事例報告その1
「五分の一条項に基づく臨時総会の招集請求と理事長等の解任」
DANK管理組合法人
副理事長 ○○さん
私どもの管理組合法人はマンション築後24年目に入り、建物・設備の劣化もそれなりに進んでおり、今後の適正な修繕が望まれているところであります。
これまでも、大規模修繕工事は行ってまいりましたが、理事会の運営が前理事長の閉鎖的でしかも独断的な執行によりまして、組合員にとっては大きな損失があったのではないかと予想しております。私も理事の一人としまして参加して参りましたが、何せ力量不足で理事長の独断的な運営を是正させることができませんでした。
そのような折りに、平成15年度の定期総会が平成15年5月31日開かれまして、予定されておりました、決算報告・事業報告・予算案・事業計画案が審議されました。この議案審議の中で、決算報告にありますように、修繕費の内温水器ブロー配管補修工事費737,730円の支出をめぐって、質問や意見が集中いたしました。
主な意見としまして「1戸にこれだけ高額な工事費がかかると思われない、工事の内容と見積書を示して頂きたい」等と追及されました。これに対して、理事長は「後日、総会後、具体的に工事見積書と領収書示す」と約束して総会は決算報告を承認いたしました。
しかし、その後、総会で「説明する」と約束しておりましたが、理事長は8月まで、その約束を反故にしたために質問した組合員は、当該工事を施工した業者に直接当たり、工事の施工実態を正しましたところ、決算報告では737,730円の支出がなされておりましたが、実際は驚くことに368,865円の支出であり、施工した業者より発行した真正な領収書の写しが示されました。
さて、このような大事件を予測したわけではありませんが、これまでの理事会運営でも修繕工事の見積書の収集も担当理事を無視して、理事長が行ってきた経過がありまして、この結果「今までの工事は全部、おかしいという雰囲気に」なりました。
組合員の間ではこの「業務上横領」という恥ずかしい問題はこのまま放置できないという空気が広がり、8月29日には問題を究明する「有志の会」が区分所有者70戸中23名で立ち上がり、不正を働いた理事長に対して、「説明を求める要求書」を提出いたしました。
しかし、理事長は9月5日付けで「お詫びとお知らせ」という誠意のない回答を寄せて、「何故、総会で虚偽の決算報告をしたのか」「過分に支出していた金額は何処にあったのか」等、肝心な問題には答えて頂けませんでした。
その後、9月22日「有志の会」は誠意のない説明に抗議して、「調査結果の説明と決算報告の修正、等について」改めて理事長に申し入れ致しましたが、誠意の無い対応から前回の回答が限度で、進展がないと判断しました。
従いまして、これまで、「道管連や警察、何人もの弁護士等に本問題の相談を行って、お金も相当掛かりましたが、先行きが前々見えませんでした」どのようにしたならば組合員が納得する解決が図られ、正常な管理組合運営ができるようになるのか、本当に見通しが立ちませんでした。
これより、相当以前に理事会の運営をめぐり、問題が発生した折り、組合員の総会招集権を活用して臨時総会を招集請求して、臨時総会を開催した経験がありました。この時は、打つべき手を打てず、必要な組合員の出席を頂けませんで結局、流会した苦い経験もありました。このような経験もしているために、今回も臨時総会を請求しても又、駄目になってしまうのではないか疑心暗鬼に陥っておりました。
このような困難を抱えていたとき、「有志の会」の方がマンションネットの存在を知り、「藁をもすがる気持ち」で事務所に電話しましたところ、「大変な問題ですね、お急ぎでしょうから直ぐおいで下さい」との快いご返事を頂き、早速その日の内に、「有志の会」の5名の女性で押し掛けました。
マンションネットの方には、これまでの経過について報告して、「この問題の不正を正して、管理組合を正常に運営する」ことはできるでしょうか。等と「堰を切るように」質問したり、意見を伺いました。
私どもの悲観的なお話にもかかわらずネットの方は「理事長の行った行為は明らかな業務上横領です。しかし、業務を委託していた管理会社はどうして理事長の不正な行為に対して毅然した対処をしなかったのですかね。不思議ということより、明らかに管理会社も債務不履行ですね」とも、おっしゃいました。
そして、「皆さんが最後まで結束して問題を解決する意思があれば、支援致します」と言い「これは皆さんの管理組合の問題であり、私どもは弁護士でありませんから、解決のための請負はいたしません。皆さん自身で実行してください。但し、必要な運動論のノウハウは提供します。それを必ず実行し、臨時総会を請求して、総会では必要な区分所有者の賛成を得ることができれば、皆さんの望む管理組合の正常化は必ず実現します」と、これまで相談した方は誰一人として話されなかった、特別に力強いメッセージをいただきました。
その日から直ちに、具体的なご支援を頂き、9月24日には、建物区分所有法第34条第3項の規定に基づき、組合員の五分の一以上の同意を得て、総会に付すべき審議事項を明らかにして、臨時総会の招集を請求いたしました。そして、その日から、総会で必要な組合員の議決権72戸の二分の一以上の賛同を得るための活動に入りました。
さて、請求した臨時総会は理事会が放棄しないで、10月19日に開催することに決定致しました。臨時総会当日はこれまで経験したことのない30名の区分所有者の出席がありました。組合員皆さんの関心が高まったことの反映と思いますが、理事長の行った行為を擁護する組合員もおり、結果がどのようにでるのか不安でした。
議長は組合員の中から選出され、議案その一「理事長の解任」その二「管理会社の債務不履行による契約解除」その三「監事の解任」等が提案され、審議に入りました。
これまでの総会と違い、発言者が多く、賛成、反対、或いは中立の様々な意見が交差し、午後3時から午後6時30分まで、延々と続きました。
しかし、採決の結果、道理は必ず達成するとは信じておりましたが、出席議決件数63戸のところ、賛成52戸、反対11戸で理事長の不正行為は組合員の総意で質されることになりました。
その後、新しい理事会が「前理事長の不正を糾明する方々の中から」選出され、今日に至っております。
新理事会も言うならば素人集団であり、これまで理事長や理事を経験した方もおられますが、我流で行ってきており、法令の遵守など念頭に無かった者ばかりであり、大変苦労しております。
しかし、その後もマンションネットの暖かいご支援の基に、管理組合の基本的姿勢を確立するために、理事会の憲法とも言うべき「理事会運営方針」を確定いたしました。それをより所の「座右の銘」として着実に運営を進めていく所存であります。
私どもの理事会運営方針は「理事会は定期的に開催し、組合員が傍聴できる公開制にします」「組合員が運営に参加するために、情報の公開を進めます。そのためにマンション通信を随時発行してマンション内のコミニュケーションを図り、組合員の意見、対案等の聴取も行います」「あまりにも当然とは言え、区分所有法、マンション管理適正化法等の法令を遵守した組合運営を行います」「組合財政が厳しい現状を認識して、無駄を省いた効率的な財政執行に努め、一般会計ではできるだけ余剰金を生みだし、修繕積立金会計に繰り出しするような運営を実行します。そのために、役員報酬の返上を行い、組合管理費での飲食は一切行いません」「臨時総会で決議された事項の執行に全力をあげて取り組みます」「監事には区分所有法に規定されている職務権限を行使した、会計監査と業務監査を求めます」と決定し、組合員にその決意を示しました。
情報の公開が、これまでの組合運営では皆無でありましたが、理事会運営方針で明らかにしましたように11月からこの2月の本日まで、11回の「マンション通信」を発行し、情報の提供等を実行して参りました。その結果、多くの組合員の方々から、叱咤激励を頂き一層活動に確信を持つようになりました。
今後は、管理規約等の改正が求められており、組合員の誠意に依拠して、専門家からノウハウも頂き、管理組合が風通しの良い、しかも住みやすいルールづくりに邁進する所存であります。
本、マンション管理セミナーにおいて、拙い私どもの、管理組合の少しの経験を報告させて頂きまして、誠に有り難うございました。今後とも宜しくお願い致します。
事例報告その2「大規模修繕工事の落とし穴と教訓」
○○管理組合 理事 ○○○○
1.建物の概要
用途 住居専用・入居戸数 46戸 (3LDK、70m3前後が大半)
構造 地上8階建・外装 全面タイル張り(50mm×100mm)
屋根 陸屋根・アスファルト露出防水
建築面積 600m2・延べ面積3,800m2
竣工 昭和62年 (A.D1987年)
2.工事期間等
大型修繕工事期間 平成12年(A.D2000年)秋・3ケ月
工事請負業者 N管理会社(I塗工部KKへ一括投げ請け)
請負代金 金6300万円
設計監理費 金350万円
外装タイル調査費 金120万円
追加工事費 バルコニー手摺柱下部・コーキング 金50万円
3.工事概要
(主工事のみ)
1)外装タイル剥離箇所の張り替え、酸洗い後タイル面、全面シリコン塗装
2)屋上アスファルト防水オーヴァーレイ修繕及びパラペット笠木取り替え
3)屋上ローカペンキ塗り替え
4)バルコニー床塗膜防水、手摺下部アルミ笠木被せ
5)玄関ホール床タイル張替え
6)サッシュ回りコーキング
4.工事の疑問点
1)設計管理費を受注しているのに、設計図書が無い
2)建設業法(一括下請け禁止・主任技術者、監理技術者の資格疑問)
3)剥離タイルの張り替え面積が契約書と、現場での替えた面積が過小
4)酸洗いで汚染が充分に落ちていない。全く無駄なシリコン塗装をしている
5)何故か屋上アスファルト防水下地のモルタルを60mm打設している(契約30mm)
6)手摺下部アルミ笠木と手摺柱との取り合い部分のコーキング施工要領書に記載されているのに追加工事として支払われている
5.落とし穴と教訓
注意点(落とし穴)1)修繕工事の押し売り、他のマンションの事例をスライド、ビデオ等を見せる。
(貴マンションは修繕時期に来ている。タイルが落ちる。赤水が出る。)
2)管理会社の提示する他社に比較見積書は、100%談合である。
3)契約書の確認
記載事項十一項目・相手請負会社の住所とトラブル対応
4)主任技術者及び監理技術者の資格の確認(免許証の写しの提出)。
5)工事範囲(設計図)の明示と工事仕様書、施工要領書と現場との確認。
6)管理組合側の契約担当者の責任と、専門家を加えたバックアップ体制。
大型修繕工事の落とし穴(人を陥れる悪い計略・岩波国語辞典)
管理会社は、管理組合の為に有るのではなく、管理組合は、管理会社の為にある。
管理会社は、NPO法人ではない。
修繕積立金を最も熟知しているのは、管理会社である。
大型修繕工事は15年サイクルとすれば、理事会も変わりその当時のトラブルのことは忘れている。然し管理会社にとっては、毎年この上ない美味い工事である。
建設工事は民法による外、建設業法、施工規則、施工令があり、建設工事の請負契約書の記載事項、(一括下請の禁止、施工技術の確保等)その他の規制がある。建設工事の特定建設業は、2年以上の指導監督的な実務の経験者がいれば出来る。取得の建設業種目は、単なる許可証で、施工能力を示すものではない。
『給水管取り替え工事(大規模修繕工事)の道のり』
北海道マンション管理問題支援ネット
細川 國雄
『無駄を省く給水管取り替え工事の道のり』
1.給水管取り替え工事の提案
(理事会へ漏水箇所の写真提出)
2.工事監理者の選択
(マンションの監理実績のある設計事務所への依頼)
3.給水管診断実施
(マンションの施工実績のある診断業者への依頼)
4.改修仕様書・改修図面・数量調書・予算書作成
(何を、どれだけ、どのように改修するかを打ち合わせる)
5.給水管取り替え工事の総会提案
(定期総会・臨時総会のどちらでもよい)
6.施工業者選定
(複数の実績のある業者選定)
7.施工業者入札
(公正に入札を実施する)
8.施工業者決定
(決定は理事会全員で)
9.施工計画書作成
(施工体制・緊急連絡先など)
10.入居者への案内文書配付
(目安箱の設置・協力文書など)
11.工事の実施
☆事前打合せ(水道局との事前協議・理事会からの要望など)
☆毎週工程会議・施工実績報告・施工予定打合せ
☆毎月工事出来高査定 (過払いに注意する)
☆竣工検査・竣工書類 (完成図・保証書・機器取扱説明書など)
☆アフター点検実施