改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル
平成16年6月 国 土 交 通 省
●マンション再生と本マニュアルについて
マンションは、その戸数が平成15年末時点で約447万戸に上り、国民の約1割(約1,200万人)が居住する都市の居住形態として広く普及しました。しかしその一方で、時間の経過につれて、建物各部の劣化等が進行し老朽化したマンションや、現在マンションに求められる性能や機能の水準に対応できていない陳腐化したマンションが増えつつあり、今後、その数はさらに急速に増加することが懸念されます。
このため、マンションにおける居住環境を良好な状態に維持又は改善し、その資産価値を維持していくためには、大規模修繕や改修、建替えなどの「マンション再生」に取り組む必要があります。例えば、建築後年数の経過につれ、マンションの劣化や陳腐化が進みますから、修繕を計画的に行い、建物を適切に維持するとともに、マンションの水準をその時代時代に求められる性能・機能に見合うようグレードアップする改修を行うことが必要となります。こうした、修繕や改修の適切な実施は、マンションの長寿命化を図り、省資源による環境負荷を軽減することにもつながります。また、相当の建築後年数が経ち、マンションの性能や機能が著しく低下した場合や、劣化等により地震に対する安全性の確保が難しくなった場合などにおいては、改修との比較により、建替えを検討することが必要となることもあります。
このように、マンション再生に取り組むにあたっては、マンションの状況に応じた最適な再生手法を見いだす必要があります。また、その実施にあたっては、区分所有者間で合意形成をする必要があります。
国土交通省においては、建替えについては、マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針(平成14年12月19日告示・国土交通省告示第1008号)に従い、国が作成することとされた区分所有者等の合意形成の進め方に関する指針及び建替えと修繕等との比較検討のための技術的指針について、「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」及び「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」を作成し、公表しました。これらのマニュアルは、現に建替えを志向しつつあるマンション区分所有者等向けに、建替えに向けた合意形成を円滑に進めるための手引き書として編纂したものであり、既存マンションの長寿命化を図るための改修手法等についての情報は十分に含まれておりません。
一方、第155回国会で可決成立(平成14年12月4日)した「建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律」に対する参議院国土交通委員会の附帯決議において、「四、マンションの建替え及び大規模修繕に当たっては、その合意形成の円滑化を図るため、区分所有者等に対し極力早期の段階で的確かつ十分な情報開示がなされるよう努めるとともに、国、地方公共団体、専門家等による相談・情報提供体制の一層の整備に努めること。」、「七、環境保全、高齢者・障害者居住、良質なマンションストックの活用等の観点から、増改築等による既存マンションの再生手法の普及を図るなど、マンションの長寿命化が図られるよう積極的な取組を行うこと。」とされました。
こうしたことから、このマニュアルは、居住環境を改善しつつマンションの長寿命化を図る上で重要となる改修について、その手法の普及を図り、改修によるマンション再生の可能性についての認識を深めていただくことを目的として、国土技術政策総合研究所における研究成果等を踏まえて作成したものです。
大規模修繕や改修の検討を行う管理組合や、管理組合から協力を要請された専門家の方々において、このマニュアルを有効に活用され、改修によるマンション再生が円滑に実施されることを祈願します。
●本マニュアルの活用について
このマニュアルは、改修によるマンション再生手法が広く普及するよう、改修の手法に関する情報を管理組合に提供することを目的として作成したものであり、第一に、マンション区分所有者により活用されることを想定しています。ただし、改修の手法に関する情報は、ある程度専門技術的な内容を含まざるを得ません。本マニュアルでは、専門技術的な記述は必要最小限に留め、できる限り簡易な表現に努めてはいますが、それでも一般の区分所有者にとっては難しい内容を含んでいるものと思われます。このため、管理組合内の修繕に関する専門委員会のメンバーの方など、マンションの修繕問題に具体的に取り組んでおられ、建築に関する一定の知識を有する方に、このマニュアルを積極的にご活用いただき、改修によるマンション再生についての検討を進められることを期待します。
また、建築士又は建築士の有資格者を有する設計事務所、建設会社、管理会社、マンション管理士の有資格者等の専門家が、管理組合における大規模修繕や改修に向けた取り組みを支援される上でも、このマニュアルを有効に活用されることを期待します。
●本マニュアルが対象とするマンションについて
マンションに必要と考えられる改修工事の内容は、マンションの建設当時の仕様・性能等により大きく異なりますが、このマニュアルでは、2〜3回目の大規模修繕工事を迎える、建築後30年程度以上を経過したマンション(以下、「高経年マンション」といいます。)を対象としています。これらのマンションについて、建設当時のごく標準的な仕様・性能を想定し、改修によるその再生手法について説明しています。
なお、一般的には、高経年マンションの典型的なイメージとして、次の二つのタイプが想定されます。
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タイプ1:中層団地型マンション |
タイプ2:高層1棟型マンション |
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建築時期 |
昭和40年代 |
昭和40年代 |
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分譲業者 |
旧日本住宅公団 |
民間業者 |
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立 地 |
郊 外 |
都 心 |
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階 数 |
中層(4〜5階) |
高層(6〜10階程度) |
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棟当たり戸数 |
30戸程度 |
50戸程度 |
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構造種別 |
RC造・壁式構造 |
SRC造・ラーメン構造 |
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住戸面積 |
約50u(3DK) |
約60u(2LDK) |