管理員業務マニュアル作製の勧め


はじめに

 先に開催した、第11回マンション管理員セミナーに於いて、「管理員業務マニュアルの作成」を勧めましたが、今回は実際に作成した現職の管理員さんの事例を紹介して、管理員の皆さんが勤めている管理組合の実態に即した業務マニュアルの作成のためのノウハウを提供することにいたします。

 まず、管理員の皆さんには、常に自らの業務を見直すことと、業務の向上のために、文書や図解などの方法を講じて業務を整理してマニュアル化することをお勧めいたします。
 当マンションネットのホームページのトップ画面に「管理員業務のマニュアル」と題して掲載されている内容があります。これは、現職の管理員さんが自ら作成したもので、この試みは各方面から高い評価を受けています。これは、当該管理組合の管理員さんが、第三者に公開するために作成したものではありません。業務を客観化して、より一層業務内容を高めるために作成したものです。
 たまたま、当マンションネットが目指している管理員業務の方向性と一致いたしましたので、ご本人の了解を得て掲載させていただきました。
 是非、皆さんも参考にされて、当該管理組合に適合するマニュアルを作成してください。作成した本マニュアルは理事会にも提出して、役員の意見や評価を受けて常に進化させていくことが必要でしょう。

 現在管理員を務めている方は、直ちに自らの業務を文章化したり、図解することから始めましょう。これから管理員を希望している方は、マンションネットのホームページのマニュアルを参考にしてください。



管理員業務マニュアルとは

 「管理員業務マニュアル」は自ら業務を実施している管理員業務を文章化(図解化)して客観視することによって適正に業務を行うために作成いたします。従いまして、誰かが作成した特定のマニュアルが最高のものであるという規定は存在いたしません。
 それぞれの当該マンションの実情を適正に理解してマンション住民や理事会の意向なども反映したものにならなければならないでしょう。


管理員業務内容を全て網羅して分類

 標準管理委託契約 別表第2に規定されている管理員業務は、既にご存じのように管理員が履行すべき業務について次のように示されています。


1.業務実施の態様

(1)業務実施態様 (2)勤務日・勤務時間 (3)休日 (4)執務場所


2.業務の区分及び業務内容

(1)受付等の業務

一 管理組合が定める各種の使用申し込みの受理及び報告
二 管理組合が定める組合員等の異動届出書の受理及び報告
三 宅配物の預かり、引き渡し
四 利害関係人に対する管理規約等の閲覧
五 共用部分の鍵の管理及び貸し出し
六 管理用備品の在庫管理
七 引越し業者等に対する指示

(2)点検業務

一 建物、諸設備及び諸施設の外観目視点検
二 照明の点灯及び消灯並びに管球類等の点検
三 諸設備の運転及び作動状況の点検並びにその記録
四 無断駐車等の確認

(3)立ち会い業務

一 外注業者の業務の着手、履行の立ち会い
二 ゴミ搬出時の際の立ち会い
三 災害、事故等の処理の立ち会い

(4)報告連絡業務

一 管理組合の文書の配布又は掲示
二 各種届出、点検結果、立会結果等の報告
三 災害、事故発生時の連絡、報告


 しかし、これまでにも明らかにしてきましたように、業務仕様で規定されている業務だけが業務の範囲内という理解は誤りです。勿論、各管理組合ではマンションの実態が異なることもあり、国土交通省が示した業務の仕様とは異なることは言うまでもありません。
 管理員業務は想像も付かない問題も発生することから、大変難しいものであり、日々の研鑽や情報の収集が欠かせない条件となります。

 それでは、どのような業務があるのか分類的に整理してみると、つぎのようになります。マンションの実態によって大きな違いがあり、個別に検討して業務内容を的確に整理することが肝要でしょう。


(1)受付等の業務 (1)外来者への応対 (2)入居者との応対 (3)電話の応対 (4)拾得物の取扱い

(2)点検等の業務 (1)建物内外の巡回・点検 (2)給排水関係の設備点検 (3)消防用設備等の点検があり、細部について検討すれば
 建物・設備等の点検(最重要事項、管理員業務の中枢)と記録、照明器具(管球類等)の点検、諸設備の運転、作動状況の点検ならびにその記録((1)揚水ポンプ (2)受水槽 (3)浄化槽 (4)エレベーター (5)消防設備 (6)排水槽 (7)排水枡・汚水枡・雨水枡)水質管理((1)水質管理<塩素の残量検査等> (2)断水・にごり水)各種装置の管理及び緊急・非常時における対応、各種メーターの検針(水道メーター、灯油メーター、暖房メーター)
点検業務で注意すべき事項
 巡回・点検の準備、1日の巡回・点検回数、浄化槽マンホールの蓋を開いて中を点検する、共用財産の点検、駐車場の点検、駐輪場の点検、管球の状況、エレベーターの作動状況、各水槽の点検、揚水ポンプの点検消防用設備の自主点検、浄化槽の点検、管理規約・使用細則違反者の発見危険・イタズラ行為

(3)立会い業務  法定点検の立会い、諸設備の保守点検の立会い、共用部分の営繕工事の際の立会い、定期清掃等の立会い、その他の立会い業務

(4)清掃業務    (1)共用部分等の清掃 (2)ゴミ処理・ゴミ処理方法の連絡掲示・案内
(3)粗大ゴミの収集 (4)花壇、芝生の清掃 (5)共用部分定期清掃の連絡と会い

(5)備品等の管理 (1)備品台帳 (2)共用部分の鍵

(6)報告・連絡   会社と理事会への定時報告・連絡業務、緊急時の連絡業務、管理記録・日誌等

(7)管理補助業務 防火管理業務の補助 防訓練、立入検査、未収金督促業務の補助、
フロント等の補助

(8)施設の管理   駐車場の管理、駐輪場の管理、管理用倉庫の管理、ゴミステーションの管理
その他、違反行為に対する処置

(9)防災・防犯   災害に対する防災対策、((1)出火ガス漏れ・火災 (2)地震対策 (3)119番通報)
防犯対策(各家庭での防犯対策、110番通報)

(10)法令の遵守 管理規約と使用細則等の熟知、マンション関連法規の学習、専有部分・共用部分とは何か、正確な知識を身につける、専用使用部分と自己管理責任、管理委託契約の内容を正確に知る、善管注意義務とは何か

(11)入居者への対応 個人のプライバシーを尊重、厳正な態度、信頼と応対、報告・連絡
金銭等の処理、救命・救急処置(応急手当ての必要、傷病者への対処応急手当の実際)

(12)経費の節減 電気の点灯・消灯の効率的運用、ロードヒーティングの適切な運転業務


管理員業務の工程表の作製

 以上のように定められている管理員業務を「日毎(時間毎)、週毎、月毎、年毎」に整理して工程表を作成することが重要です。


(1) 日常(日毎)業務の工程を時間毎に明確に

特に、窓口業務のために管理員室に執務する時間を明確に示すことが重要です。入居者等が管理員に依頼したり、提出する書類を届けるために何時も管理員室にいないという印象を与えないことや業務を合理的に進めるために最小限必要な事項でしょう。


(2) 週毎(1週間)の業務の流れを明確に

毎日は無いけれど、週間としてある業務として、ゴミの整理・点検等や、建物・設備の目視点検、灯油の残量点検もあり、1週間の業務の流れを把握する上で必要な分類になります。


(3) 月ごと(1月間)の業務の把握

資源回収は普通は1月に一度、灯油・水道の検針業務も月単位の業務になります。管理組合が行っている小口現金の管理を行っている管理員は月間の精算があります。また、理事会に報告するための「管理員業務報告」も月次に入ります。更に、エレベーターの保守点検は毎月業者が行っているところから立ち会い業務が欠かせません。


(4) 年間業務の工程は重要

年間業務としては法定点検に係わる業務(エレベーターの法定点検、消防設備の法定点検、受水槽の清掃、建物非常灯等の定期報告等)があり、そのための立ち会いが求められます。
また、植栽業務の冬囲い、取り外し、玄関等の除雪等季節毎に行う業務もあります。


 以上のような、業務を時系列に分類して、業務に役立つ工程表を作成することが必要です。


業務の進め方を具体的に整理

 業務の進め方というのは、その業務が管理組合の運営にとって、どのように進めれば適正なのかということを日々の業務を進める中で具体的に確定することです。


立会業務 (1) エレベーターの点検は
(2) 消防設備の点検は
(3) 建物定期報告は 等

 全ての立会業務の適正な業務の在り方を会得し、立会業務で何をチェックするのか、明確にすることです。各業者の点検業務を為すがままに放置して黙認していては管理員業務としては債務不履行になります。


点検業務 本業務には様々な点検があり、特に建物・設備の点検は点検項目を整理して、項目別にチェックする調査票は最低限必要です。


経費の節減対策
(1) 共用部電気の点灯と消灯の対策
 日没と日の出等を基準にして、月別、季節別に決めて無駄な点灯は止めるマニュアルを作る。 電気器具の取り替えによる電気料の削減対策も進める。
(2) ロードヒーティングの対策
 今年は、灯油の高騰で冬期間通して自動運転で稼働し放題であれば、相当な無駄な支出になることは疑い有りません。理事会と管理員の協力で有効な対策を講ずることです。そのために、具体的できめの細かいマニュアルを作ることです。


設備・機器の適正な運転の取り扱い
 マンションには様々な設備機器が付設されており、管理員業務を履行する上で的確な稼働が為されるようにしなければならない。そのためにも、当該機器の取り扱い説明書等をよく理解しなければなりません。(事例報告文書を参照のこと)


緊急時の対処方法
 理事会と連絡を密にして、連絡先等の確認、連絡方法、等緊急時のマニュアルを作製しておくべきです。


共用部の清掃
 日常清掃と定期清掃の実行する箇所、等をきめ細かく決めておくことが必要です。例えば、上層階と低層階の日程配置など合理的にして、無駄な清掃を排除して、汚れの強い箇所を丁寧に行うように考慮すべきでしょう。


業務仕様に係わる書式の確定
 管理員業務に関わる全ての関係書式を確定しましょう。

(1) 月例管理員業務報告書
(2) 週間(日々)建物・設備点検報告書
(3) 管理員業務日報(日常業務報告書)
(4) 各種検針報告書(灯油、水道、電気、ボイラー、等)
(5) 法定点検調査票 等



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