合でも、住戸の玄関ドアや窓のサッシなどの建具の更新工事などは含まれない場合があります。)


 〔参  考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

標準管理規約第32条(業務)関係コメント(2)の1

(2)長期修繕工事の内容としては次のようなものが最低限必要である。

1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅できることとなる。


 〔デ ー タ〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○総合調査(長期修繕計画期間)

○16〜20年(28.9%)○21〜25年(13.5%)○26〜30年(18.4%)○31年〜(5.3%)
  長期修繕計画期間

○H16調査(長期修繕計画の計画期間)

○〜19年(7.4%)○20〜24年(41.5%)○25〜29年(30.1%)○30年〜(21.1%)
○「平均」24年
  計画期間



 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (二)長期修繕計画の作成・見直し

小項目  1 計画の作成・見直し (2)修繕工事項目

標準的な対応  調査・診断の結果に基づいて、別表に掲げる18項目のうち、必要な項目の工事内容を定めている。
望ましい対応  社会的背景や生活様式の変化等に応じ、性能向上(グレードアップ)工事の項目を計画に含めている。
参 考
(平均的な状況等)
 ―

 別表 長期修繕計画の修繕工事項目
 
  修繕工事項目 例   示
1.  屋根防水  屋根葺替え、防水等
2.  外壁等  躯体、タイル、塗装、シーリング等
3.  床防水等  開放廊下・階段、バルコニーの床等
4.  鉄部等  手すり、扉、盤、鉄骨階段等(塗替)
5.  建具・金物等  玄関扉、窓サッシ、郵便受等(交換)
6.  共用内部等  管理人室、エントランスホール等の内装
7.  給水設備  給水管、受水槽、高置水槽、給水ポンプ等
8.  排水設備  雑排水管、雨水管、汚水管、桝等
9.  ガス設備等  ガス管等
10.  空調・換気設備等  換気扇、ダクト等
11.  電気設備等  電灯、電気幹線、避雷針等
12.  情報・通信設備  電話、テレビ共聴、インターネット設備等
13.  消防設備  自動火災報知器、屋内消火栓、連結送水管等
14.  昇降機設備  駆動装置、カゴ等
15.  立体駐車場設備  自走式の構造体、機械式の構造体・駆動装置等
16.  外構・附属施設  駐車場、自転車置場、ゴミ置場、通路、公園等
17.  診断・設計・監理等費用  建物診断、設計、工事監理等
18.  長期修繕計画作成費用  作成・見直し

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆長期修繕計画の修繕工事項目は、個々のマンションの仕様や経年などに応じて、あらかじめ実施した調査・診断の結果を基に、必要な工事内容を含んだ項目を設定します。

◆(財)マンション管理センターが作成した「長期修繕計画作成と見直しの手引き」において、長期修繕計画の修繕工事項目を、大項目として建築、設備、外構、その他調査等に区分し、中項目として屋根防水、外壁等の19項目を標準としています。
(「同手引き」において想定されているマンションは、この指針が対象とするマンションと一致するものです。)

◆その19項目のうち、「その他(特殊な設備がある場合)」を除く別表の18項目について定めていることが原則ですが、あらかじめ行った調査・診断の結果に基づいて、劣化状況、修繕の履歴等を踏まえ、このうち、必要とされる項目の工事内容を設定していることを「標準的な対応」としています。

◆なお、18項目の他に、社会的背景や生活様式の変化等に応じ、マンションの性能(バリアフリー、省エネ、防犯等)を向上させるグレードアップ工事の項目についても設定することが望まれますので、「望ましい対応」としています。


 〔参  考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)

 (略)長期修繕計画の策定及び見直しにあたっては、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。
 長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定めそれらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。 (略)

標準管理規約第32条(業務)関係コメント(2)の2

(2)長期修繕工事の内容としては次のようなものが最低限必要である。

2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。


○マンションの性能向上(グレードアップ)工事の例

項  目 改修工事の例
バリアフリー スロープ、手すりの設置
エレベーターの新・増設
玄関ホールの自動ドアの設置
省エネルギー 屋上・屋根の断熱(防水)
外壁の外断熱
開口部の断熱(サッシ、玄関ドア、窓ガラスの交換)
エコロジーへの対応 雨水利用、太陽光発電、屋上緑化、廃棄物利用
防犯 玄関ホールのオートロックの設置
エレベーターや駐車場の監視カメラの設置
玄関扉やエレベータードアの防犯対応
利便性その他 IT化
給水方式の変更(直結化)
宅配ボックスの設置
電気やガスの容量アップ



 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (二)長期修繕計画の作成・見直し

小項目  1 計画の作成・見直し (3)修繕周期

標準的な対応  部材の耐用年数、修繕履歴等を踏まえ、調査・診断の結果に基づいて設定している。
望ましい対応  ―
参 考
(平均的な状況等)
 ―

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆修繕周期は、立地条件等を加味したうえで、建物・設備の部材の耐用年数から推測し、いつの時点で修繕工事を行うかを修繕工事項目の部位ごとに設定します。
 早過ぎると過剰な修繕となりますし、遅すぎても劣化が進み工事費を増加させてしまうことも考えられます。また、単独の工事を行うよりも近い周期の複数の工事をまとめて同時期に行う方が、仮設費用や経費などが節約できますし、管理組合の労力も軽減できる場合もあります。

◆修繕周期については、様々なものがありますが、(財)マンション管理センター発行の「長期修繕計画作成と見直しの手引き」に示されている修繕周期を一つの目安として参考にしてください。

◆計画された25年先の修繕工事は、あくまで推測です。したがって、適切な時期に工事を実施するため、5年ごとの見直しの際には、あらかじめ行った調査・診断の結果と修繕の履歴等を踏まえて工事の修繕周期を設定することが重要です。


○修繕周期表

 修繕周期表



 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (二)長期修繕計画の作成・見直し

小項目  1 計画の作成・見直し (4)修繕工事費

標準的な対応  修繕工事項目、部位ごとに、仕様、数量、単価等の工事費の算出根拠を明確に示している。
望ましい対応  ―
参 考
(平均的な状況等)
 ―

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆区分所有者が負担する修繕積立金の額の根拠として有効なものとするためには、各修繕工事項目、部位ごとに、工事の仕様を定めて、数量、単価等の工事費の算出根拠を明確に示して(「積算法」といわれています。)、必要な修繕工事費を算出していることが必要です。

◆なお、仕様や数量は、推定した劣化状況に基づくものであり、実施工事のための積算と比べると概算になります。


 〔参  考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

標準管理規約第32条(業務)関係コメント(1)

(1)建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。



○修繕工事費の算出の例

 修繕工事費の算出の例

 〔デ ー タ〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○総合調査(修繕積立金の額の決定根拠)

○長期修繕計画の必要額を参考(77.1%)  ○管理費の一定割合(10.5%)
  修繕積立金制度の額の決定根拠



 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (二)長期修繕計画の作成・見直し

小項目  1 計画の作成・見直し (5)収支計画

標準的な対応  修繕工事費の計画期間の累計額が示され、その額を修繕積立金の計画期間の累計額が下回らないように計画している。
望ましい対応  性能向上(グレードアップ)工事費を含めた収支計画としている。
参 考
(平均的な状況等)
 ―

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆収支計画は、計画期間中に必要な修繕工事費の累計額と修繕積立金の累計額の関係が把握できるように示されていることが必要です。
 しかし、修繕積立金の累計額が修繕工事費の計画期間の累計額を下回っていると、大規模修繕工事を行う時点における不足金の借入れや一時金の徴収に関する合意形成が困難であったり、修繕工事の先送りも懸念されます。
 したがって、計画期間の終期において、「修繕工事費の累計額が示され、その額を修繕積立金の累計額が下回らないように計画している。」ことを「標準的な対応」としています。
 なお、修繕工事費は各年度ごとに、各修繕工事項目ごとの合計額が示される必要があります。

◆収入としては、月々の修繕積立金のほか、修繕積立基金や駐車場使用料などからの繰入金も含めます。また、支出としては、修繕工事のための借入金の返済も考慮します。

◆長期修繕計画の修繕工事項目に性能向上(グレードアップ)工事の項目を含めている場合には、その工事費を含めた収支計画とする必要があることから「望ましい対応」としています。


 〔参  考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)

(略)長期修繕計画の策定及び見直しにあたっては、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。
 長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定めそれらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。 (略)


○収支計画の例

 収支計画の例



 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (二)長期修繕計画の作成・見直し

小項目  2 見直し時期

標準的な対応  5年程度ごとに見直しを行っている。
望ましい対応  ―
参 考
(平均的な状況等)
 【H16調査】見直し予定:平均5.54年

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆長期修繕計画は、作成時点での25年程度の劣化の予測ですので、経年とともに状況が変化していくこともあり、予測と実態のズレによる見直しが必要となります。

◆ついては、適切かつ効果的な修繕工事を行うために、5年程度ごとに、建物及び設備の調査・診断を行って、劣化状態、区分所有者等の要望、社会情勢の変化、修繕技術の進歩などについて把握し、これらについて十分な検討を行ったうえで、長期修繕計画を見直すことが必要です。

◆見直しは、大規模修繕工事(周期12年程度)の前に、その大規模修繕工事の基本計画の作成と併せて行うこともありますし、大規模修繕工事の終了後にその結果を踏まえて行うこともあります。したがって、5年ごとが原則ですが、大規模修繕工事の実施時期により、見直しの時期を前倒し、又は先送りすることもあることから、「5年程度ごとに見直しを行っている。」を「標準的な対応」としています。

◆なお、計画期間は、見直した時点から25年程度となるよう更新します。

長期修繕計画の見直し


 〔参  考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

標準管理規約第32条(業務)関係コメント(2)

 

(2)長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
1〜3 (略)
 また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である。


 〔デ ー タ〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○H16調査(今後の見直し予定)

○4年以下(26.0%)○5年(45.6%)○6年以上(28.4%)○「平均」5.54年
  今後の見直し予定



 大項目  四 建物・設備の維持管理  中項目  (二)長期修繕計画の作成・見直し

小項目  3 長期修繕計画書の保管・閲覧

標準的な対応  区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管している。
望ましい対応  ―
参 考
(平均的な状況等)
 ―

 〔コメント〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆標準管理規約では、長期修繕計画の作成又は変更と修繕積立金の額の変更は、総会議決事項とされています。修繕工事の実施や修繕積立金の徴収に関して各区分所有者の理解を得やすくするためにも、長期修繕計画を作成又は見直したときは、総会の議事録等として、戸別配布などの方法により、各区分所有者に周知する必要があります。

◆また、長期修繕計画書は、修繕工事の計画と、修繕積立金の徴収予定などの根拠となる重要なものですので、管理事務室等に大切に保管するとともに、区分所有者又は利害関係人から請求があった場合には、閲覧できるようにしておく必要があります。
 なお、見直しを行った前の長期修繕計画書も含めて保管しておくことが望まれます。

◆利害関係人とは、「総会議事録の保管・閲覧」と同じく、法律上の利害関係がある者をいいます。


 〔参  考〕〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)

 (略)長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。
 管理組合は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるように配慮することが望ましい。 (略)

標準管理規約第48条(議決事項)第五号

 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
 五 長期修繕計画の作成又は変更






【マンション管理標準指針の入手方法】
 国土交通省HP    ■ マンション管理標準指針


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