「管理委託契約の見直しについて」


〇〇〇〇〇〇〇管理組合 理事長 宮木 豊


はじめに

 私どもの管理組合は分譲後9年目を迎え、新理事会が3月から発足いたしました。当管理組合も、独立系最大手の管理会社に「おんぶにだっこ」で全て管理会社のいいなりできました。
 前期の終了間近に、突如管理会社から管理委託金額の変更提案がなされ、理事会で議論した結果、理事会での審議がまとまらず、次期の理事会に引き継ぐことになりました。
 そこで、新理事会になってから管理会社の提案を再確認したり、管理委託契約に係わる様々な情報を求めて模索していく内に、平成19年5月21日開催の第9期、第3回理事会で、第9期の管理委託契約の締結について審議いたしました。
 その結果、これまでの管理会社と「業務の内容や価格を現行のまま据え置いて」引き続き同じ契約を締結することや、「管理会社の増額提案を認めること」は「組合員の共同の利益に適う」ことにはならないという結論に達しました。
 本管理委託契約を巡っては、前期の平成19年3月に、現在管理契約を締結している管理会社から月額308,200円を322,200円にし月額14,000円の引き上げ、年額では168,000円引き上げの提案がなされました。
 しかし、前期理事会は情報を収集して、「このような引き上げは納得できないので理事会としては総会に提案できない」として、お断りした経緯がありました。


概要診断を依頼

 今期の理事会になりまして、現在の契約は、この6月末日を持って契約終了となることから組合員の皆さんが納得できる管理委託契約を締結するために様々な情報を集めて検討して参りました。
 その中で、現在、札幌市内を中心に、マンション管理組合の支援活動を行っているNPO法人北海道マンションネットに、現在の契約価格等について診断していただきましたところ、次のような事実が判明いたしました。


診断の結果は(管理委託経費で120万円の節減が可能)

一般会計の概要診断(税抜き)

科   目 現契約額 診断価格 診断価格の説明
管理委託経費 3,698,400 2,437,600 事務管理業務費      500×38×12=228,000
管理員業務費 賃金 900×28×4×12=1,209,600
          法定福利費(日常清掃資材費含)
                  20,000×12=240,000
              計          1,449,600
日常清掃   管理員が兼ねる           0
定期清掃(年4回ガラス2回) 30,000×4=120,000
                   20,000×2=40,000
消防設備点検(年2回)            100,000
受水槽清掃(年1回)              65,000
給水設備点検管理員が兼ねる           0
機械警備           11,000×12=132,000
特殊建築物点検(3年毎)           15,000
建物定期点検(年1回)            20,000
灯油タンク点検管理員が兼ねる          0
一般管理費                       0
管理報酬          500×38×12=228,000
|事務管理業務費
|管理員業務費
|日常清掃
|定期清掃
|消防設備点検
|受水槽清掃
|給水設備点検
|機械警備
|特殊建築物点検
|建物定期点検
|灯油タンク点検
|一般管理費
|管理報酬
232,800
2,160,000
管理員が兼ねる
366,000
300,000
72,000
12,000
180,000
32,400
24,000
19,200
180,000
120,000
228,000
1,449,600
0
200,000
100,000
65,000
0
132,000
15,000
20,000
0
0
228,000
エレベーター保守
 
電気料
ロードヒーテング灯油代
1,696,400

1,966,390
1,228,149
1,632,000

1,459,200
836,000
エレベーター保守点検(フルメンテナンス)
             34,000×4×12=1,632,000
電気料        3,200×38×12=1,459,200
ロードヒーテング灯油代 22,000×38=836,000
8,589,339 6,364,800  222万円程度の節減が可能になる

診断のコメント

(1) 経費の節減対象科目についてのみ一覧に表しました。他の業務についても現行より引き上げる要因はありません。現行維持か引き下げが可能です。管理委託経費では現行より、凡そ、126万円程度の経費の節減が可能であります。

(2) 管理員の勤務時間は週4日が適正であり、現行の稼働の場合は年額205万円の経費が必要になりま す。従いまして、当該マンションのような小規模では週4日で十分対応できると確信しております。
 週4日の場合は、賃金 900×28×4×12=1,209,600
            法定福利費(日常清掃資材費含む)20,000×12=240,000
              計           1,449,600
 よって、現契約価格(2,160,000)と比較して、710千円程度引き下げることができます。

(3) 本価格を実現する方法はマンションネットの開発したノウハウを活用した競争入札方式にあります。管理業務仕様をマンション住民の立場から見直して適正な仕様を確定した競争入札方式を活用して、無駄のない管理委託契約を締結することであります。

(4) 管理委託契約の業務は「事務管理業務費、管理員業務費、日常清掃、定期清掃、受水槽清掃」に止めて、他の業務は個別に直接契約を締結することが、経費節減の手法であります。

(5) また、建物定期報告・特殊建築物定期報告も適正な業務を履行する一級建築士と契約を締結すれば診断通りの価格にできます。

(6) 電気料の削減も蛍光管・球に全て器具を取り替えることと、点灯・消灯の的確な励行など管理員と業務の調整を行うことによって、診断の価格を実現できます。

(7) ロードヒーテング灯油代はマンションの管理にとって頭の痛い問題です。管理会社にお任せの状態で冬期間は終日稼働させている無駄な運転は直ちに止めることが必要です。理事会の姿勢と管理員の協力で必ず節減が達成されます。札幌市内のある52戸の管理組合では第1期240万円の支出でしたが、理事会の運営を改めて、第2期は120万円で済ませ、経費の節減に貢献いたしました。


理事会が関心を持って取り組むこと

 もし、以上のような価格が実現できれば、その余剰金は当然修繕積立金会計に振り向けて、組合員の負担の軽減に繋がると確信するに至りました。この間、マンションネットの管理セミナーにも参加して、多くの管理組合が関心を持って、適正な管理委託契約を結ぶために努力している実態にも触れました。当管理組合の理事会も、これまで管理会社に全面的にお任せして参りましたが、組合の運営に関心を持って取り組み、組合員の皆さんの期待に応えるよう努力する所存です。


どのような方法が業務の質の向上と適正な価格を実現するのか

 診断の結果は、業務の内容変更や理事会自らの努力も必要でありますが、管理委託経費で120万円、他の経費でも100万円、計220万円程度の節減が可能であることが判明いたしました。
 マンションネットのセミナーで各管理組合の事例報告があり、業務の質を向上させて、診断通りの経費の節減が実現していることを知り、当管理組合もこの方法を活用して組合員の共同の利益を得る競争入札方式を選択することに致しました。

「競争入札方式とは」

 管理委託業務の内容と契約書を管理組合が提示して関係業者に見積書の提示を求めるものです。
 官庁など巷間囁かれている談合を排除するため、見積書は理事会の開封まで一切誰も閲覧出来ないようなノウハウなど厳重なルールを作って行います。従って、競争入札制度の透明性、公平性、競争性を確実に担保することになります。


余剰金は修繕積立金に繰出 大規模修繕に備える

 現在、当管理組合が組合員の皆さんから負担いただいている修繕積立金は月額1u当たり凡そ100円です。その算式は、 年負担総額4,332,000円÷専有総面積3,612.92u÷12月=99.92円 となります。
 しかし、この積立金では30年間で行う全ての改修工事に対応できる修繕積立金ではありません。国土交通省が示したマンション管理標準指針では、38戸程度の場合は、1戸当たり560万円が必要になります。
 その場合の算式は 38戸×5,600,000円÷専有総面積3,612.92u÷30年÷12月=163.61円 となります。 従って、1u当たり凡そ、64円の不足です。
 組合員と理事会の努力で、診断通りの経費の節減が年間220万円実現できれば、どの様になるのでしょうか。算定してみました。
     年間節減額2,200,000円÷専有総面積3,612.92u÷12月=50.74円 となり、50円程度捻出でき、現在の修繕積立金不足分64円に接近し、組合員の負担は極わずか、或いは当面必要とならないということも考えられます。


管理委託契約の見直しを進める

 以上のような診断結果、理事会として第9期の管理委託契約は、これまでの管理会社と自動更新的な契約を根本から見直して、「北海道マンションネット」が勧めているマンション管理適正化法をより所にした適正な方法である「競争入札方式」を採用することにいたしました。
 これらの進め方は、理事会単独では進めることは至難の業であり、NPO法人北海道マンションネットのノウハウを活用するために、担当理事に支援していただきました。

@ 5/22  契約書及び業務仕様書の確定
A 5/23  管理委託契約に係わる見積書の提出依頼(10社)
B 5/28  見積書の提出期限
C 5/28  理事会(見積書の開封)
D 5/29  臨時総会の資料作成
E 6/ 1  臨時総会の資料配付
F 6/ 9  臨時総会(次期の管理委託契約締結の決議)


競争入札方式の結果

 このような手順で管理委託契約を進めて参りましたが、10社に見積書を依頼したところ8社から見積書の提出がありました。
 なお、管理委託契約の業務は「事務管理業務費」「管理員業務費」「定期清掃費」「受水槽費」「管理報酬」とし、消防設備、機械監視、エレベーターの保守点検等は個別に関係業者と契約しました。


(年額、税抜き)

既存の契約金額 事務管理 管理員業務 定期清掃 受水槽清掃 管理報酬 消防設備 機械監視
3,610,800 232,800 2,160,000 366,000 72,000 300,000 300,000 180,000
変更後の契約金額 事務管理 管理員業務 定期清掃 受水槽清掃 管理報酬 消防設備 機械監視
2,254,000 228,000 1,449,600 152,000 48,000 182,400 80,000 114,000



臨時総会で議決

 臨時総会の議事はスムーズに進められ、理事会の提案した管理委託契約の締結は満場一致で可決いたしました。その際の、私の挨拶と管理委託契約の提案理由です。


 「理事長を勤めさせていただいております宮木です。本日の臨時総会出席ご苦労様です。私も管理組合の運営には、全くの素人でありどのように進めていくのか皆目検討もつきませんが、理事会の皆さんのご協力で、何とか進めております。さて、本日の総会のテーマである管理委託契約の締結は、昨年度の理事会からの引き継ぎ事項でありましたし、現在の管理会社から業務内容と価格の変更提案もあり理事会で検討してきたところです。現在の管理委託契約は今月限りであり、今後どの様にしていけばよいのか種々検討する中で、管理組合の運営支援を専門的に実施している「NPO法人北海道マンションネット」に支援を要請することを理事会で決定致しました。
 本マンションネットはこれまで相当多くの管理委託契約の支援を行い実績を上げており、マンション管理適正化法の趣旨に則った適正な契約の方法を具体的に支援していただきました。この支援の中で管理委託契約は毎年総会に提案して組合員の合意が必要であるということも知りました。また、適正な価格と良質な業務を確保するために、管理委託契約書と業務仕様も管理組合自らが策定して、登録業者からの見積書の提出を求めるという方法も学びました。


 その結果、本日皆さんに提案している管理委託締結の議案が出来たしだいです。本提案は支援をいただき、本日ご臨席お願いしたマンションネットの理事である菅名さんから理事会業務の補助として、説明をお願いすることにしておりますが、新しいマンション運営の方法ということであります。
 更に、後5年くらい立ちますと、外壁や屋上の防水工事など大規模修繕工事も実行しなければならず、その後も建物等の劣化具合により適正な改修工事を行わなければなりません。そのために、組合員のみなさんから毎月修繕積立金を収めていただいております。しかし、マンションネットの診断によれば、現在の負担では将来の建物等の保全は万全ではありません。そのために、負担の引き上げによらず、管理費の節減によって、修繕積立金の不足分を補う方法こそ、区分所有者の利益になると確信するにいたりました。
 今回の管理委託契約等で発生した余剰金は全て、修繕積立金に積み立てて負担増にならない方法を進めて参る所存であります。どうぞ、皆様のご理解と、ご協力をお願いいたします」



管理委託契約締結の提案説明

(1) 管理委託契約は「マンション管理適正化法施行」より特定の管理会社と一回契約を締結すれば自動更新していく方法は改められ、毎年管理委託契約を締結することになりました。

(2) その管理委託契約先を決定するために、管理組合の共同の利益を最優先に考慮した「競争入札方式」を活用して、透明性、公正性、競争性が担保されるように致しました。
 管理組合が、管理委託契約書と業務仕様書を確定して、関係業者に見積書の提出を10社お願いしたところ、議案にあるような8社の業者が見積書を提出しました。

(3) 契約業者の決定は最低価格の(株)〇〇〇〇として、業務が確かに履行されるのかどうか、会社の社長と担当フロントを理事会にお呼びして、会社の姿勢、業務内容、など多岐に亘り質問して問題がないと判断しました。また、マンションネットからも情報を提供していただき、現在、管理されている管理組合の履行状態も伺ったところ適正に実行していることも確認できました。

(4) 管理委託契約(事務管理業務、管理員業務、日常清掃、定期清掃、受水槽清掃)以外のエレベーターの保守点検、消防設備の点検、建物定期点検、等の業務は関係業者に見積書を提出させて個別に管理組合と契約していく方法に変えることに致しました。このことによって、これまでとは価格の面で大きく経費の節減が可能になります。既に、エレベーターの点検では月額13万円を12万円に引き下げる事で、年間12万円の節減になりました。更に、消防設備点検では、現在30万円のところ、10万円程度に、給水設備は管理員さんが行うので必要としないこと、機械警備も5万円程度引き下がること、などが説明されました。 その他に、電気の点灯消灯の適切な調整により年間で50万円程度の引き下げ、ロードヒーティングの冬期間全面稼働を止めて降雪のない時期の運転止めなど環境にも配慮した運転に心がけ年間で40万円程度の引き下げを目指すことも明らかにされました。このような経費の節減は理事会のなみなみならない努力と、管理会社や管理員さんの協力が欠かさないものであります。実際にあった事例として、50戸のマンションの場合冬期間全面運転で240万円を負担してましたが、理事会が節減を決意して対処したところ、120万円の節減に成功した例が説明されました。

(5) 今後予定している大規模修繕工事を行うために区分所有者から毎月貴重な負担を頂いていますが、現在は1u当たり100円の徴収ですが、国土交通省等が示している適正な修繕積立金と比較すれば、当マンションの場合、1u当たり163円程度になり、63円の不足となります。しかし、マンションネットの診断どおり年間220万円程度経費の節減が達成され、その財源を修繕積立金に繰り出すことによって、当面は区分所有者からの負担の引き上げは回避できます。



管理委託見直し後の現状

 平成19年6月1日から、これまでの独立系最大手の管理会社から地元の管理会社に変更になり、理事会も一新され、新しい運営が始まりました。
 これまでの、管理委託は全てお任せ状態という「最悪の管理を根本から改善する」として始めましたので、まず理事会の運営方針として次のように決めました。


1.毎月理事会を開催すること
 本理事会では、管理会社と管理員からの業務報告と、各理事から報告を行うことに致しました。

2.理事会での決議事項などは組合員広報を通じて必ず報告すること

3.無駄な経費の垂れ流しは止めること
 管理委託契約の見直しで、マンションネットが診断したとおり余剰金が生じ、修繕積立金会計に繰り出すことになりました。
 また、ロードヒーティングの稼働調整を行い、これまでのような冬期間全面自動運転は止めること

4.管理規約を改正すること
 現在の規約は法令に準拠しておらず、標準管理規約をベースに大幅な改正を行うこと


 以上の課題を掲げて進めてきましたが、予定通り進んできております。




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