管理員業務の法令実務その3


マンションの管理員は、管理組合(区分所有者の団体)と契約により管理員業務(サービス)を提供します。どんなサービスを提供するのか?その内容をよく知ることが管理員業務の第一歩です。

標準管理委託契約書(国土交通省総合政策局不動産業課 平成15年4月9日改訂版)
 別表第2管理員業務  業務の区分及び業務内容

(1)受付等の業務   ※対人サービス業務。

 

一 甲が定める各種使用申込の受理及び報告
二 甲が定める組合員等異動届出書の受理及び報告
三 宅配物の預かり、引渡し
四 利害関係人に対する管理規約等の閲覧
五 共用部分の鍵の管理及び貸出し
六 管理用備品の在庫管理
七 引越業者等に対する指示

(2)点検業務     ※建物・設備に関する専門的知識が要求される。

 

一 建物、諸設備及び諸施設の外観目視点検
二 照明の点灯及び消灯並びに管球類等の点検
三 諸設備の運転及び作動状況の点検並びにその記録
四 無断駐車等の確認

(3)立会業務      ※対人サービス業務。

 

一 外注業者の業務の着手、履行の立会い
二 ゴミ搬出時の際の立会い
三 災害、事故等の処理の立会い

(4)報告連絡業務    ※対人サービス業務。

 

一 甲の文書の配付又は掲示
二 各種届出、点検結果、立会結果等の報告
三 災害、事故等発生時の連絡、報告

管理組合が要求する管理員業務としては、上記の受付等の業務、点検業務、立会業務、報告連絡業務、となる。 しかし、この他に(管理会社等との)雇用契約により、下記業務が求められることもある。

清掃業務
管理事務業務(理事会支援業務、総会支援業務、各種検査等の報告・届出、図書等の保管)
基幹事務業務(管理組合の会計の収入及び支出の調定、出納{管理費等滞納者に対する督促}、等)

※ここで注意しなければいけないのは、清掃業務を兼ねて管理員業務を実施する場合に、清掃時間に一日の作業時間の大半を費やし、本来の「管理員業務」が疎かになることである。

※区分所有者・居住者の中には、管理員を単なる清掃要員と勘違いしている方がいるかもしれませんが、『マンションを守る専門家』としての役割(業務内容)を説明できるだけの知識と、普段の行動が求められる。(居住者は、管理員を見ていないようでも、実はよく見ている。)


インターネット上のある掲示板(BBS)の投稿より

質問『基本的に住人のマナーが悪く、家具が、共用スペースに放置されていたり、エレベータの階数表示ランプが壊されていたり、エレベータの中が汚物で汚されたり、自転車置場が荒らされたりという事が頻繁にあります。ただ、管理会社の対応も大変悪く、修理等はなされないままです。しびれをきらして管理会社に連絡し、状況を説明し対応をおねがいするのですが、そこからまた1ヶ月、2ヶ月とすぎていきます。公的機関から管理会社に注意をうながしてもらえることはできるのでしょうか。』

返答『マンション管理適正化法九十五条により指定されている「社団法人高層住宅管理業協会」の管理・指導を求める手もあります。この指定社団は、管理業者の団体で、マンション管理業者のほとんどが社員として加盟しているはずです。法律によっていくつかの業務を手がけています。
 そのなかで、@マンション管理業者の業務に関して、社員に適正化法に基づく命令を遵守させるための指導・勧告。A社員の営む業務に関して管理組み合い等からの苦情を解決する業務をします。』

 最近は、インターネットの普及により、良くも悪くもいろいろな情報が飛び交っています。
 上の例については、質問された方にも問題がある(管理会社の対応が悪いのでは無く、管理組合がしっかりしていない事が問題である)と思えますが、返答した方もその事に触れずに終わっています。
 つまり、マンション入居時に「管理会社に安心してお任せ下さい。」「全て大丈夫です。」との宣伝文句を妄信している区分所有者が多いために、本来は管理組合がしっかりして取り組まなければならない問題(上の例では、マナー啓発、小修繕工事)についても、管理会社が悪者にされてしまうケースが多いようです。

 ここで考えなければいけないのは、管理員の皆さんが同じような質問・苦情を言われた時に、「それは管理組合の問題ですよ。」と直接的表現で答える訳には、なかなかいかないという事です。
 管理会社としては、管理組合へのアドバイス(助言)が足りなかったという事も言えます。管理員の皆さんは上のような質問が出ないように管理会社の担当、管理組合の理事会に素早く現象の報告を行うとともに、対応の進捗状況も把握しておくことが大事なようです。

 管理員業務は、区分所有者、居住者等へのサービス業務です。苦情を受ける時は、現場窓口として管理会社を代表して受けざるを得ない場合が多いので、このような苦情がきた時に、どのように対応するか予測しておく事が大事です。

 建物・設備に関する専門的知識については、他の講師が説明していただけるので、ここでは、対人サービス業務の基礎となる知識について判例から考えてみます。



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