第三弾 「これでいいのか、管理委託契約」


基調報告  管理組合による管理委託契約の進め方


はじめに

 第12回マンション管理セミナー(平成19年2月17日開催)と第13回マンション管理セミナー(平成19年5月19日開催)は「これでいいのか、管理会社の業務実態」と題して、管理会社の不当な業務の実態を多くの生々しい事例を掲げて告発して参りました。
 今回のセミナーはその第三弾として、そのような問題が内在している管理委託契約を、当該管理組合の組合員の共同の利益を確保する観点から見直して、適正な管理委託契約の締結を進め、管理の質の向上と経費の節減を進める具体的な道筋を示すことにあります。
 また、第13回マンション管理セミナー以降に取り組まれた各管理組合の「管理委託契約の見直し運動」の生々しい事例も紹介することにしております。


 多くの管理組合では、未だに、管理会社主導の管理委託契約が存在していることと、当事者であるべき管理組合が問題意識が希薄で、管理会社の勝手な運営に身を任せている現実があります。
 このような状態の管理組合では、当然のように無駄な経費が水道の蛇口を開けっ放しにしているように垂れ流しになっています。
 その一番分かりやすい例は、ロードヒーティング稼働管理の問題です。今年は、史上最高の灯油価格に達し、生協価格1g当たり96円と昨年の1.4倍になり管理組合の運営にとっては大変な痛手です。
 従って、当事者能力のない管理組合は「ロードヒーティングを冬期間完全自動運転させて」予想を超える膨大な赤字決算をしなければならないでしょう。
 しかし、当マンションネットが問題解決のための情報提供を、ここ3年間に渡って実施してきたところ当ネットに参加している管理組合を中心として「ロードヒーティングの効率的稼働運動」に積極的に参加して、大きな成果を上げています。
 また、先のセミナーでも具体的な事例として紹介したように、「分譲当時の原始管理委託契約を後生大事に継続して年間何百万円もの過大な支出をしている」管理組合もあります。
 このような事例は特殊なケースではなく、圧倒的多数の管理組合の現実なのであり、区分所有法の根幹である「組合員の共同の利益を確保しなければならない」という命題からはかけ離れた運営が進められているのです。


管理組合の管理能力と管理会社の業務実態は照合

 管理会社の不適切な業務実態は多岐に亘っており管理組合との契約事項が債務不履行や準委任契約で重要視される「善管注意義務」が果たされない状態であります。
 しかし、これまでの当マンションネットの相談・支援活動の範囲からの事例は、これらの管理会社の劣悪な業務実態は社会に告発し是正を求めなければならないところでありますが、このような管理を野放しで許している管理組合にも問題があると言えます。
 つまり、「対等平等な管理委託契約を締結したと管理組合が自認しているのであれば」、その契約条項を厳格に履行させなければならない責務が管理組合側にあり、それを、黙認して放置している側にも大いに問題があります。
 何故、このような管理会社にとって債務不履行を平気で行えるような契約が存続しているのでしょうか。それは、皆さんも承知のように、分譲時に全て管理委託契約書ができあがっていたり、契約先も決定しているシステムに問題があると言えます。
 従って、契約当事者の管理組合側には、重要な契約の問題意識が形成されてないからであり、もう一方の当事者である管理会社は「管理組合の無関心と無知識等」を基盤に、法令違反や債務不履行が横行しているのです。

 よって、管理組合として管理能力(当事者能力)を保持している管理組合にあっては、前項のような債務不履行や手抜き管理などの業務は許されません。もし、異常に契約金額が高かったり、業務が遅滞などした場合は、当然ながら契約解除されてしまいます。
 正に、管理組合の当事者能力と管理会社の業務の質は照合すると言って過言でありません。特に、管理委託契約は民法の準委任契約に当たり、双方の信頼関係が基盤になっており、管理組合(理事会)の能力こそ管理会社の業務の質を規定するといえます。


管理委託契約を進める支援策

 平成13年12月にマンション管理適正化法が施行されてから、マンション管理に関する様々な支援が国土交通省から示されています。
 適正化法の基盤になっている「マンション管理適正化の指針」適正化法を実行するためにマンションの基本法とも言うべき建物区分所有法の改正により、標準管理規約の全面的改正、また、適正化法を施行するために、標準管理委託契約書の改正がありました。
 更に、管理組合の運営を具体的に実行するための支援として、「マンション管理標準指針」や大規模修繕工事を行うための進め方として「改修によるマンション再生手法に関するマニュアル」等が明らかにされました。
 特に、標準管理委託契約書は消費者サイドの観点から改正され、民法で規定されてる準委任契約の任意解除権を第19条に明記したことは画期的でありました。
 本来、管理委託契約書に盛られて無くとも法令を援用することによって活用することができますが、契約書に明記したことにより、スムーズに契約を解除することができています。
 行政による、これまでの支援策は万全とは言えませんが、適正化法施行後随分と様変わりして管理組合がこれらの情報を最大限活用すれば、管理の質的変化へと発展することでしょう。


どのような手順で契約を進めるのか

 さて、それでは管理組合と管理会社が締結する管理委託契約の適正な進め方はどのようにしたらよいのか、改めて問題提起することに致します。マンション管理適正化に関する指針の区分所有者が十分留意すべき事項の、管理委託契約に関しては次のように指摘しています。

マンション管理の適正化の推進のための管理委託に関する基本的事項

 管理組合は、マンション管理の主体は管理組合自身であることを認識した上で、管理事務の全部又は一部を第三者に委託しようとする場合は、その委託内容を十分に検討し、書面をもって管理委託契約を締結することが重要である。
 尚、管理委託契約先を選定する場合には、管理組合の管理者等は、事前に必要な資料を収集し、マンションの区分所有者等にその情報を公開するとともに、適正な選定がなされるように努める必要がある。


1.標準管理委託契約書第21条(契約の更新)の更新をする場合

 標準管理委託契約書の改正点の中心の一つは消費者保護の観点から、自動更新条項を撤廃したことを評価しており、この条項の結果、長い間「管理組合にとって不平等な契約」が存在してました。
 この条に代わるものとして、第21条は「甲又は乙は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期限が満了する日の三ヶ月前までにその相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする。」となっています。
 従って、本条に基づき期限満了後、新たに契約する場合の手続きはどのように実行すれば適法なのかと言うことです。先月、かなりの管理組合に問い合わせたところ適正に契約手続きが行われていない組合もありました。適正に行われていない管理組合の場合は、この条項は「従前の自動更新条項と同じ役目」を果たしていることになっています。
 管理組合は契約を更新する場合でも契約期間が終了しているのであるから、新たな契約を結び直すということを行う必要があります。
 この場合は、標準管理規約第48条第14号の「組合管理部分に関する管理委託契約の締結」は契約期間が終了し、たとえ、同一の内容で管理委託契約を更新する場合でも、それは、新たな契約の締結に当たるから、本号による総会の決議が必要になります。


管理会社に宛てる更新に関する文書例

平成〇〇年〇月〇日  

〇〇〇〇〇管理会社
代表取締役      様

〇〇〇〇〇〇〇管理組合  
理事長  〇〇〇〇 印  


管理委託契約の更新について(通知)


 このことについて、平成〇〇年〇月〇日〜平成〇〇年〇月〇〇日までの期間、貴職と管理委託契約を締結しておりましたが、管理委託契約第21条の規定に基づき、来期も契約いたしたく通知いたします。
 但し、定期総会を平成〇〇年〇月〇日に開催する予定にしており、総会の議決後契約を取り交すことと致します。



1.契約の期間     平成〇〇年〇月〇日〜平成〇〇年〇月〇〇日まで


2.契約の契約書と業務仕様  別紙の通り



総会議案(単項議案)文書例

第〇号議案 第〇期の管理委託契約の締結について


当管理組合の管理委託契約はつぎのとおり締結したく提案します


1.契約する会社名  (株) 〇〇〇〇〇〇〇
 住 所札幌市〇〇〇〇〇〇〇〇
 代表者代表取締役 〇〇〇〇
 登録年月日平成〇〇年〇月〇〇日(更新)
 登録番号(2)〇〇〇〇〇〇
2.契約する業務の仕様と契約書(別紙資料を参照)
3.契約金額(消費税抜き)
事務管理業務費月額19,800円  年額237,600円
管理員業務費月額106,400円  年額1,276,800円
日常清掃費  管理員が兼ねて行う
定期清掃費  年額147,000円
建物・設備管理費    管理員が兼ねて行う
管理報酬月額19,800円  年額237,600円
      計  年額1,899,000円

4.契約期間平成〇〇年11月1日〜平成〇〇年10月31日まで
5. 提案理由の説明



2.契約の解除等で、新たな契約を締結する場合(新たな契約先を決定する方法)

 標準管理委託契約書第18条及び第19条に基づく契約解除及び、第21条契約の更新をしない場合の契約の進め方については次のように提案します。
 マンション管理適正化法施行後、管理委託契約に係わって細部に亘って規定され、その手続きの仕方まで決定しています。しかし、当マンションネットは「法整備されても契約の一方の当事者である管理組合が主体的な取り組みをしなければ従前と同じ」であると認識しており、管理組合の管理能力をもった契約を進めることにしたいものです。

 さて、新たな契約先を決定するプロセスは当マンションネットのホームページでも紹介されていますが、次のようにいたします。
 管理会社を選定する方法は、適正化指針等で指摘されているように組合員に情報を公開して、特定の業者に特注する随意契約は排除して、公正で、かつ透明性があって競争性がある「競争入札方式」(本方式は当マンションネットが開発した独自の手法)を活用して行うことをお薦めいたします。


関係業者に見積書の提出依頼の文書例

平成〇〇年〇月〇日  

管理会社 各 位

〇〇〇〇〇〇〇管理組合  
理事長  〇〇〇〇   


管理委託契約に係わる「競争入札方式」による見積書の提出依頼について


 このことについて、当管理組合の管理運営の適正化を図るために、区分所有法・マンション管理適正化法等の規定に基づき、管理委託契約に係わる「管理業務の仕様、契約書」を確定しました。この契約書・仕様を基にして、公正で且つ適正な管理委託契約を締結するために「競争入札方式」による見積書の提出を貴社にお願いすることといたしました。時節柄、何かとご多用でありましょうが、次の要領にて見積書の提出を依頼致します。



1.見積書の提出期限と提出先  平成〇〇年〇月〇〇日(〇曜日) 午後〇時まで

札幌市〇〇区〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇管理組合  理事長 〇〇 〇〇

 見積書の提出先は理事長までに提出のこととし、提出の方法は郵便及び直接提示とし、見積書の記載方法等について不明な点等が有りましたならば、理事長に尋ねてください。


2.見積書の書式と提出時の義務
 A4版の(別紙の様式を指定する見積書)指定してある様式を基に見積書を作成し提出して頂きますが、業者各位の書式を使用することは認めません。もし、指定以外の見積書を使用した場合は選定から除外します。また、見積書の提出は指定のA4版の用紙が入る封書に入れて、糊付けし裏面糊代の3箇所に社印を押印し開封できないようにしてください。もし、指定の義務が果たされていない見積書は条件を満たされていないと認定し、見積書の受付はいたしません。


3.管理委託に関する契約書と仕様書
 見積に必要な業務の契約書と仕様書は別紙と別表1〜4となっており、当該事項について疑問がある場合は担当理事に尋ねてください。


4.今後の契約等の予定 (1) 契約業者の決定       平成〇〇年 〇月〇〇日予定
                (2) 総会での契約締結の決議 平成〇〇年 〇月〇〇日予定
                (3) 契約締結日          平成〇〇年 〇月〇〇日


5.重要事項の説明等
 マンション管理適正化法に規定されている、管理委託契約に伴う重要事項の説明は当管理組合と契約する管理委託会社が契約の前迄には当管理組合の構成員に対して、文書を示して説明することになっており、その会場等は契約締結業者によって確保してください。
 また、マンション管理適正化法に規定されている管理委託契約に係わる義務事項が、法制化後適正に実行されていない業者は当然選考から排除致します。


6.見積書に記載すべき管理委託経費の金額(消費税は当該金額から除く)

(1)事務管理業務費  月額(積算根拠を示すこと)と年額
(2)管理員業務費月額報酬と年額報酬及び法定福利費(積算根拠を
示すこと)の月額と年額
(3)日常清掃費管理員が兼ねて行うため、必要ありません
(4)定期清掃費年額(積算根拠を示すこと)
(5)管理報酬月額と年額(積算根拠を示すこと)
  合 計


7.見積書作成上の注意事項

(1)予定している管理委託契約書は標準管理委託契約書を原則的に採用しています。尚、管理委託業務仕様書については、当管理組合の個別の要件を追加し、或いは変更したものとなっております。

(2)見積書に記載すべき事項は前項に掲げた5項目であり、それ以外の業務は当管理組合が個別に関係業者に見積書を提出させて選定致します。従って、今回の提出の対象とはいたしません。

(3)管理員業務費の見積金額の内、管理員の月額賃金は160,000円以上とします。この金額を下回って記載した見積書は選定から除外し、また、契約後、報酬支給に契約を下回る差異の事実が発覚した場合は契約解除の対象といたします。
 特に管理員業務は管理委託契約の中核的存在であり、管理員業務の善し悪しが本契約に多大の影響を与えるものであり、当管理組合の期待する管理員業務を遂行していく上で賃金保証等は欠かせない条件であると深く認識しています。
 また、管理員は管理組合の「門番や清掃人」ではなく、マンション管理の専門家と当管理組合は理解しており、マンション管理に積極的で且つ学習意欲の高い管理員の配置を要請します。 従って、当管理組合が推薦する「マンション管理員セミナー」等への積極的な参加は当然の義務と認識してください。また、資質のない方の場合は直ちに人事の異動を要求します。

(4)定期清掃は別表に示してあるように年4回実施し、清掃すべき総面積に単価と回数を乗じた積算根拠を示して下さい。また、日常清掃資材費は管理員業務の内法定福利費の中に含めてください。


8.第三者に対する再委託の禁止
 当管理委託事項(管理事務業務、管理員業務、日常清掃業務、定期清掃業務)は全てについて第三者に再委託することを禁止します。契約締結後、再委託している事実が判明した場合契約解除の対象とします。従いまして、本管理委託業務は委託契約した業者が自ら実施することになります。当該事項は契約書に明示致します。


9.当マンションの概要

所在札幌市〇〇区
建物の構造等  鉄筋コンクリート造 地上〇〇階
築年数〇年目     戸数 〇〇戸
述べ床面積〇,〇〇〇.〇u

 建物・設備の現状を知るために、現地を訪れて理事会に説明を要請する必要のある方は事前に連絡をしてください。(〇〇理事長−〇〇〇−〇〇〇〇)



管理組合が提出を求める統一見積書の文書例

〇〇〇〇管理組合 管理委託契約見積書

業 務 名月  額年  額積 算 根 拠
事務管理業務費   
管理員業務費
  管理員賃金
  法定福利費
   
日常清掃費
  賃 金
  法定福利費
   
定期清掃費   
受水槽清掃費   
管理報酬   
 合   計   

以上のとおり、見積もり致しました。

平成  年  月  日

所 在

会社名

代表者名               印



管理組合が管理会社に示す契約書と業務仕様の文書例(省略)

 契約書と業務仕様は標準管理委託契約書と別表を参照して、それぞれの管理組合の実情に合うように管理組合が作成することが必要です。
 従って、管理会社に作成を依頼することなどは、この際排除することが当事者能力の開発に役に立つでしょう。
 当マンションネットに相談や支援を求められる場合は、当該管理組合の状況を確かめて作成いたします。


契約解除の手順は

 契約解除を適正に進めるためにはどのようにすればよいのか、標準管理委託契約書に基づき具体的に示すことに致します。


1.標準管理委託契約書第18条に基づき契約を解除する場合

 この場合は契約期間中であり、債務不履行による契約解除を予定しています。 債務不履行とは、理由なく債務履行をしないことをいい、履行遅滞、履行不能、不完全履行の形態があります。
 民法の規定に、契約から生じた債務に債務不履行がある場合には、契約を解除し、損害賠償を請求できます。管理委託契約に関しては、業務仕様(事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務)において業務が遅滞したり、適正に行わなかったり、全然行わなかった場合を言います。
 これまでの事例で言うと、水道料金の特例申請をサボタージュして管理組合に多額の損害を与えて期間中に契約を解除されたこと、管理員が業務を適正に行わず、再三に亘り是正を請求されたが放置して解除されたこと、また、毎月支出すべき定額公共料金等を放置して遅延損害金が発生し、その損害金を管理組合に払わせたこと、フロント担当者が水漏れなどの緊急事態を放置して契約を解除されたこと、など多岐にわたっております。
 この場合の契約解除の手続きは、まず理事会で債務不履行の事実を的確に把握して、管理会社に対して、契約解除の文書を通知いたします。


契約解除の文書例

平成〇〇年〇月〇日  

〇〇〇〇〇管理会社
代表取締役      様

〇〇〇〇〇〇〇管理組合  
理事長  〇〇〇〇 印  


管理委託契約の解除について(通知)


 このことについて、平成〇〇年〇月〇日〜平成〇〇年〇月〇〇日までの期間、貴職と管理委託契約を締結しておりましたが、管理委託契約第18条の規定に基づき、次の理由により契約を解除いたします。



1.契約解除の理由


2.契約解除の期日        平成〇〇年〇月〇日とする


3.関係書類の引き渡し期日   平成〇〇年〇月〇日とする



2.標準管理委託契約書第19条に基づき契約を解除する場合

 本条の場合は、契約期間中に契約を解除する規定で、コメントでは「本条は、民法第六百五十一条の規定を踏まえ、契約当事者双方の任意解除権を規定したものである。解約の申入れの時期については、契約終了に伴う管理事務の引継等を合理的に行うのに通常必要な期間を考慮して設定している」となっていて何故このような規定が契約書に盛られたのかと言えば、管理委託契約は準委任契約(事務管理)であり、契約期間中といえども本来何時でも契約を解除できることになっているからです。
 そして、本条項に基づく契約の解除には、契約解除の理由は必要がありません。解除の条件はただ一つ、三ヶ月前までに、相手方に書面で通知すればすむものなのです。
 昨年、本条を活用して契約を解除するために支援した事例として、契約金額が適正な価格を超えていたために契約期間3カ月を残して解除いたしました。
 その後、解除した会社も含めて競争入札方式を活用して見積書の提出を各社に求めました。その結果、前管理会社は見積金額が提出他社より高かったために契約の対象にはなりませんでした。


契約解除の文書例

平成〇〇年〇月〇日  

〇〇〇〇〇管理会社
代表取締役      様

〇〇〇〇〇〇〇管理組合  
理事長  〇〇〇〇 印  


管理委託契約の解除について(通知)


 このことについて、平成〇〇年〇月〇日〜平成〇〇年〇月〇〇日までの期間、貴職と管理委託契約を締結しておりましたが、管理委託契約第19条の規定に基づき契約を解除いたします。
 今後の管理委託契約に関しては、当管理組合が契約書及び業務仕様を確定して適正な選考方法(競争入札方式)によって契約先を決定いたします。その際は、見積書の提出を依頼いたしますので申し添えます。



1.契約解除の期日        平成〇〇年〇月〇日とする


2.関係書類の引き渡し期日   平成〇〇年〇月〇日とする



3.標準管理委託契約書第21条(契約の更新)の更新をしない場合

 本状は、契約期間満了後も引き続き既定の管理委託契約を新たに締結するための条項であるが、期間満了をもって本契約を終了とし、契約更新しない場合の例です。
 このような場合は様々な理由が考えられますが、一般的なのは、契約金額が適正価格を上回っていることや、期待していた程の契約の履行がなされなかったこと、債務不履行が発生して引き続き当該管理会社に対して業務を委託することができず契約期間が満了になることを待ち望んでいたこと、また、債務不履行が発生して早く契約を解除したかったが、途中で契約解除するとトラブルを発生すること等を想定し途中解除を避けるため、などが上げられます。
 この例が、昨年支援した事例で一番多い形態であり、管理会社とトラブルを起こしたくないという日本的な文化に代表される実質的な契約解除の方法でしょう。


契約更新しない場合の文書例

平成〇〇年〇月〇日  

〇〇〇〇〇管理会社
代表取締役      様

〇〇〇〇〇〇〇管理組合  
理事長  〇〇〇〇 印  


期間満了に基づく管理委託契約の終了について(通知)


 このことについて、平成〇〇年〇月〇日〜平成〇〇年〇月〇〇日までの期間、貴職と管理委託契約を締結しておりましたが、期間満了をもちまして本契約を終了といたします。
 今後の管理委託契約に関しては、当管理組合が契約書及び業務仕様を確定して適正な選考方法(競争入札方式)によって契約先を決定いたします。その際は、見積書の提出を依頼いたしますので申し添えます。



1.関係書類の引き渡し期日   平成〇〇年〇月〇日とする



管理委託契約後(変更後)の管理

 管理委託契約を更新した後、或いは、更新せず新たな管理会社と契約を締結した後の管理組合の問題について触れておきます。
 「これまでの管理会社と違って、新たに管理委託を契約した管理会社は適正に業務を履行してくれる」と信じてしまったり、楽観している管理組合の役員は、とんでもない結果を招くことなどを予想していないでしょう。
 「管理委託契約という特殊な契約は、管理組合理事会の管理能力が管理会社の業務履行に正確に反映する」と、先に指摘したように、契約の履行のチェック及び追及を等閑にしている管理組合は、後になって、「こんなはずではなかったと後悔する」ことになります。
 管理組合の管理能力が管理会社より勝っていることと、勝ってないけれども情報の収集に遺漏がないこと、第三者機関の支援がある場合は別にして、管理会社に情報の収集、管理のノウハウなどを一切ゆだねる場合は、後日とんでもない事態を引き起こすことになります。
 管理を行っているのはフロント担当者(管理員)であり、この者の資質にもよるが、役員の人間性を評価して敢えて間違った情報を提供したり、業務の手を抜くことがしばしば行われています。
 このような実態から、管理組合と管理会社の間に常に緊張関係を保つことが、適正な管理を保持することに繋がります。「今度の管理会社は大丈夫だ、フロントマンも信用がおけそうだ」などと油断していると、会社変更前と同じ轍を踏むことになるでしょう。
 「私たちは素人だから管理会社に委託するのだ、フロント担当者が信用できないのであれば誰を信用すればよいのだ」等という役員の方も見受けられますが、そのような戯言は通用しません。契約を履行させる当事者の力量が大いに問われているのです。
 従って、どのような評判の良い管理会社と契約しても、管理組合の当事者能力向上のスタンスは変えることはできないと言うべきでしょう。


合意形成は科学的な見地と原理原則を踏まえた柔軟性

 先月(12月15日)開催の意見交換会は管理組合の合意形成について、日頃管理組合の運営に当たっている各管理組合の皆さんから、体験報告等がありました。このテーマは古くて新しいものであり、何時になっても議論の中心であります。
 管理委託契約の締結も総会決議が求められていることから、何よりも組合員の合意形成が不可欠であります。そのために、管理委託契約の締結には指針でも明らかにされているように「全ての情報を公開して、契約先の会社の力量・実績や、この契約によって無駄な経費を排除できるのかなど、組合員にとってどのような利益があるのかを明示すること」が合意形成の最低限の条件です。
 つまり科学的な見地を基に、手続きに関しても、先に示したように、理事会だけでこそこそと秘密裏に管理会社の選定作業を進めることは止めて、「少なくとも、公正で透明性が確保されることと、無駄な経費を排除するために競争原理を働かせること」が堅持できる選定手続きを行うことで、合意形成を達成できることと確信しています。

 また、以上のような方針を掲げて管理委託契約を進めようとしている管理組合でも、様々な理由から達成できず問題を抱えている事例もあります。
 この事例の場合は、理事会で進めるべき課題と手続きが合意形成できていない場合が多く、問題提起した理事長や理事の方々の落胆した姿を見るに付け、「提案内容は問題なくとも、どうして受け入れられないのか検討してみる」ことが必要でしょう。
 この場合、「管理会社の卑劣な理事長個人攻撃や、組合員の中に存在している管理会社の大手神話論、など」が上げられることと、「役員に立候補して運営の改善を目指している組合員を管理会社と一部の役員が妨害して」いる事例があり、組合員の共同の利益を確保するためには、より一層柔軟な対処と、日常普段からの合意形成に向けた取り組みが必要でしょう。
 そのために、総会一発主義から脱却して、マンションの将来展望も含めたコミュニティーの人間関係をどのようにすればよいのか、改めて考えてみるべきでしょう。




   セミナー・トップへ