心理的欠陥 〜 こんなマンション買うんじゃなかった

札幌市○○区ABCマンション 匿 名 希 望


 「こんなマンション買うんじゃなかった」と心の底から後悔しています。

 購入したマンションの区分所有者が,暴力団だらけだったのです。

 私は,子供の小学校入学をきっかけにマンション購入を決意しました。

 物件選びは,価格や設備はもちろんのこと,子供を育てる環境として適しているか,これを最大のポイントに,都会すぎず,大きな通りに面していない静かな立地であること,教育環境などを考慮して,条件を満たすものを探していました。

 そして,巡り会ったのが今のマンションでした。名の通ったデベロッパーでしたし,札幌の地元業者でしたので,全国規模の大手業者よりも地元の客を大切にしてくれるだろうという期待もありましたし,何よりも,売買契約書に「暴力団排除条項」が明示されており,暴力団関係者は入居させないとの説明も受けたことから,これは安心だと考え,その業者を信頼し,いわゆる青田買いつまり物件完成前の契約に踏み切ったのでした。

 しかし,物件が完成し,入居してしばらくすると,入れ墨をした男やガラの悪い男が頻繁に出入りするようになりました。そして,時にはベランダ越しに警察官と怒鳴り合ったり,管理組合の役員が嫌がらせを受けたり,来客駐車場も常に彼らの車で埋まっていて利用できない状態でした。配下と思われる男が入口に車を乗り付けて待っていたりするため,恐ろしくてこっそり裏口から出入りしたり,子供を1人で外に出せなかったりもしました。管理費や駐車場代,修繕積立金を一切払わない者もおります。

 このようなことから,管理組合が警察に相談したところ,複数の暴力団関係者が区分所有していることが判明したのでした。

 そして,私達住人は,直ちにデベロッパーに抗議するとともに,事情説明を求めましたが,あれやこれやと理由を付け,まともに取り合ってはくれませんでした。

 その業者の元従業員は,この話を聞いて「やっぱりばれたか」と言ったそうです。また,このマンションは売れ行きが不振で,建物が完成した時点で相当な売れ残りがあり,販売に相当苦慮していたようでした。そんな中で,暴力団関係者ではないかと薄々わかっていながら売ったのだと思っています。

 業者の言い分は,「暴力団だと証明できるんですか?警察がそう言った?警察は証明書でも出してくれるんですかねぇ。」でした。そして,この業者は,暴力団が居住が判明した後も,平然と売れ残り物件の販売を続けました。

 現在,竣工から3年近くが経ちますが,いまだ根本的な解決には至っておりません。

 マンションを売ってしまいたいという人も出始めたのですが,暴力団の居住は「心理的瑕疵(欠陥)」になり得るため,隠して売ってしまえば詐欺で訴えられかねませんし,逆に訴えられて損害賠償請求されてしまうことになるのです。かといって,正直に話せば,そんな物件誰も買ってくれるはずがないですし,もし売れたとしてもまともな値段で売れるはずがありません。このように,財産的な損害も非常に大きいのです。

 私の反省点は,まず第1に業者選びにあったと思います。信頼できる業者かどうか,しっかり情報収集すべきだったと思います。ただ,当時は,このようなNPOも知りませんでしたし,雑誌などに載っている公告くらいしか情報がありませんでした。

 後になって調べたところ,その業者には過去にも暴力団トラブルがあって(これは賃貸物件でしたが)住人から「暴力団との契約を解除しなければ,全員出ていく」と通告されてやっと対応したことが新聞報道されていたり,同社の子会社の管理会社が管理費を不正に扱ったとして,いくつものマンションから管理会社を変えられていることが分かりました。

 こんな業者だと知っていれば,もう少し慎重に見極めることができたと思います。

 第2に,青田買いの怖さです。物件が完成していないわけですから,当然,どんな人間が住んでいるのか見当も付きません。完成後であれば,現地を見て,怪しい車がないか,ゴミ捨て場の様子,出入りする人の様子などを確認できますから,住人の方々の雰囲気みたいなものはある程度わかると思います。

 私は,もしまたマンションを買うことがあったとしても,青田買いはしないと思います。

 ただ,気に入った物件を得るためには,青田買いせざるを得ないのが実情でもあります。

 青田買いをされる方は,信頼できる業者を慎重に選ぶことが大切だと思います。

 マンションを買うにあたり,欠陥住宅ではないだろうか,という心配をどなたもされると思います。しかし,その心配のほとんどは,建物の欠陥をイメージされているのではないでしょうか。

 私のマンションのように,心理的欠陥があるマンションも,立派な欠陥住宅です。

 しかも,建物の欠陥は,修繕すれば解決できるものがほとんどだと思いますが,心理的欠陥は,人が相手ですから,その解決には極めて多くの困難が伴います。

 マンションを購入される際は,ぜひこういった心理的欠陥のことも忘れないでいただきたいと思います。とくに,中古マンションを購入される際は,その部屋で過去に自殺者があったとか,隣室に重度の伝染病感染者がいるなどといった事情が心理的欠陥になり得ると思いますので,慎重に考慮することをお勧めします。

 最後に,良心的でしっかりした業者をどう選択すればいいかについて。

 これは,正直なところ,答えが見つかりません。

 私が思うところ,トラブルというものは,程度の差こそあれどこのマンションにもあるものと思います。

 大切なのは,トラブルがあったという事実よりも,そのトラブルにデベロッパーがどのように対応してくれたかということではないでしょうか。その対応によって業者の善し悪しが見えてくるものと思います。

 そして,このような情報は,やはり実際にマンションを購入した人から,生の経験談を聞くのが一番と思います。

 私の失敗談が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。


   Homeへ戻る