マンションにはどのような    
    ルールがあるのでしょうか


マンション生活に対する誤解(勘違い)

☆近所付き合いしなくてもいい?

マンションを購入される方で、「マンションはプライバシーが守れ、煩わしい近所付合いをしなくても良いところ。」などと、思い込まれている方が多数おられます。

しかし、「マンションは一つの建物を共有する集合住宅」ということを忘れてはいけません。この集合住宅ということは、違った家族構成・年代・生活環境の方が一つの建物を共有し、維持管理するということです。すなわち、1戸建てに比べて、建物を共有して管理して行くには、よりコミュニティー(より良い近隣関係)が重要になり、購入者相互の理解・協力が必要不可欠になります。つまり、1戸建てよりも、より緊密に近所付き合いをしなければならないところが、マンションということです。

もし、皆さんの中で「近所付き合いがしたくない」と考えておられる方がいましたら、残念ながらマンションの購入は控えられた方がよろしいでしょう。

しかしながら、1戸建てのほうが良いか?と問われれば、決してどちらが良いとは言えないと思います。マンションは、1戸建てに比べて、補修にかかる費用なども大勢で分担して負担しますので、1戸建てに比べれば、一軒あたりの維持補修コストは安くなるという利点があります。また、建設費についても一軒あたりでは割安になりますので、交通の便のよい地域に比較的軽い負担で住居を購入することが出来ます。逆に、1戸建てはマンションにあるような居住者の同意を得なければ改修が出来ないなどの難しさはなくなります。従って、マンション、1戸建て、双方とも、一長一短あるものだと考えます。

 コミュニティー(より良い近隣関係)を作り、維持していくためには、相互に決められたルール(法令、管理規約、使用細則等)を守っていくことが必要です。


建物の区分所有等に関する法律

マンション管理組合の運営は基本的に「建物の区分所有等に関する法律」(略称;区分所有法、通称;マンション法)によります。

しかし、マンションは地域・構造形態・建築年数・居住者の違いから同じものは一つとしてないので、実情に合った管理組合運営のルールを具体的に決めていかざるを得ません。


管理規約

実情に合った管理組合運営を具体的に決めていくものとして、マンションごとにルールを定めているのが「管理規約」です。

管理規約のモデルとなるものに、マンション標準管理規約があります。これは昭和57年に初めて標準モデルとして旧建設省が「中高層共同住宅標準管理規約」を発表し、平成9年度改正、今年(平成16年)1月の改正を経て、現在にいたっています。

この標準管理規約はあくまでも標準モデルなので、各マンションで実情に合ったように変更して作成され運用されるものですが、(入居当初の管理規約は販売会社、管理会社が作成しているものとなりますので)販売会社、管理会社の都合のいいように変更されている場合もあります。

標準管理規約と購入を検討しているマンションの規約で、どのような違いがあるかを確認することが重要です。


使用細則等

使用細則、専用庭使用細則、駐車場使用細則、ペット飼育細則などがあります。これも、そのマンション独自の取り決めです。

「管理規約」の改正には区分所有法の定めにより、慎重な合意形成が求められていますので、区分所有者(組合員)の4分の3以上の多数の同意によらなければならなりません。

「使用細則等」は区分所有者(組合員)の半数の同意により改正可能です。社会情勢の変化、区分所有者(組合員)の意識の変化に合わせて変更することが必要な事項を定めています。

使用細則等で定めることが考えられる事項としては、動物の飼育やピアノ等の演奏に関する事項等専有部分の使用方法に関する規制や、駐車場、倉庫等の使用方法、使用料等敷地、共用部分の使用方法や対価等に関する事項等があげられます。このうち専有部分の使用に関するものは、その基本的な事項は規約で定めるべき事項です。


マンションでのトラブル

 ルールが守られないと、当然トラブルが発生します。

国土交通省が行った、平成15年度マンション総合調査結果より
            (全国の1,058の管理組合回答)

 過去に発生したトラブルについて、「特にトラブルを生じていない」とするマンションは約7%しかありませんでした。ほとんどのマンションで何らかのトラブルを抱えているようです。

トラブルの中では、「居住者間のマナーをめぐるトラブル」が最も多く、約8割のマンションがトラブルありと答えています。また、「建物の不具合から生じるトラブル(水漏れ、雨漏り等)」については約5割のマンションが、「費用負担に関するトラブル(その大部分は管理費等の滞納)」については3割以上のマンションが、トラブルありと答えています。

「生活音」及び「ペット飼育」に関するトラブルについては、約半数のマンションがトラブルありと答えています。また、「違法駐車・違法駐輪」のトラブルも、50%を超えるマンションがトラブルありと答えています。


平成15年(平成15年4月〜平成16年3月)に、当北海道マンション管理問題支援ネットに相談のあった事例

○ペットの飼育を巡るトラブル等の問題 8件

○管理規約の改正(法の改正による標準管理規約の改正での相談など) 26件

○理事会の不法行為に関する問題(法令無視の理事会運営など) 6件

○管理組合の法令問題(マンション管理適正化法の活用方法など) 22件

○騒音のトラブル(特に上下階の争い、裁判にも発展した事例があった) 12件

○建物の原始的瑕疵問題(分譲業者と感情的対立を招き、解決に困難が伴い、長期化した事例、専門家に診断を依頼し素早く解決した事例など) 14件

○管理組合の運営に関する問題(経費の削減など運営のノウハウ) 18件

○管理委託契約と契約金額に関する問題 28件

○管理会社とのトラブル問題(管理委託契約の債務不履行など) 16件

○管理組合の共同の利益を破壊する問題(暴力団の退去など) 4件

○修繕工事に関する問題(大規模修繕工事など) 13件

○その他(以上、列挙した以外の相談)     25件
                              計     192件


居住者間トラブル多発の要因

マンションの構造は、1棟の建物に多数の世帯が重層的・高密度に居住し、またエレベーターやホールなど密閉された空間が多いことから、戸建て住宅に比べて生活型公害が発生しやすいといえます。

居住者も自分の居室は区分所有権に基づく専有部分であるとして、近隣に迷惑を及ぼす行為(例えばピアノ・カラオケ騒音、ペット飼育等)をする人や、中には共用部分であるベランダ・外壁等を自分のために不法に改造したりする人がいる点もあげられます。

築後年数の経たマンションでは、居室や共用部分の使用がルーズになりがちであるということも指摘されています(ペット飼育は古いマンションほど多くなるという報告もあります)。

全体的にわが国のマンションの歴史が浅く、居住者自体の意識に共同居住ルールが十分に浸透していないということもあげられます。


共同居住ルールに対する意識

マンションでの快適な生活を継続していくためには、居住者間の共同居住ルールを確立することが不可欠です。マンション居住者自身も、快適なマンションライフを過ごすためには、居住ルールは必要であり、最少限のルールは決めておくべきだとする考えが大多数です。


マンション生活に対する誤解(勘違い)

☆管理会社におまかせするから大丈夫?

マンションを購入しようとしている時は、売買契約書を確認する事と、何十年も続く住宅ローンのことで頭がいっぱいになり、マンション管理については考えがおろそかになってしまいます。おまけに、販売会社の担当者から「管理はしっかりしている管理会社に頼んでありますのでご安心ください」の甘味な説明で「販売会社の担当者も言っているし、大手だから安心」などと思い込んでしまっていませんか?これは、大きな誤解です。マンション管理は購入された方が主体とならなければいけません。決して、業者(管理会社も含む)はタダでは業務をしてはくれません。そこには多額の契約料が発生しています。そして、この契約料の妥当性と共に契約内容については、少なくとも管理組合(マンション購入者が強制加入しなければならない団体=購入された皆さん)が検討しなければならないものです。

販売時に「管理費」「修繕積立金」「駐車場使用料」「駐輪場使用料」等が決められていますが、この額が適正でない場合が多々見受けられます。

例えば、『築1年目の第1期の会計報告を見ると「管理費会計」が大幅な赤字になっていたので、管理会社(販売会社の子会社)に苦情を言ったが、「毎月の管理費を値上げしましょう。」と言われた。』という話もあります。このケースでは、販売会社、管理会社に赤字に対しての法律的な責任は無いと言われています。もちろん道義的責任は当然ありますので、交渉により赤字分の一部を負担してもらったという場合もありますが、そのようなケースは少数で、多くのマンション管理組合では、泣き寝入りしているのが実態です。

また、入居当初の「修繕積立金」を値上げしないで、建物・設備を良好に維持しているマンションというのは、聞いたことがありません。『築30年間の精密な長期修繕計画を作成しているから安心して下さい。』と販売員が言っていたから大丈夫とは思わないで下さい。販売会社が修繕積立金の値上話が持ち上がった時に対応してくれたという話は聞いたことがありません。(言った、言わないの水掛け論になって、相手にされなかったという話は聞いたことがあります。)


☆管理会社がマンション管理をしてくれるから安心?

「管理会社がマンション管理をしてくれるから安心」と思い込んでいませんか?これも誤解です。「勝手な思い込み」と言ったほうが良いかも知れません。

管理会社は管理組合(マンション購入者が強制加入しなければならない団体=購入された皆さん)と管理委託契約を締結してマンション管理をしていますが、居住者間のトラブルの仲裁をするという契約を結んでいる訳ではありません。例えば滞納者へ対する督促についても、3ケ月間の督促は行いますが、3ケ月間で回収できない場合は管理組合が責任を持って対応しなければならないような契約内容になっています。

つまり、管理会社とはあくまでも管理組合との委託契約により管理業務を請け負っている業者ですので、契約範囲内のことしか対応してくれないし、最後は、自分の財産は自分で守るという自覚を1戸建てと同様に持つ必要があります。

ルールの話からははずれますが、管理会社が販売会社の子会社であったりすると、購入後はアフター保証や瑕疵について管理会社が責任をもって対応してもらえるような錯覚をもってしまいがちになります。しかし、これも誤解です。管理会社と販売会社が親子関係である場合、又は同一である場合にマンション購入者の側に立って販売会社と折衝した管理会社の話を聞いたことがありません。

当北海道マンションネットへの相談事例でも、親会社の利益を守る(マンション購入者の不利益になる)対応に困っている、又は一切対応してくれないとの相談が多数寄せられています。

また、販売会社と資本的つながりが無い独立系の管理会社の場合でも、販売会社の不利益になるような対応をしたら、次の新築物件のマンション管理を受注できなくなるので、積極的な対応は期待できません。マンション新築時に、なぜ、数ある管理会社のうちから、その管理会社が管理委託契約を請け負っているのかを考えれば理解できると思います。


ペットの飼育トラブル

 マンションでのトラブルの代表的なものに、ペット問題があります。

ペットの飼育に関しては管理規約・使用細則等で一定の制限を定めている例が多くみられます。「迷惑・危害をおよぼす恐れのある動植物」の飼育を禁止といった使用細則のマンションがよくありますが、「迷惑・危害をおよぼす」とは猛獣や猛禽類(性質が荒々しい肉食の鳥類)はもちろん禁止ということですが、小鳥であってもベランダの鳥小屋で何十羽も飼うとなると鳴き声や異臭などが問題となるケースもあるでしょう。要は他の住人から「迷惑である」との申出があり、その迷惑の程度が通常容認しがたいものであると考えられるような動植物の飼育を禁止している、と考えられます。

しかし、この「迷惑の程度が通常容認しがたいもの」との判断は非常に難しく(購入者の皆さんが話し合って決めなければなりません。)、トラブルが多発しています。このような表現を曖昧規定といって、解釈の仕方によりどちらとも取れて、トラブル多発の原因となります。

このような曖昧な表現の規約・細則のマンションは購入を避けたほうが良いでしょう。

注;  ≪マンション標準管理規約のコメントより≫

犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続き等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。

なお、飼育を認める場合には、動物等の種類及び数等の限定、管理組合への届出又は登録等による飼育動物の把握、専有部分における飼育方法並びに共用部分の利用方法及びふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項、飼育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置等の規定を定める必要がある。


ペット問題については、裁判例が豊富にあります。以下に、その一部を紹介します。

ペット飼育禁止の管理規約に違反して犬を飼育している占有者(賃借人)に対し飼育禁止を求めた事例 (大阪地方裁判所  平成2年10月25日判決)

判例要旨

  管理規約は「専有部分において、小鳥、魚以外の動物を飼育して、他の区分所有者に迷惑を及ぼす行為」をしてはならない旨規定し、端的に「専有部分内における小鳥、魚以外の動物の飼育を禁止する」とは表現されていない。しかし、この規定は、犬猫などの動物の飼育を禁止する趣旨で定められたもので、原告の規定の運用が一貫してその趣旨で行われてきたこと、及び被告の犬の飼育が他の区分所有者に対して現実に迷惑を及ぼしていることからすれば、被告の犬の飼育は管理規約に違反するものである。

  しかも、飼育禁止規定がマンション「区分所有者の円滑にして、快適な共同生活を維持するため」の自治規程であることからすれば、この規定に違反することは、このマンションの区分所有者の共同の利益に反するものである、として原告の請求を容認した。

  なお、本件マンションにおいては、当時犬を飼育していたものが他にも2人いたが、一人はマンションを売却して出ていき、他の一人は他に転居した。


現に飼育する一代限りに限って認める旨の規定に従って、その後に飼育するに至った区分所有者に対し犬の飼育禁止を求めた事例 (東京地方裁判所  平成6年3月31日判決)

判例要旨

  被告らは、現在飼育を許されている者との対比において、管理規約の効力を否定するが、本規定が小鳥、魚以外の動物を飼育することを禁止している管理規約に違反して飼育している者がいたことに対する具体的な妥協策として、現に飼育し管理組合に登録した犬猫一代に限ってのみ飼育を認めることを総会において決議し、時の経過に伴ない、犬猫を飼育するものがいなくなるようにしたもので、現在飼育を許されている者であっても、新たな犬猫を飼育することは禁止しているのであるから、本規定の効力が被告に及ぶことは明らかである。また、犬猫の飼育に関しての原告の運用についても、右決議に違反した事実は認められない。

  したがって、被告らの犬の飼育に対し、本件規定の遵守を求め、飼育をやめるよう要求することは、共同生活の秩序維持を図る原告の自治的活動としてなんら不合理ではない、として原告の請求を容認した。


※ここで要注意事項

上記の裁判例で、「管理規約に違反して飼育している者がいたことに対する具体的な妥協策として、犬猫一代に限り認める。」という話が出てきますが、なぜ、一代に限り認めたのかというと、「モデルルームの販売員が、ペットの飼育は購入後に管理組合で(規約変更してペットOKに)決められますので大丈夫と言った。」との主張が出て管理組合で紛糾した結果の妥協策としてのことのようです。販売員の言葉を信じてマンション購入後に他の区分所有者から規約違反と責められて、大変イヤな思いをされた方が多数いたことでしょう。また、ペットを飼育していない方は、購入前に想像していたマンション生活と違うことを受け入れるのに苦悩されたことでしょう。

この裁判のケースでは一代に限りOKとなりましたが、規約違反としてペット飼育をやめるか、マンションを出て行くかの選択を要求される例も多いのです。どっちにしても管理組合が揉めて皆さんが不快な思いをすることになるのは確実です。

当然のことですが、販売会社へ「OKと言ったじゃないか。」と苦情を言っても販売会社は証拠が無い限り責任を認めません。水掛け論になった話を多く聞きます。万が一、「規約ではダメとなっていますが、大丈夫です。」なんて事を言う販売員のいるマンションは絶対購入してはいけません。皆さんがペット禁止と承知のうえで(または、ペット禁止だから)購入されたマンションで、不快な思いをするのも、皆さんなのです。 (販売員を試すようなことは、しないで下さいね。)


管理費等の滞納トラブル

『区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、管理費等(管理費、修繕積立金、等)を管理組合に納入しなければならない。』『管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。』と管理規約で定められています。

マンションの所有者全員が問題なく支払っていただければ、よろしいのですが、個々の事情により滞納される方が発生します。マンションによっては、全体の1割以上も滞納者がいて、本来滞納者が負担すべき共用部分の電気料金、管理委託費、エレベーターのメンテナンス料等を他の区分所有者が立替えなければならないので、管理費徴収額を値上げしたなんてことも起きています。大規模修繕工事の時に、積立金が不足しているので一時金として各戸から50万円を徴収することになったが、滞納者が多数発生したために、資金不足から修繕工事を延期した。または、滞納者の分を銀行から借り入れして多額の利息が発生した。なんてこともあります。

滞納問題については、経済的に支払いたくても支払えないという方もいますし、経済力はあるが支払う気が無いという方もいますので、一概にマニュアル的な対応をする訳にはいきません。

先ほども述べましたが、管理会社が責任を持って滞納を回収してくれるわけではありません。皆さん方が、回収する努力をしなければならないことを憶えておいて下さい。

マンション購入時に一時金なしで、全額ローンOKと言っているところは、滞納者が発生する確率が高いので、注意が必要かもしれません。


駐車場のトラブル

分譲式の駐車場というのは、非常に問題があります。

≪日弁連が平成12年6月に発表した区分所有法の改正に関する意見書より≫

駐車場専用使用権の分譲、留保、無償の広告塔や袖看板などの不公正な分譲方法について、これを禁止する強行規定を新設すべきである。

 (理由)

  敷地上の駐車場としての利用権が分譲されたり、あるいは分譲業者あるいは等価交換方式における元地主によって留保され、他の区分所有者や管理組合との間で紛争となる例は、これまでのマンション紛争の中で最も多い紛争形態の一つである。
(@大阪地判昭53・11・29判タ375・105、A大阪高判昭55・4・25判時979・66、B最高判昭56・1・30判時996・66(以上メガロコープ平野事件1)、C大阪地裁昭53・2・28NBL163・33、D大阪高判昭55・7・9判時987・53(以上メガロコープ平野事件2)、E大阪地判昭56・4・27判タ454・126(桃山台マンション事件)、F東京地判昭56・6・29判タ450・126、G神戸地尼崎支部判平元・12・22判例集未掲載、H大阪高判平3・3・28判タ759・229(ハイツ大和事件)、I京都地決平3・8・9判例集未掲載(メガロコープ西陣事件)、J東京地判平4・8・27判タ823・203(ハイネス野方事件)、K京都地判平4・10・22判例集未掲載(コープ鴨川事件)、L福岡地判平6・7・26判例集未掲載、M福岡高判平7・10・27判時1557・95、判タ909・182(以上シャルマンコーポ博多事件)、N福岡地小倉支判平6・2・1判時1521・107、O福岡高判平8・4・25判時1582・44(以上ミリ・シャル事件)、P東京地判平6・3・24判時1522・85、Q東京高判平8・2・20判タ909・176(以上高島平マンション事件)、R神戸地判平3・6・28(鶴甲コーポ事件)、S横浜地判平5・9・16(横浜山手ガーデニア事件)、 浦和地判平5・11・19判時1495・120(武蔵野マーテルヒルズ事件)。)

  経過としてみれば、旧法下で公序良俗違反無効とはいえないとする昭和56年最高裁判決が業界を鼓舞した側面もあって、中小業者や一部地方では頻繁に行われて紛争が多発していた。その後駐車場専用使用権分譲は無効、あるいは分譲代金は管理組合に帰属するという下級審レベルの判決が相次いだことによって(平成6年2月1日福岡地小倉支部判、福岡高判平7・10・27、平成8年4月25日福岡高判)いったん終息したかに見えたが、好ましくないが完全に有効であり分譲代金は分譲業者に帰属するという最高裁判決(平成10年10月22日最高判、シャルム田町事件同月30日最高判)によって、またも駐車場専用使用権の分譲が再燃し始めているという情報が寄せられている。

  〜中略〜

  しかも、以前から元建設省(国土交通省)の行政通達が出され、その後も行政指導が行われ続けている問題です。
(昭和55年12月1日建設省計動発第105号建設省  計画局不動産業課長から各都道府県主管部長あて通達、等)。

  「分譲業者が共有敷地等に専用使用権を設定してその使用料を得る等の例は、現在少なくなっているが、取引の形態としては好ましくないので、原則として、このような方法は避けること。また、専用使用権の設定に当たっては、存続期間、使用料等について公正かつ妥当なものとし、これらを管理規約等において明定するとともに、これから生ずる収益等については、修繕積立金への繰入れにより区分所有者の共有財産に帰属される等公正な処理を行なうこと。」


マンション購入者の生活スタイルの変化(高齢化、子供の独立)により、車が必要でなくなった場合、区分所有者でない方が分譲式駐車場を譲り受けて使用するという事態が考えられます。単なる、駐車場としか意識の無い方が、マンションの敷地内を自由に出入りするということは、決して気持ちのいいものではありません。皆さんと同じ気持ちを持って、共用施設を取り扱っていただけるでしょうか?

もっとも重大な問題として、修繕工事の費用負担の問題があります。

分譲式ではないマンションでは、駐車場使用料を管理組合へ支払うので、このお金は皆さんの財産として、修繕積立金として貯え、修繕工事時の原資とすることが出来ます。

しかし、分譲式の場合はどうでしょう。この分譲代金は、販売会社へ支払っています。管理組合には一銭も貯えられてはいません。修繕工事の費用は誰が負担するのでしょう? 間違っても、販売会社が費用負担して修繕工事を行ってくれる筈はありません。

 つまり、駐車場を必要としている方も、必要としていない方も、この駐車場の修繕費用を負担しなければならないのです。しかも、他のマンションには駐車場使用料という毎月の収入があるのに対して、分譲式駐車場のマンションにはこの収入が無いのです。

分譲式駐車場のマンションは、トラブルの元になる危険性が大きいです。


駐車場の問題

先ほども、「管理規約は標準管理規約との違いを確認しましょう。」と申し上げましたが、駐車場の使用料についても要注意項目です。

≪マンション標準管理規約より≫

 「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」

つまり、駐車場使用料は、修繕積立金として積み立てましょうというのが、国土交通省で標準としている考え方ですが、実は、この部分を変えている販売会社、管理会社が非常に多いのです。

例えば、「駐車場使用料は、管理費に充当する。」とか、「駐車場使用料は、その7割を管理費に充当し、3割を修繕積立金として積み立てる。」などとなっているマンションがあります。

なぜ、このような変更がされているかと言えば、駐車場使用料収入を管理費負担に充当することにより、皆さんから徴収する毎月の管理費を安く見せ掛けるためです。しかし、皆さんの負担が本当に安くなっている訳ではないのです。この分のツケは将来必要である修繕積立金の不足を招くことになります。しかも、修繕積立金の不足に気づくのはマンションを購入してから20年近く経てからという事が多いので販売会社、管理会社は確信犯かもしれません。


マナーの問題

マンション生活に対する誤解(勘違い)

☆自分の部屋以外は他人のもの?

「自分の部屋以外は他人のもの」若しくは「マンションの共用部分は販売会社(又は管理会社)のもの?」と誤解していませんか?マンションを購入された方の中に、このように誤解されている方が少なくないと言われています。これも大きな誤解で、自分の住戸以外の共用部分(共用玄関、エントランス、廊下、階段、エレベーターなど)にも皆さんの共有持分があり、その管理には権利と義務があります。このことを誤解されている方が多いため、適正なマンション管理を行う上で大きな障害となっていることが多々見受けられます。

つまり、自分のものとの意識に欠ける方が多いので、大切に扱わない方、不具合が発生していても無関心な方が多く、結局、その修繕費が多額になり、自分達が余分な出費をしなければならないことになる事例が多数発生しています。

このことは、マンションを購入してからの問題ですが、憶えておいて下さい。特に、購入後のアフター点検については、皆さん「自分の専有部については、熱心に点検されますが、共用部分については、誰かが点検・確認しているだろう。どうせ自分のものでは無いのだから、多少不具合があったっていいじゃないか。」との勘違いから共用部分の不具合を見逃し、アフター保証期間内(築2年目まで)に発見すれば、無償で修理してもらえた不具合を、修繕積立金(自分達のお金)から支払って修繕しなければならなくなったマンションというのが数多くあります。このような不具合があったという事実さえ気付かずに築10年以上経過しているマンションもありました。


マンションの法令

○建物の区分所有等に関する法律(略称;区分所有法、通称;マンション法)
 (昭和37年4月4日公布)最終改正:平成14年12月11日

○被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法
 (平成7年3月24日公布 最終改正:平成14年12月11日

○マンションの管理の適正化の推進に関する法律
 (平成12年12月8日公布) 最終改正:平成15年6月18日

○マンションの建替えの円滑化等に関する法律
 (平成14年6月19日公布) 最終改正:平成15年3月31日


マンションに関係する法令

○民法
 (明治29年4月27日公布) 最終改正:平成15年8月1日

○不動産登記法
 (明治32年2月24日公布) 最終改正:平成15年8月1日

○建築基準法
 (昭和25年5月24日公布) 最終改正:平成15年6月20日

○都市計画法
 (昭和43年6月15日公布) 最終改正:平成15年6月20日

○宅地建物取引業法
 (昭和27年6月10日公布) 最終改正:平成15年6月18日

○住宅の品質確保の促進等に関する法律
 (平成11年6月23日公布) 最終改正:平成12年5月31日

○水道法
 (昭和32年6月15日公布) 最終改正:平成15年7月2日

○浄化槽法
 (昭和58年5月18日公布) 最終改正:平成15年6月18日

○消防法
 (昭和23年7月24日公布) 最終改正:平成15年6月18日

○警備業法
 (昭和47年7月5日公布) 最終改正:平成14年11月22日

○自動車の保管場所の確保等に関する法律
 (昭和37年6月1日公布) 最終改正:平成14年6月19日


平成12年12月8日公布の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」は、新たに「マンション管理士」「管理会社の登録」「マンション管理主任者」の創設が盛り込まれましたが、この法律の立法の発端は、一部のマンション管理組合や区分所有者のマンション管理意識の低下から、マンションの老朽化に対応できなくなることの心配や、一部の管理会社が不正なマンション管理業務であったことが原因と考えられます。


マンションの管理の適正化に関する指針

(マンションの管理の適正化の推進に関する法律 第三条に基づき、マンションの管理の適正化に関する指針を国土交通大臣が定めたもの)

 〜抜粋〜

「管理組合を構成するマンションの区分所有者等は、管理組合の一員としての役割を十分認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう努める必要がある。」

「管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、その作成にあたっては、管理組合は、建物の区分所有等に関する法律に則り、「中高層共同住宅標準管理規約」を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、必要に応じ、その改正を行うことが重要である。さらに、快適な居住環境を目指し、マンションの区分所有者等間のトラブルを未然に防止するために、使用細則等マンションの実態に即した具体的な住まい方のルールを定めておくことが肝要である。

管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、その是正又は排除を求める措置をとることが重要である。」

  管理組合の管理者等とは、購入された皆さんの代表のことです。管理会社や管理人ではありません。


マンション管理に関するトラブルがたびたび報道され、世間の関心が高まっています。しかし販売会社の多くは「人ごと」と思っているようです。

マンション購入で気になる物件の販売会社が、管理に対しての関心がどうなのか見極める方法があります。モデルルームで会った担当の販売員に、「管理委託契約書の写しを下さい」と言ってみましょう。そのときの販売員の対応で、管理に対して関心の高い優良会社か、それとも、無関心の無責任な会社かわかります。

@すぐに用意してくれる  (当然、こうあるべき)

A「渡すことはできないがこの場で閲覧する」と見せてくれる
(なぜ、渡してくれないの?)

B「買った人でないと渡せない」と断る
(えっ、購入の重要な判断材料なのに?)

C「まだ書類ができていない」と断る
(それなのに、どうして管理費額が決まっているの?)

D「管理委託契約書って何ですか?」と逆に質問される。
 (問題外!)

分譲中の物件パンフレットには通常、入居後購入者が毎月負担することになる管理費の金額と、管理業務を遂行する管理会社の名前が明示されています。管理会社に毎月総額いくら払い、そのお金で管理会社が何をしてくれるのかが明記された書類が、管理委託契約書です。

毎月これだけの管理費を負担してもらうという前提に各物件は売り出されています。そのお金の使い途について購入者は契約前に知る権利があります。管理委託契約書を事前に入手し、パンフレットと一緒に中身を検討したいものです。

どうしても購入したい物件であれば、管理の中身についても契約前にじっくり検討し、担当販売員が管理についての説明ができるような物件にしましょう。


マンション生活に対する誤解(勘違い)

☆管理費・修繕積立金を払えば、義務をまっとうしている?

「管理費・修繕積立金を払えば、義務をまっとうしている」と誤解していませんか?これは、賃貸マンションでの話です。

分譲マンションを購入された方には、管理費・修繕積立金を納入する以外にも大きな義務があります。それは、管理組合活動に参加し、マンションの維持管理を行うこともマンションを購入した区分所有者としての義務です。残念ながら、この義務を果たそうとしない無関心な区分所有者の方が現実として多くいますので、先ほどの「マンションの管理の適正化に関する法律」が制定されたともいえます。


☆マンション購入時の決まりごと(使用細則等)は絶対!!

「マンション購入時の決まりごと(使用細則等)は絶対である。」と誤解してはいませんか?極端な言い方をすれば、すべての決まりごとが変更・改善できます。(もちろん、総会での合意が必要となりますが)

この事に関しては、区分所有者同士の利害が関係する事もありますので、議論があって当然だと思いますが、販売時の決め事は、最小限の取り決めであり、そこに住む住民によって使い勝手の良い、そこに合った取り決めを作っていくことも重要です。



 以上で、本日の話を終了します。これから、マンションを購入されようと考えておられる皆さんに、少しでもお役に立てたのなら幸いです。





独り言
(私が、これからマンションを購入するとしたら、こんなチェックをします。)

☆長期修繕計画を確認する。

 @築30年目まで計画されているか?

A修繕積立金の徴収額が、支出を上回っているか?

B積立金の徴収額が、1戸当り30年間で500万円以上あるか?
 (徴収額がすくないと、一時金徴収というトラブルの原因を作る)

☆管理規約を確認する。

 @標準管理規約と違う部分はどこか?

 Aなぜ、違う部分が出たのか?

☆管理委託契約を確認する。

@標準委託契約書(平成15年4月、国土交通省発表)と違う部分は?

☆売主が交わした近隣、諸官庁との協定事項を確認する。

@売主が売主の都合で交わした協定事項ですが、マンション購入者にマンションが存続する限り守るように押し付けられます。(例えば、電波障害対策など)

Aマンション購入者に不利な内容、過大な負担がないか?(町内会への全員加入)

☆管理費の額

@第1期の予算書の内容は適正か?

A1戸当りの月負担額が、m2単価100円程度か?
 (駐車場使用料収入が管理費に充当されていて、安くみせかけていないか?

☆修繕積立金の額

@1戸当りの月徴収額が、m2単価100円程度か?
 (徴収額がすくないと、一時金徴収というトラブルの原因を作る)

☆駐車場使用料

@近隣相場と似たような額を設定しているか?
 (極端に安い設定は、トラブルの元に・・・)

 A分譲式駐車場?

☆過大設備はないか?

 @機械式駐車場?

 A温泉?プール?

 Bコージェネ?

Cホテル並みのカウンターサービス?

 Dインターネット無料?

☆建築図面を確認する。

 @集会室はあるか?

 A騒音問題の元となる床スラブ厚は何センチか?

 B戸境壁の厚さは何センチか?

 Cサッシは防音か?

 D駐車場は、戸数分あるか?

 E駐輪場は、戸当り2〜3台分はあるか?

 F水道の給水方式は、直結式か?

 その他は、建築士に確認する?

あくまでも、私の独り言です。



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