管 理 委 託 契 約 の 見 直 し の 経 験 報 告


〇〇〇〇〇管理組合理事長  石 井 昭 夫


 私達のマンションは築20年の物件です。管理会社は当初は分譲した社の子会社が担当しておりましたが、同社が倒産し、私達に詳しい説明の無いままに管理業務は本社が在京のA社に移管されて昨年に至っておりました。その過程で管理業務委託費は何度か「見直し」され、値下げされてまいりました。この値下げが私たちが今まで管理会社を盲目的に信頼する一因になったと思います。
 現在は、基本的な毎日の業務は地元の管理会社に、エレベーター等の定期保守点検については直接契約を結んでおります。業者の選定は北海道マンションネットに支援いただき、仕様書に沿った入札を行った結果をもとに決定いたしました。


 私が北海道マンションネットとお話をさせていただいたのは昨年の7月に灯油の共同購入について相談したのがきっかけでした。昨年までの灯油納入業者は同じ日付で2度の値上げを一方的に通知してきて、翌月にはそれ以上の単価で請求書を送ってくるような会社でしたが、分譲以来の付き合いで、それまで誰も疑問を持たずに、と言うか業者を変えるのが面倒で、まかせっきりにしてまいりました。
 この業者のありように疑問を持っている時に、知人から北海道マンションネットを紹介されて、ホームページを見て灯油の価格以外にも、管理契約関係の項目を拝見して正直に申しまして目を疑いました。管理会社の経費、エレベーターの保守点検をはじめ当時の当マンションが契約している固定費の年額約380万円が数十万円削減できる可能性が書かれてあったからです。


 半信半疑で北海道マンションネットに管理の経費について相談しまして、8月に入り仕様等を指導頂きながら入札による業者の見直しを進めるに従い、それまでの、管理会社A社の価格の高さもさることながら、内容のいい加減さに呆れ果てるような事実が次々と判明してまいりました。
 例えば、今回の入札に際してエレベーターについては複数の業者から「保守点検契約を結ぶことができない、」即ち、応札できない状態にあるとの返答をもらい、メーカーである日立にも見てもらったところ、過去にまともな作業の経歴がないと言える、作動油は一度も交換していない、パッキンやリングの交換も殆どなされていない、マイコンを場当たり的に操作して段差を修正したためにこれすらも正常な状態ではない、という報告を受け愕然としました。更に、過去の作業報告書をこの時に初めて閲覧して、事業計画では毎月行われているはずだった点検は当初より年に4回しか行われておらず、しかもその内容は籠の清掃のみ、理事、管理会社の検印もなくファイルされている、というお粗末さに激しい怒りを感じました。
 しかし、過去の総会で私たちは毎年、年12回実施予定の事業計画を承認し、同時に年4回しか行われていない事業報告の矛盾に気づかずに、これをも全会一致で承認していたのです。この件で所轄官庁の外郭団体に相談したところ即、法律相談をしたほうが良いと勧められ弁護士に相談し、兎に角、「契約が正常に履行されていたならば当然にあるべき状態」に戻すことを請求すべき、次に契約の不履行とも考えられる部分の返金請求をしたら良い、との意見を頂戴し、管理会社A社と交渉したところ、10日ほど経って、同社から業務委託をされていたエレベーター保守会社からの「今までの長期にわたる契約のお礼として、指摘された部分を全て改修する」という主旨の文書を持参し「交渉の結果ここまでの結論をやっと引き出せました」と胸を張って返答するという結末でした。点検回数については経費の返還を請求しましたが、毎月実施するという事業計画は何年にもわたって提案されていたにもかかわらず、「年4回」の誤植であったと文書で回答しただけで拒否されて、現在に至っております。


 別紙にあるとおり、それまでの当館はいわゆる一社に丸投げで管理を委託しており、そのA社が大手であること、何か問題が起きた時の対応が早い、担当者の人当たりが良いということ、他に管理会社の心当たりもないということで漫然と先方を信頼しておりました。
 それに対するA社の実際のありようは、極端な言い方ですが、エレベーターに限らず、「全てにつき善意に基づいて判断をしていた私たち」に対する背任の塊であり、ただ手数料の大きさを膨らませることのみを考えていたのだと感じております。
 機械警備費も今回、入札により委託する社を選定し、直接契約をいたしましたが、そこはそれまでA社が委託していた社と同じ警備会社であり、内容もそれまでと何も変わりはありません。むしろ、それまでは火災報知機、ガス漏れ警報機の存在を先方が認識していなかったため、これらは制御盤と接続されておらず、各戸で完結しただけだったものが今回、直接契約を結ぶに当たってこの不備が分かり、警備会社とラインでつながってサービス内容は明らかに向上したにもかかわらず、以前は年額151.200円、現在は100.800円です。A社は外面だけを整えて内容は全く精査せず、しかも、50%の手数料を上乗せし、「全国で通用し、高い評価を得ている会社である。」と語っていたのです。


 管理会社を一度疑ってみてください、ツテがないのなら北海道マンションネットや信用できる方に紹介してもらってください。
 私たちは、入札自体をどのように行えば良いのかは全く分かりませんでした。こちらから決まった仕様を提示して、それについて値をつけてもらわなければならないのだろう、ということが分かっていても、仕様自体を作成する知識が皆無であり、各種の見積もりを見ても仕様書と値付けの内容が全く理解できず混乱するばかりで、「どこにある、何を、どうするのか」すら分からずに、結局、管理会社は我々に最善の提案をしてくれているに違いないと確信して、日頃の保守や管理、そして部分修繕も任せっぱなしにしてまいりました。このような状態の我々が今回入札の形式で契約ができたのは北海道マンションネットに仕様書を作成していただいたからです。素人だからと尻込みせずに、善意で手を貸してくれる個人や団体にまずは相談してみること、これは、「誰をどこまで信じたらよいのか、」「面倒ばかりで実が上がらないのではないか、」という不安がつきまとい、なかなか最初の一歩を踏み出すのには躊躇しますが、今、私たちが得た結果を考えると、このような保守管理契約の形態を自分たちもできるのだ、ということをもっと早くに知る機会が欲しかったと感じております。


 直接契約は今のところは手間もかかり、日々、面倒の繰り返しですが、これは最初のうちだけだと思っています。一年経てば多くの事が軌道に乗り順調に進むようになると考えています。そこからは以前のように任せ放しにしないことが肝要だということも今は認識しております。
 契約形態を変えると経費の削減だけではなく、管理人さんとの関係も目に見えて良い方向に変化してきます。私たちは管理会社が変わっても管理人さんは変えない事を入札の際に条件としました。居住者がその様な条件をつけるほど、今の管理人さんには決められた業務以外にも自発的に多くのことをしていただいていたからです。


 今回、新たな地元の管理会社を通じて時給900円で管理人さんに仕事をお願いしていますが、従来の清掃以外に上下水道関係、エレベーター等の毎日の基本的な点検、灯油の検尺や管理等に加えて、自発的に町内会との意思疎通までをも行ってもらっています。また、除雪業者や、排水管清掃業者との契約にも立ち会ってもらい作業がうまく運ぶような知恵を請うと、居住者の生活パターンから作業手順についての助言をしてくれる大変貴重な、まさに管理員という存在になってもらっています。管理人さん自身も「清掃員から管理員に変わった。組合の期待に応えなくてはならない」とおっしゃってくれるようになり、毎朝10分程度ですが意見交換をして、こちらが気がつかなかったこと、知ることのできないことを数多く報告、指摘をしてもらい、その積み重ねをもとにして、昨年の12月には長い間の懸案であったペットについての規約改正やインターホンの交換といった大きな作業に踏み切れたと感じております。


 以前にも、A社に管理人さんの業務範囲を広げられないか相談しましたが、A社からは清掃業務以外を任せる雇用契約を本人とは結んでいない、本人もそのつもりで当館の管理人をしているので、作業内容の追加は受けられない、もし、追加するならばそれにかかる教育費用と時給アップ、そしてA社の管理料金の増額がなければ受けられない、との理由で断られてまいりました。現在は管理員さんに理事会議事録を閲覧してもらっていますが、過去に管理会社からこのように業務範囲を清掃に限る旨の発言があったことを知るにいたり本人はかなり不本意な感想を持っているように見受けられます。
 今回、このような形で管理契約全般を見直して、更に感じるのは、これまでの管理会社には当館の財務内容などは全く眼中に無く、ただ自己の利益だけを求めていたのだ、という事実であり、あのような会社と契約するのであれば予算計画、財務状況の把握は自分たちでやれることはやらなければいけない、ということです。


 A社がこちらからの催促に応じて昨年春になって出してきた長期財務計画は上水道管、受水槽の交換と大規模修繕のみが今後の支出予定にあるだけとしか思えない物でした。しかも、修繕積立金を段階的に30%以上の値上げをしても、2016年の次期大規模修繕時には1.000万円以上を借入するというものです。あのままにしておいたら、大変なことになっていたと今になって考えると背筋が凍る思いです。
 ご覧のように今回の管理業務契約の見直しで、固定費用を年額で100万円余り削ることに成功しました。これは修繕積立金を30%強、値上げした効果と同じであり、A社が段階的に計画していた最終の増額分とほぼ同額です。当館はこれから積立金の増額を行い、前述の交換、大規模修繕以外に、インターホンを交換し、具合の悪い箇所が出たら場当たり的に修繕積立金を切り崩して対処する従来の手法をやめ、各所の小さな経年劣化部分を体系的に修繕していく為の予算組みをしていこうと考えております。この仕様についても北海道マンションネットさんの協力をいただくつもりです。ここに来てやっと健全にマンションの維持ができる土台ができたかな、と今更ながらに一安心しております。


 私たちが、このような危機的な財務状況に陥る寸前までに至ってしまったのは、再三申し上げている管理会社Aの体質もさることながら、エレベーターの件の時に申し上げたとおり、万事について先方の滅茶苦茶な行動に誰も気づかなかった、もっと正直に申し上げれば、そのように扱われても仕方のない、肝心なことには無関心な管理組合であったことが最大の原因であることは言うまでもないことであり、悔やんでも悔やみきれない気持ちでいっぱいです。
 これまでの私たちは日常の枝葉末節についての苦情を並べ立て、それについて迅速に対応する管理会社を善意に評価し、最も重要な契約に関しての部分や保守業務の内容はこれが世間並みなのだと信じきってしまい、誰もこれを注意して見ることがなく、A社の違法とも言える、ずさんな管理を見過ごしてきたのです。
 今までの、当組合は総会時には決まった数人が出席するのみで、その出席者の中で理事を長年にわたり再任し続けてまいりました。私もその一人ですが、少人数での総会の和やかな雰囲気の中で、管理会社から重要事項の説明も形式どおり行われ、誠実さを感じさせる担当者の物腰や、隙の無い返答が即座に返ってくる会話で、なんとなく両者の信頼の絆は太くなっていると勝手に勘違いをしておりました。今でも札幌の担当者は自社の基準内で精一杯の対応をしてくれていたのだろうと思っています。


 管理を任せるのは地場の管理業者でなくてはならない、と言うことはないと思います。たとえ契約する料金が高くてもそれに応じたクオリティーを提供している大手の業者も多くあるはずです。しかし、首都圏の相場、手法を単純に持ち込み、それを根拠にあらゆる付加サービスを関連会社に発注して二重に手数料を加算して値を付ける、一方では首都圏ではありえない報酬しか管理人に支払わない、このような業者との付き合いは早くやめるべきと私は思います。


 エレベーターの保守点検が計画の三分の一しか実施されていなかったことについてA社に返金を請求したときに、東京から出張してきた責任者が「契約を切られたことが私たちにとって大変なペナルティーであるとは思わないのですか?これ以上に私たちに金銭面でもペナルティーを課すとおっしゃるのですか?私の立場も考えてくださいよ」と言っておりました。私には「非は認めているのですから、もう勘弁してください」と言っているように聞こえました。



新旧対比(円・税込み)


新(21期) 旧(20期)
  科   目  
  予定額 契約額  
管理委託費
  事務管理業務
  管理員業務費
  日常清掃
  定期清掃
  管理報酬
  消防設備点検
  受水槽清掃
  1,941,030 (A社→一部をb社に委託)
           2,716,770
エレベーター保守点検費(d社)
 フルメンテナンス隔月・法定点検毎年
  453,600 (A社→S社に委託) 617,400
 年4回・毎年
機械警備費(e社)   100,800 (A社→e社に委託)  151,200
排水管清掃(f社)
 隔年(一回分を2分)
  58,800 (A社→b社に委託)  176,400
特殊建物点検
 3年毎
15,750   (A社→b社に委託)  30,000
 3年毎
建物定期点検
 毎年(c社)
  21,000 (A社→b社に委託)  33,600
 毎年
埋設給油管点検 50,000   (A社→b社に委託)  78,750
合  計 65,750 2,575,230  実 績      3,804,120
予定+契約金額 2,640,980

予定額は北海道マンション管理問題支援ネットの試算額です。




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