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マンションのルールと販売会社 マンションの購入を検討される時に、管理費額、修繕積立金額、居住者向けサービス、また、それらを取り決めている管理規約、使用細則などは購入検討の重要な要素です。しかし、販売会社が提示しているこれらのものが、「絶対だ。」「将来も変更されない。」と勘違いしてはいけません。マンション販売終了後の販売会社は、マンションの運営に何の責任も持ってはいません。
管理組合 区分所有者(マンション購入者)は、「共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的」とし、区分所有者全員をもって管理組合を構成します。
管理規約(マンションのルール) 区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的として、マンションの管理又は使用に関する事項等について定められます。
マンション販売員のセールストークには限界があることを理解しましょう。 『管理組合規約等は、管理組合総会によって制定、改正されるものであり、管理組合は、マンションの区分所有者により構成されるから、販売会社は、販売終了後は、マンションに対して何らの権利義務を持たない。販売会社は、マンションの販売時に、購入希望者に対して、制定予定の管理組合規約等を交付し、承認をとっているが、それは、管理組合設立総会において、円滑に管理組合規約等が制定されるようにするために行っているにすぎない。』 @「ペット飼育は大丈夫。」
販売会社(販売員)は、将来の管理組合運営に何の責任も持っていません。 マンションにおけるペット飼育に関して、売主である販売業者の説明義務違反及び不法行為責任が否定された事例 事案の概要 被告(販売業者)が原告(マンション購入者)に対してマンションを販売する際、ペットの飼育に関して不適切な説明を行い、原告を同マンションでのペットの飼育が可能であると誤信させてその売買契約を締結させたとして、損害賠償または不当利得の返還を請求した事案。 原告(マンション購入者)の請求の趣旨 被告(販売業者)は、債務不履行及び不法行為による損害(マンション購入代金より時価相当額を控除した額、引越し費用、慰謝料など)908万5902円を支払え。など 請求の趣旨に対する答弁(判決) 原告の請求を棄却する。 福岡地方裁判所の判断(判決) 証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実。 (1)原告は、平成13年4月当時、福岡市所在のマンション(以下「旧原告宅」という。)に、B、翌年に小学校に入学する予定だった娘が住み、パグという種類の小型犬を飼育していた。
(2)被告は、平成12年12月ころから、本件マンションの販売を行っていた。
○ 被告が、購入予定者に提示した本件マンションの管理組合規約案には、以下の規定があり、同案は、本件マンションの管理組合規約として承認され、現在も通用している。 第17条 区分所有者及び占有者は、本マンション内において、次の行為を行い、又は他人に行わせてはならない。但し、建物等の保存に有害でなく、その他建物等の使用又は管理に関し、区分所有者の共同の利益を損なわず、且つ、他の居住者に迷惑を及ぼしたり、不快感を与えたりしない使用上のやむを得ない行為であって事前に管理組合の承認を受けた事項はこの限りではない。 10号 その他区分所有者の共同の利益に反し、又は他の居住者に迷惑を及ぼしたり、不快の念を抱かせる行為をすること。 第45条1項 組合員(=区分所有者=マンション購入者)は、その所有する住戸1戸につき各1個の議決権を有する。 第46条3項 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。 1号 規約の変更 ○ 被告が、購入予定者に提示した本件マンションの使用細則案には、以下の規定があり、同案は、本件マンションの使用細則として承認され、現在も通用している。 第1条 本マンションの区分所有者または占有者並びにその家族(以下「居住者」という。)は、当該専有部分およびその専用使用部分の使用にあたり次の行為をしてはならない。 12号 その他、公序良俗に反する行為および他の居住者に迷惑・危害を及ぼす行為をすること。 (3)本件マンションの販売を担当していたCは、平成13年4月ころ、旧原告宅に電話して、電話に出たBに対し、本件マンションを販売中であることを伝えた。
(4)Cは、平成13年5月ころ、数回、旧原告宅を訪問し、原告及びBも、本件マンション付近に開設された現地販売事務所を訪問して、Cから本件マンションの詳細等の説明を受けたが、その間、本件マンションでのペット飼育の可否が話題になることはなかった。
(5)原告らは、さらにX校区内で、ペット飼育が可能なマンションを探していたが、適当な物件が見当たらなかったため、平成13年8月ころには、再度本件マンションの購入を検討するようになった。
(6)C及びDは、平成13年9月22日、本件売買契約締結のため、旧原告宅を訪問した。
(7)原告とその家族は、平成14年3月末ころ、飼育している犬と共に、本件マンション2号室に引っ越してきた。 (8)平成14年5月ころ、本件管理組合総会が開かれ、組合員の一人から、本件マンションはペット飼育禁止であるはずなのに、ペットを飼っている人がいるとの発言がなされた。
(9)原告が、被告に対し、本件売買契約時のペットに関する説明の状況について説明するよう求めていたところ、原告への販売担当者であったCは、平成14年11月ころに管理会社の担当者とともに、同年12月1日には一人で、原告宅を訪問した。
(10)平成15年4月5日、本件管理組合臨時組合員総会において、ペットの飼育に関し、次の三案が提示されたが、採択には至らなかった。なお、欠席者9名による不在投票の投票結果は、b案5票、c案4票であった。 a案 ペットの飼育を全面的に禁止する。 b案 規則を定め、それを遵守することを条件に現在飼育中のペットのみ1代限り認める。 c案 規則を定め、それを遵守することを条件にペット飼育可能とする。 (11)本件管理組合は、上記臨時組合員総会において、上記三案の採択までの間、ペットの飼育について、以下の規定によることを決議した。 ア 現在飼育しているペット以外の飼育は禁止する。来客のペット持ち込みも禁止する。 イ ペットと外出する際は、籠に入れて移動する。 ウ エレベーターにペットを同乗させる場合、他の同乗者に告知する。
エ 管理人の日常清掃の範囲で、ペットを飼っている住戸・アレルギー体質の家族のいる住戸の前の清掃は特に念入りに行う。 (12)原告は、現在、本件マンション2号室の原告宅で、ペットである小型犬の飼育を続けている。Bは、同犬を散歩のために室外に出す際には、できる限りエレベーターに乗らないようにしている。また、隣家にペットアレルギーを持つ子供がいるため、室内にいてもできるだけ窓を開けない、バルコニーの隣家寄り部分には洗濯物を干さない等の配慮をしている。 争点(債務不履行)について (原告の主張) ア 被告は、マンションの売主として、契約を締結しようとする買主に不測の財産的、精神的損害を与えないように共用部分、専有部分の用途その他利用制限等、建物または敷地の使用権に関する規約の定めの内容につき、特に重要事項として説明する信義則上の義務を負っている。 イ それにもかかわらず、被告または被告の履行補助者であるC、D(以下「D」という。)は、原告及びBに対し、本件マンションはペット飼育が可能であると説明し、ペット飼育の可否が将来において変更される可能性、他の購入者のペット飼育に関する認識を説明せず、ペット飼育に関する正確な情報を提供しなかった。さらに、被告は、他の購入者に対し、ペット飼育は禁止されていると説明していながら、原告に対しては、他にもペットを飼育している購入者がいると述べるなど、虚偽の説明をしており、被告は、上記説明義務を果たしていない。 ウ したがって、被告は、原告に対し、債務不履行責任を負う。 (被告の主張) 省 略 (裁判所の判断) (1)ア マンションにおいて管理上必要な事項は、居住者を組合員とする管理組合が制定した管理組合規約等により定められるところ、管理組合規約等は、当該マンションの居住者の生活に直接影響を及ぼすものであるから、マンションの販売業者は、購入者に対して、管理組合規約の内容等について説明する義務を負う。そして、ペット飼育の可否についても、ペットは鳴き声、におい、糞尿、毛等によって、他の居住者に迷惑を及ぼすおそれがあるから、多数の者が居住するマンションにおいては、管理組合規約等により禁止または制限されるのが通常であって、マンション販売業者は、購入者に対して、制定予定の管理規約等の内容を説明する限りにおいては、ペット飼育の可否ないしその制限等についても説明する義務を負うといえる。
イ また、原告は、被告は原告に対し、被告が他の購入者に対して、本件マンションではペットの飼育が禁止されている旨説明し、他の購入者の中に、ペットの飼育が禁止されているとの認識のもとに本件マンションの各居室を購入した者がいるという事情について説明する義務を負うと主張する。
(2)以下、被告が、ペット飼育の可否ないしその制限に関し、制定予定の管理組合規約等の内容を説明する義務を果たしたかを検討するに、原告は、C及びDが、ペット飼育が可能であると断定する虚偽の説明したと主張し、それに沿う供述をする(原告本人)。
(3)以上から、ペットの飼育の可否について、被告に説明義務違反があったとはいえず、被告は、原告に対し、債務不履行責任を負わない。 争点(不法行為)について (原告の主張) ア 被告は、C及びDをして、原告及びBに対し、本件マンションにおいてペット飼育が可能であると説明し、ペット飼育の可否が将来において変更される可能性、他の居住者のペット飼育に関する認識を説明しなかった。
イ 仮に、C及びDの上記詐欺行為が被告自身の不法行為にあたらないとしても、C及びDの行為は、本件マンションの販売という被告の業務の執行においてなされたものであるから、被告は、使用者責任に基づき、その責任を負う。 (被告の主張) 省 略 (裁判所の判断) (1)前記のとおり、被告が原告に対して行った説明は、制定予定の管理組合規約等の規定に従ったもので、説明義務違反があったということはできないから、被告が原告を欺罔したということはできず、また、被告が行った説明が、不十分、不適切だったともいえないから、被告の説明が不法行為にあたるとはいえない。 (2)ア 原告は、被告が、原告とその他の購入者に対し、相反する説明を行ったため、ペット飼育が不可能になる可能性が高くなり、また、事実上ペット飼育は困難な状況になったと主張する。確かに、本件マンションの購入者の中には、本件マンションではペット飼育が禁止されているとの説明を受けたと陳述したり(甲19ないし21)、管理会社が行ったアンケートにおいても、16名がペット飼育は禁止されていると説明を受けたと回答している(甲2)ことが認められる。 イ しかし、制定予定の管理組合規約等では「他の居住者に迷惑・危害を及ぼす行為をすること」が規定されているのみであり、被告が前記のとおり、ペット飼育について制約があることを説明したことに対し、その受取り方につき、購入者間に、認識の差が生じたとしても、これをもって、被告が相反する説明をしたということはできない。そして、他の居住者が、被告からペット飼育は原則禁止されているとの説明を受け、ペット飼育は一切禁止されていると認識して入居していたとしても、前記のとおり、それによってただちに本件マンションにおけるペット飼育が禁止されるに至るものではなく、また、他の居住者の認識が、本件マンションにおけるペット飼育の可否に直接結びつくものでもない。
(3)さらに、原告は、被告が、原告の隣室3号室を販売したE(以下「E」という。)の子供はペットアレルギーを持っており、そのため、原告のペット飼育は困難になったと主張する。
以上より、本件売買契約に関し、被告に債務不履行及び不法行為があったとは認められず、また、本件売買契約は有効に成立しており、原告による取消しも認められないから、被告は、原告に対し、損害賠償義務及び不当利得返還義務を負わない。 (福岡地方裁判所第5民事部) |