「建物・設備の日常点検」

北海道マンション管理問題支援ネット

一級建築士 細川 國雄



1.日常点検とは何か


 保守点検・清掃についてのうち点検については、次のように区分して考えましょう。


 このうち、法定点検については一級建築士など専門知識についての有資格者によることが義務付けられていますが、他のものについては所有者として、その建物に居住しておられる方々が一番建物について知っておられるし、変化(不具合に到る過程での外見的な変化−兆候)についても一番身近にいるわけですし、「自分達のもの」という意識は他に代え難いものであるはずですから、日常的に、あるいは半年に一回ぐらいの割合での定期的に、または長雨や台風や地震があった直後を臨時的に専門委員などを中心に建物の周囲や、共用部分の玄関ホールや廊下や階段を見回ってみて、ひび割れや、浮きや、錆などの出て来たところはないか、欠けて落ちそうな所はないか等を確認することで十分なのです。この時水漏れになりそうであったり、落下して下を通る人に危険を及ぼしそうだと考えられるものに対しては、部分的な対応としての経常修繕を早急に行う必要があります。
 これをもって、保守・点検となるわけで、行為の順序から言えば点検・保守と呼称するべきかも知れません。
 これらの繰り返しの中から、経常修繕の多寡、ひび割れなどの異常の進行状態,経過年数などを総合的に判断しながら、当初計画に盛り込んだ計画修繕の時期を早めたり、先送りしたり、または修繕の範囲の縮小・拡大や修繕方法の変更などを織り込んでの修繕計画の見直しや、より具体性を持たせた中期修繕計画の設定がなされることになるわけです。
 修繕計画の見直しについては、新築直後のもので考えるならば、1回目の計画修繕工事である鉄部塗装が行われる4年目ぐらいまでは、当初計画のままで行けるのが通例のようです。


2.点検実施の計画(ながれ)



3.理事会が行う点検及び専門家が行う点検


 マンションの維持管理保全上、区分所有者、居住者、管理員などで建物などの変化や異常を点検、観察する行為を「日常点検」と呼んでおり、法律で定められた「法定点検」や特別な技術や資格を有した者が実施する「○○定期点検(給排水設備、エレベーターなど)」と区別していますから、理事会が行う点検は外観的観察が中心となります。


3−1.亀裂−きれつ・ひび割れ−

コンクリート、モルタル、タイル、塗膜などが内部の応力、外部の応力、外部の衝撃または環境などの影響を受けて生じた割れ、剥離や落下、建物自体の耐久性にも悪影響を与えることがあるので注意が必要。


3−2.爆裂−ばくれつ−

亀裂からコンクリート内部に水が浸入し、コンクリート内部鉄筋が発錆・膨張し、このとき生じる圧力が周囲のコンクリートを破壊する現象。鉄が鉄錆に変化すると体積は約2.5倍に膨張するといわれている。


3−3.欠損−けっそん−

タイルやモルタルなどが部分的に欠けた状態。落下につながるので、注意が必要
(内部の応力によるものと、外部の衝撃によるものとがある)


3−4.白華現象−エフロレッセンス−

モルタルやコンクリートの中に含まれる石灰分(水酸化カルシウム)が水に溶けて表面に流れ出し、白く結晶化する現象。主にコンクリートのひび割れや、タイル及び石張りの目地から生じる。


3−5.浮き−モルタル−

モルタルとコンクリートの境界面の接着が不良となり、隙間が生じ、部分的に分離した状態。表面上は解りにくいので、打診による調査が必要となる。


3−6.浮き−タイル−

タイルとモルタルまたはコンクリートの境界面の接着が不良となり、隙間が生じ、部分的に分離した状態。タイル目地のモルタルの接着力が高ければ落下は免れる。


3−7.露出防水の劣化−砂付ルーフィング−

屋上などの防水層を、太陽の熱射から保護するために塗布した塗材(トップコート)が劣化し、防水シートの接合部などが剥離・口開きを起こしている状態。


3−8.白亜化−チョーキング−

塗膜およびシーリング材の劣化により表面が粉末状になる現象。手で外壁などの塗装表面をこすると白色チョーク状の粉が付着するので容易に判断できる。



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