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基調報告 「マンションとは何か、 マンション選択の考え方」
マンションの現実
マンションは共同住宅であり、その原形は長屋です。昔の長屋は木造住宅の安普請が定番、現在でもそのような面影の残る建物があります。隣の声や生活音がいやでも聞こえてくる庶民の住まいでした。
マンションは長屋を縦にし、木造から鉄筋コンクリート造或いは鉄骨・鉄筋コンクリート造の非木造住宅にしたまでです。
「隣でペットを飼育して、騒音と悪臭で困っています。管理員さん何とかなりませんか。このマンションはそもそもペット飼育禁止でしょう。何故排除できないのですか」
「土日になれば上階は宴会を開き、大騒ぎし、カラオケ三昧、本当に困っています。理事会のみなさん何とか取り締まって下さい。家族の睡眠妨害で食欲がありません」
「夜中に上階から水漏れがあり、休んでいられませんでした。どうしてこんなことになるのでしょう。家財道具の被害が出ました。保証は誰がしてくれるのですか」
「キッチンの排水が逆流して台所・居間が汚水にみまわれ、階下にまで被害を及ぼした」
「深夜に帰宅して、どんどん物音をたてて何をしているのでしょうか。取り締まりはできないのでしょうか。理事会で対策をたて申し入れしても改善されなかったので、仕方なく弁護士に依頼して提訴した。この先問題が解決されるのか不安です」
「道路を挟んだ南側に10建てのマンションが工事を始めた。理事会は何故反対運動しないのか。私たちの日照権が奪われる。特に6階までの住居には相当の影響がある」
「地下に埋設してある灯油タンクは漏洩事故が有ると聞くが、ところどころのパイプシャフトで油の臭いが激しい、大丈夫でしょうか」
更に、「給湯のボイラーの故障による水漏れ」「一家の夜逃げ」「管理費・修繕積立金の長期滞納者の対策を放置している」「理事会が総会後一度も開かれていない」「理事長が管理費を水増し請求して、横領した」「修繕工事代金が不当に高く支払われた」「分譲業者は建物の不具合の是正を申し入れても取り合ってくれない」「このマンションには様々な問題があるのに理事会は管理会社にお任せで何ら対策を立ててくれない」「総会で建設的提言をしても理事会は全然取り上げてくれない」「理事会は情報の開示を全くしてくれない」「築8年になるが当初の理事が現在も継続して就任している。何かおかしい」「修繕積立金が入居時と同じ額、引き上げしないで適正な修繕ができるのか」等、苦情や問題が山積している現在のマンション事情があります。
従って、「マンションとは何か」と質問されれば、マンションの現実を知れば「煩わしさの集合体」と言わざるを得ません。この煩わしさを別名「マンション問題」とも呼称しているところです。 しかし、煩わしいと感ずる方はほんの一部の方、多くの区分所有者と入居者はマンションの運営には無関心であり、煩わしいという認識は殆ど無いありません。
つまり、当該マンションの「煩わしい問題」を適正に解決する、管理運営を目的意識的に実行しようとすれば、かなりの精神的・肉体的負担が伴います。何故かと言えば、マンションの管理運営には法律が20本も張り付いて、理事会の自分勝手な運営が赦されておらず、極めて専門的であること。また、マンションの建物・設備の構造も複雑で保守・点検には一級建築士等の専門家の長年の経験とノウハウが求められるところにあります。
マンションを買い求める方々の多くは、アンケート調査で「マンションのイメージを尋ねると」゛冬期間の雪かきをしないで済む゛゛隣近所のつき合いしなくてもいい゛と答えています。確かに外からみれば、そのように感じるのでしょう。しかし、マンションの現実は外観から見ても分かりません。これからマンションを購入しようとしている方々のマンションに対する見方は、テレビ、新聞の報道と共に分譲会社からの一方的な宣伝により「作られた固定概念が支配」しており、入居後の煩わしい現実を目の当たりにし、その乖離が余りにも大きくて落胆しているというのが現実ではないでしょうか。
マンション選択の考え方
〜 その1
マンション選択の基準について、アンケート調査したところ゛交通の便利なところ゛を選択基準の第1にあげている方が圧倒的に多く、次に゛環境の良いところ゛があげられています。このような基準は当然と言えば当然のことですが、多くの方々はつぎのような点を考慮しております。
○マンションの立地条件を重視していること (交通のアクセスがどのようになっているか、ス
ーパーなどの商店があるか、 学校が近いか、近くに病院があるか、静かさ、等)
○生活設計上、ローンの返済計画等を考慮していること (借家よりローン返済の方が安いという分譲会社の殺し文句)
○間取り、日照など住居の環境に関すること ○管理組合が徴収する管理費や修繕積立金の負担額に関すること
○マンションの付帯施設・設備に関すること
等があげられます
以上のような項目が一般的です。それ以外にも゛マンションは長持ちする゛゛マンションは機密性が高い゛゛マンションは安全だ゛等があげられています。
これらの選択基準は分譲会社が販売時に特に強調する事項でもあり、販売戦略上どうしても掲げなければならないものなのです。
また、マンションを巡る報道も分譲会社の販売戦略に乗せられて報道しているように見受けられます。このような選択基準は間違いではありませんが、一番重視しなければならない問題点ということでしょうか。考えてみることが必要です。さて、マンション住民になるための選択基準は何か、ということですが。その前にマンションという建物はどのような存在なのか明らかにすることが先決問題です。
マンションとは何か
〜 法律に丸ごと漬かっている
マンションの建物・敷地・設備等を保存すること及びマンションの管理・運営は建物区分所有法で規定され、先にも触れましたように、管理組合の理事会が自分勝手な運営ができないように定めてあります。また、この法律以外にマンション適正化法と言って、管理組合の運営の責任などを明確にした法律もあり、まず、マンションとは法律等の法令で縛られているところに特徴があります。
何故、丸ごと法律なのか、マンションはそれぞれの所有者が建物の住戸部分を区分して所有するという複雑な権利関係が存在するためなのです。このことから、様々な問題が発生することを予測して予め対応策を規定し、マンションの管理・運営をスムーズに行うようにしました。本規定は当初制定されてから三度の改正が行われ、新しい問題に対処するように変遷してきました。
マンションを運営する団体が管理組合
マンションの管理・運営を行う団体を管理組合と規定し、その運営は法律と各管理組合の管理規約で細部に至るまで決定しています。管理組合を構成するのは言うまでもなく、区分所有者であり、全員が強制加入するようになっています。そこが、町内会などのような任意加入団体との大きな違いがあります。
管理組合の設立目的
マンション管理組合の設立目的の第一は「マンションの管理組合を財産管理団体と見なし、建物・敷地・設備を維持管理し、長期に保全する」ことであります。つまり、マンションは民間の資産でありながら街並の景観を作り、今や都市の重要な社会資本となっていると言っても過言でありません。このような現状を考えるとき、また、地球上の環境問題を考慮すれば、マンションの建物・設備はできるだけ長期に保存していくべきでしょう。「マンションの寿命は30年」というキャンペーンを張り、建替を進めている業界の主張は納得できるものではありません。一生に一度手に入れたマンションを長期に保全することこそ重要であり、そのために管理組合の果たすべき課題は明瞭になっています。鉄筋コンクリート・鉄筋鉄骨コンクリート造のマンションは適切な時期に的確な修繕工事が施されなければ間違いなく劣化し、朽ちるものです。管理組合の目的の重要な課題として、管理組合は認識しなければならないでしょう。
第二は言うまでもなく、マンションは共同住宅であり、ここに住む方々が小さな共同社会を形成います。マンションには様々な煩わしい問題が発生するところですが、理事会を中心に英知を結集して住民が仲良く「コミュニティー」をつくることであります。
理事会の運営と管理能力の確保
さて、管理組合が目的を達成するために日々の管理・運営を理事会に委任して業務を実行しています。管理組合の最高議決機関は総会であり、総会から総会までの日常業務は理事会が行います。理事会は総会で選出された理事によって構成され、理事長・副理事長などの役割分担が理事会で決定されます。
理事会は総会で決定された決議事項の履行と管理規約で決定されている管理・運営事項を実行しますが、その基本理念は「組合員の共同の利益の増進」にあります。一部の組合員のための運営等は当然ありえません。勿論、一般法理に背くことがあれば法に基づき処断されることはいうまでもありません。しかし、現実には、管理組合の貴重な管理費・修繕積立金が業務上横領される事件が頻繁に発生しており、多額の金員が失われている事例があり誠に残念であります。
管理組合の理事会の管理能力の差が日常業務の内容に顕著に表れ、組合員の貴重な財産が無駄に垂れ流しにされている現実があります。
管理能力とは
建物・施設・設備の現況を把握して、その対策を明確にしていること
年間予算の執行に当たり、収支の現況を見極め、無駄な支出の削減を図ること 管理運営に関する情報の収集を図ること
問題の解決を適切に対処すること 住民間の意思疎通を図る情報の開示と広報の発行、等が考えられます
理事会が管理能力を備えた運営を行えば、無駄な支出の削減で組合員の負担が軽減され、或いは大規模修繕工事の施工でも必要な時期に適切な工事が実行され、建物の保全が行われることがあげられます。また、住民間のトラブルの解決も迅速に行い問題を引きずらないこともできます。
従って、マンションの理事会の能力は管理組合の存在そのものを根底から規定するところです。
マンション選択の考え方
〜 その2
マンション選択その1ではこれからマンションを購入しようとしている方々の一般的イメージを紹介しました。また、前段ではマンションの現実やマンションの管理組合の役割などを示し、マンション選択の拠り所は何処か、検討してみたいと思います。
新築マンションは世に言うところの「青田売り」であり、まだ建物が完成していない内に売買契約書を締結します。このような購入の仕方はマンションを除いて他に余り例がありません。完成してない建物を購入するのですから当然リスクがつきものです。消費者にすれば本当は完成してから物件を確かめて購入すれば一番問題が有りませんが、そうもいかない事情があります。どうしてもあのマンションを取得したいと思えばリスクがあると気が付いても、分譲会社の営業に乗せられ購入することになります。だからと言って、青田買いは控えてとは言えません。
また、入居後「こんなマンション買わなければ良かった」という失敗談を聞きますが、分譲会社に対して買い戻しを要求しても相手にしてくれません。
以上のような問題を抱えた分譲マンション。その選択のチェックポイントを提起します。
○管理費・駐車場料金・修繕積立金等の負担金の内、販売時に適正金額を設定していない修繕積立金は必ず引き上げになること
○過大設備のマンションは将来過大な負担が課せられること(立体駐車場・温泉・内外施設)
○契約前に設計図書の閲覧を行い、マンションの実態を把握すること
○販売時に分譲業者が提供しているパンフレット等の関係重要事項を把握すること 小規模マンションは維持管理と修繕工事等の負担が大きいこと
○管理会社依存で問題は解決されなく、区分所有者自ら実行能力をつけること ○分譲後2年間以内に理事会は建物・設備の瑕疵問題の解決を図ること
○問題意識ある区分所有者の理事会参加を図ること
建物・設備の原始瑕疵
先にも指摘しましたように、新築マンションには必ず不具合箇所があります。分譲会社は一般的に1年点検、2年点検と称して建築上の瑕疵を是正しなければなりません。
しかし、消費者(区分所有者)は概ね建築の専門知識が浅く、問題を指摘しても何となく巧くあしらわれてしまう場合が多く、管理組合理事会が業務として共用部の瑕疵診断をマンションの構造等に精通している一級建築士に依頼し、問題箇所を明らかにして分譲業者にその是正を求めることが対策として重要であります。
この瑕疵診断の際、各住戸の希望者の専有部分も診断して理事会が纏めて、分譲業者に是正を求める方法が問題解決のために必要になります。
以上のような瑕疵診断による不具合箇所の是正には分譲業者の責任で行われますので、経費はかかりません。しかし、2年間の期間がすぎれば分譲業者の対応が極めて悪くなり、是正してくれない場合もあります。2年間中に文書で是正を要求することが理事会業務として欠かすことのできない課題になります。販売後発生した建物・設備の瑕疵を適正な方法で是正することによって、当該マンションを延命させることに繋がるでしょう。
中古マンションを所有する場合
これまでは新築マンションのチェックポイントを示してきたところですが、中古のマンションの選択基準はどのようなものでしようか。このような物件は青田買いではありませんので、念入りに調べて購入することができます。
○現場と竣工図書等を調べて見ること
○当該マンションの管理規約を調べてみること ○建物・設備の長期修繕計画と、これまでの工事経歴、修繕積立金の現状の積立額を把握すること
○一般会計の収支の状況を調べること ○理事会の管理能力の確認(管理会社に全てお任せ状態でないか、どうか)
○前所有者の滞納状況の把握 ○隠れた瑕疵がないかどうか
無駄を省いた管理組合の運営
マンションの購入時から分譲会社が管理会社を決定してあって、管理委託契約金など各種のメンテナンス契約も一方的に決められています。これには区分所有者の意向は全く反映しておらず、適正な価格を大幅に超えているものが圧倒的に多くなっています。
一般的に管理費は高く、修繕積立金は低くなっており、後年、見直しが必要になります。この見直し作業を放置していると、必要な修繕積立金は確保できず、無駄な管理費支出の状態が続くことになります。
昨年、ある管理組合が管理会社と管理委託契約を締結していたところ、理事会の英断で経費の見直しを実行したところ、年間契約金額1,200万円が600万円削減されました。これはほんの一例で理事会が管理能力を具備することによって、組合員の負担軽減に直接結びつきます。
理事会を構成する役員に立候補
これまで見てきたように、管理組合の理事会には実行しなければならない課題が山積しており、管理会社にお任せ状態が続けば多大な損失が発生します。問題意識を持った理事会を構成し、組合員の共同の利益を獲得するために、購入当時から理事会を機能させましょう。
そのために、今回マンションネットの情報を得た皆さんはマンションを購入した後、理事に立候補して山積する問題解決に当たって下さい。
理事会運営を支援
当マンションネットは理事会等から要請があれば、情報の提供を含めて具体的で実践的な支援も行います。そして、必ず成果があがります。
理事会の運営方法、総会の開き方、原始瑕疵の対処方法、等、マンションの管理運営に関わる問題何でも相談に乗り、解決の道筋を示します。
マンションを購入した方々の奮戦事例
2年目で管理会社を替え、原始瑕疵の是正を認めさせた例
アフターサービス期間中に不具合を全面是正させた例
自ら理事に立候補して理事長を務めて奮戦中の例
新築分譲マンションに暴力団員が区分所有していた例 |