(15) 排水設備改修工事

修繕周期

・屋内雑排水管の場合、配管用炭素鋼鋼管(白ガス管)は15〜20 年周期、硬質塩ビ管は25〜30 年周期。屋内汚水管の場合、排水用鋳鉄管は30〜40 年周期。

・屋外排水管では、一斉取替えと事故修繕とが考えられます。配管の材質にもよりますが経年による傷みよりも、事故によるものが多いようです。

主要部位

・屋内・屋外の雑排水設備(排水管・通気管、雑排水槽)、汚水設備(汚水管、汚水ポンプ、汚水槽)、雨水排水設備(雨水管、雨水槽)、屋外桝管路

工事概要

・排水管(住戸内・住棟内・屋外)内部の発錆・腐食等による管の更生又は取替え(更新)工事。

・取替え工事が中心ですが、雑排水管では配管の残存肉厚があれば、更生工事(ライニング工法等)も考えられます。屋外埋設管の勾配不良・地盤沈下による漏水は事故修繕、又は、年次計画による修繕が一般的です。

・汚水管(住戸内・住棟内・屋外)、汚水ポンプ、汚水桝等も計画的に全て取替えます。

改良工事の主な内容・工法等

 排水管の取替え工事においては、管及び継手を最新の材質のものへとグレードアップすることや、排水能力を高めることがポイントとなります。また、排水システムの変更も検討事項となります。

1.材質のグレードアップにより耐久性を向上させる

・雑排水管とその継手は、初期の頃は、配管用炭素鋼鋼管とドレネージ継手が使用されていましたが、近ごろは排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管とメカニカルドレン(MD)継手、耐火二層管(内管が塩化ビニル管で外管がモルタル繊維強化された耐火管)、樹脂コーティングを施した鋳鉄製排水管継手等が採用されるようになってきています。また、汚水排水管とその継手は、初期の頃は、鋳鉄管の鉛接合でしたが、近ごろは排水用鋳鉄管のワンタッチ接合が一般的です。

・雨水排水管については、配管用炭素鋼鋼管、硬質塩ビ管のほか、アルミ管も最近では使用されるようになってきています。

・配管をこうした耐食性に優れ、耐久性のある材質のものに取替えます。また、継手は耐食管材に合った耐食継手仕様のものに取替えます。高層住宅等では地震時の揺れにある程度対応できる可とう継手仕様(メカニカルドレン継手等)とします。


2.排水管のサイズアップ等により排水能力を高める

・排水能力を高めるために、口径の大きい配管に取替えて、通気性能を改善します。床下横主管の口径は、立て管口径以上とします(初期:立て管80o・横主管80o、近ごろ:立て管80o・横主管100o)。また、立て管の口径サイズは、接続枝管サイズより2サイズ以上とします(初期:枝管50o・立て管65o、近ごろ:枝管50o・立て管80mm)。

・また、立て管から横主管へ排水が流れる時に起きるジャンピング現象による通気障害を避けるため、立て管から横主管の第一継手までの距離を2000 o以上離して配管します。


3.通気管のサイズアップにより排水能力を高める

・通気不足による排水能力の改善のために、通気立て管の口径を排水立て管口径以上とし、通気を確保します。


4.排水管の清掃口を新設・増設する

・台所・浴室・洗面所等の排水管は、付着物による詰まり、管内腐食による漏水事故の危険があるため、雑排水管では定期的な清掃が必要となります。清掃口が設置されていない場合や不足する場合には、新設・増設を行います。


5.排水システムを変更する

・高経年マンションの排水システムは、通気立て管を併設した住棟内分流(汚水と雑排水が別配管)システムとなっているところが多くなっています。住戸内を通る共用排水立て管は、汚水立て管、浴室・洗面・洗濯系雑排水立て管、台所系排水立て管と通気立て管等に別れ、それぞれパイプシャフト(PS)内に配管されているのが一般的です。

・一方、近ごろのマンション(特に高層マンション)では、排水用特殊継手を採用し、通気性能を高めた特殊継手排水システム(排水立て管の管内壁周囲に排水を旋回流として流し、立て管の芯を通気層として排水する方式)が主流です。こうした合流方式の排水システムへと変更することにより、排水通気性能をアップさせ、排水立て管、通気管の本数を減らすことが可能となります。

・ただし、専有部分の汚水と雑排水は合流方式とすることができませんので、別の配管経路で行う分流方式とする必要があります。専有枝管が合流配管となっていると、詰まった時に汚水が洗濯機パンなどに逆流する危険性があるからです。


6.1階住戸の排水系統を別系統とし排水能力を高める

・1階住戸の排水横管は上階の住戸に比べて排水勾配が十分にとれないことがあります。この場合、立て管に接続せず、別系統の単独排水として直接汚水枡に接続することで、排水能力を高めることが考えられます。


7.洗濯機置場(防水パン)を住戸内に設置する

・高経年マンションの中には、住戸面積が狭く、住戸内に洗濯機置場(防水パン)が設けられていないものもあります。こうしたマンションでは、バルコニーに洗濯機を置き排水を雨水とともに流したり、浴室周辺に洗濯機を置き浴室に排水したりし、それが原因で漏水事故が生じているケースがあります。また、洗濯機排水は合流処理地域でも雨水立て樋に流すことは適切ではありません。

・このような場合、生活を便利にするために、住戸内の洗面脱衣所に洗濯機用防水パンを設置することが考えられます。近ごろでは、FRP(ファイバー繊維強化プラスティック)製で、飛び水・こぼれ水を効果的に排水するタイプのものや、階下への排水音を防止する構造のタイプのものもあります。ただし、設置にあたっては、排水管の排水能力(サイズ)に余裕があることや、排水立て管までの横引き管の距離が短くなる位置に防水パンを設置できることなどが条件となります。なお、洗濯機置場(防水パン)の設置工事は、専有部分の工事となり、原則として各住戸の費用負担となります。

概算コスト

・排水管の取替え工事等のコストは、1系統(立て管1本)につき1戸当たりに換算して概ね次のように想定されます。

項目

工事

工法・仕様等

コスト

モデル1(5階・30戸)口径80o

モデル2(10階・50戸)口径100o

雑排水管

更生

エポキシ樹脂ライニング

27〜35万円/戸

30〜40万円/戸

排水管

取替え

単管排水システム(立て管:排水用塩ビライニング鋼管、横主管:硬質塩ビ管、集合管継手+MD継手)

15〜20万円/戸

18〜24万円/戸

排水立て管+通気立て管
(MD継手)

22〜28万円/戸

27〜35万円/戸

排水立て管(MD継手)

11〜15万円/戸

14〜18万円/戸

PS解体・復旧

コンクリートブロック壁解体復旧

10〜20万円/戸

取替え

 

220〜290万円/基

250〜330万円/基


(16) 消火設備改修工事

修繕周期

・埋設消火管、雨掛かり部の消火栓箱、消火管補給水槽(屋上)は18〜24 年周期。

・消火管、ポンプ、制御盤等は25〜30 年周期。

主要部位

・屋内消火栓設備(消火管、消火水槽、消火管補給水槽、消火栓ポンプ、制御盤・非常用電源等の電気設備、ホース類、屋内消火栓箱等)

・連結送水管設備(連結送水口、消火管、消火隊専用栓箱)

工事概要

・屋内消火栓設備、連結送水管設備の発錆・腐食、劣化・損傷箇所の修繕及び取替え工事。

・屋内消火栓設備、連結送水管設備等は、消防用設備定期点検(消防法第17 条の3の3)では、6ヶ月に1回の作動・外観・機能点検、1年に1回の総合点検、3年に1回の点検報告が義務づけられています。

・なお、法定点検の履行義務や内容の詳細については、各地方公共団体の条例等によって異なるため、地元の地方公共団体の確認が必要です。

改良工事の主な内容・工法等

 消火設備の改良(取替え)工事においては、機器類や配管の材質等をグレードアップし、耐久性やメンテナンス性を向上させることがポイントとなります。

1.機器類の材質等のグレードアップにより耐久性やメンテナンス性を向上させる

・高経年マンションでは、開放廊下等の雨掛かり部にスチール製の屋内消火栓箱が使用されているケースがありますが、スチール製のものは発錆・腐食しやすく、内部に雨水が浸入すると電気関係が誤作動するおそれがあります。箱そのものを耐久性があり塗装等が不要でメンテナンスの容易なステンレス製のものに取替えます。

・ピット式(建物地下の基礎の間を利用して設置しているもの)の消火水槽の内部は防水モルタル程度で正式な防水が施されていない場合が多いようですが、漏水があれば、塗膜防水等の内面防水を施します。


2.配管類の材質等のグレードアップにより耐久性を向上させる

・高経年マンションでは、屋内消火栓、連結送水管の埋設管には配管用炭素鋼鋼管が使用されていますが、現在では、外面防食鋼管(消火用硬質塩化ビニル外面被覆鋼管や消火用ポリエチレン外面被覆鋼管)が規格制定されていますので、これらの耐食性・耐久性に優れた配管に取替えます。

・屋外配管については、近ごろでは防錆性・耐久性に優れた配管用炭素鋼鋼管や圧力配管用炭素鋼鋼管が採用されており、これらに取替えます。また、露出配管の場合、配管の表面に配管内の水の凍結を防ぐ保温材が巻かれており、その上にラッキング鉄板で保護されていますが、これをステンレス製のものに取替え、耐久性とメンテナンス性を高めます。

・連結送水管には湿式(内部に常に水が満たされており、開栓と同時に水が噴出するもの)と乾式がありますが、水の噴出までのタイムラグの解消やイタズラ防止の点から、(寒冷地を除き)乾式のものを湿式に変更することが考えられます。

概算コスト

・消火設備の取替え工事等のコスト(単価又は戸当たり)は、概ね次のように想定されます。

項目

工事

工法・仕様等

コスト

モデル2(※)
(10 階・50戸)

埋設消火管

取替え

SGP-VS口径100o(外構復旧を含む)

4〜5万円/m

消防隊専用箱

取替え

ステンレス製 500o×400o×220o

18〜24万円/台

屋上消火補給水槽

取替え

FRP製

45〜58万円/基

屋内消火栓ポンプ装置

取替え

40φ×50m×150φ×3.7kwユニット
(内装制限されていない場合7階以上に設置)

120〜160万円/基

その他消火管等

取替え

コンクリートブロック壁解体復旧

8〜12万円/戸

 (※)モデル1(5階・30戸)は設置対象外


(17) ガス管改修工事

修繕周期

・屋内ガス管(PS内・住戸内)はかなりの耐用があり、30〜40年程度で取替えます。

・屋外ガス管は、亜鉛メッキ鋼管(白ガス管)の場合は15〜20年程度で取替えます。

・外面ポリエチレンライニング鋼管にLM継手(ロックメカニカル型継手:外面が亜鉛メッキ仕上げのため電触に弱い)が使用されている場合は18〜24年程度で取替えます。

主要部位

・屋内ガス管、屋外ガス管、メーター、住戸内ガス管

工事概要

・ガス管、ガスメーターの劣化・損傷箇所の修繕及び取替え工事。

・住棟内の共用ガス管(各住戸のガスメーターまで)を全面的に取替えます。埋設管は、埋め戻し土壌の質にもよりますが、電触によるガス漏れ事故が発生した場合は全面取替えします。

・ガス事業法によりガス事業者は定期的な点検を行うよう義務づけられており、通常は3年に1回、ガス管と取り付け機器のガス漏れ点検を行っています。

改良工事の主な内容・工法等

 ガス管の改良(取替え)工事においては、材質のグレードアップにより耐久性を高めることやガスの供給能力を高めることがポイントとなります。

1.材質のグレードアップにより耐久性の向上を図る

・ガス管は、埋設管の場合、昭和50 年代中頃まで、亜鉛メッキ鋼管(白ガス管)が使用されていましたが、現在では使用が禁止されており、耐食性に優れた硬質塩化ビニル被覆鋼管(カラー鋼管)やポリエチレン被覆鋼管(PLP鋼管)に取替えられてきました。しかし、近年は、耐久性に加え、耐震性にも優れた高密度ポリエチレン管(PE管)に取替えられています。

・埋設管以外では、経済性と強度から現在でも亜鉛メッキ鋼管が使用されていますが、屋外露出の場合は、雨掛かり部分では耐食性に優れた硬質塩化ビニル被覆鋼管に取替えます。


2.配管サイズのアップ等により供給能力を高める

・各住戸で使用されるガス機器(給湯機器)の性能向上に伴い、ガス管の容量不足が問題となるケースが増えています。口径の大きい管への取替えを行い、供給されるガス量を容量アップします。


3.美観性を考慮する

・専有部分のガス管の取替え工事は経済性が最優先されるため、露出配管となることが多く、美観性はあまり考慮されていません。給排水管の取替え工事と同時に行うことや、他の仕上げ改装工事に併せて天井や二重壁等の内部に隠蔽したりするなど、できる限り露出配管とならないよう工夫することが望まれます。やむを得ず露出配管とする場合には、配管カバーを設けるなどの工夫が望まれます。

概算コスト

・ガス管の取替え工事のコスト(単価又は戸当たり)は、概ね次のように想定されます。

項目

工事

コスト

屋外埋設ガス管

取替え

2万円/m

住棟内ガス管

取替え(付帯工事を含む)

15〜35万円/戸

その他

・ガス管はガス事業法の技術基準で、材料・工法等が細かく規定されており、価格もガス事業者により異なる場合があります。工事を行うガス事業者の調査・診断による検討を要します。


(18) 給湯設備改修工事

修繕周期

・給湯管の劣化の程度は、配管・継手の材質や修繕履歴等によって異なるため、周期にはかなり幅があります。

・給湯器は、設備に対する要求水準の高まりに応じて適宜、性能の優れたものに取替えます。

主要部位

・給湯器、給湯管

工事概要

・給湯管内部の発錆・腐食等による管の更生又は取替え(更新)工事。

・給湯器の取替え工事。

・専有部分の給湯設備工事及び給湯器取替え工事は各住戸の費用負担となります。

改良工事の主な内容・工法等

 近年、給湯設備の性能は著しく向上し、居住者の要求水準も高まっています。近ごろの新築マンションでは、電気を熱源とするものも増えつつありますが、高経年マンションの熱源は一般的にはガスが使用されており、ガス燃焼機器をより便利で性能の高い機器に取替えることが考えられます。給湯システムの変更に伴い、共用部分の工事が必要となる場合があります。

1.材質のグレードアップにより耐久性の向上を図る

・給湯管は、かつては被覆銅管や銅管にグラスウール等の保温材を巻いて使用されていましたが、近ごろでは、耐久性に優れた給湯用の耐熱性硬質塩ビニルライニング鋼管、ステンレス鋼管、架橋ポロエチレン管、ポリブテン管等が主流となっています。


2.ガス機器を「元止め式」から「先止め式」に変更する

・ガス瞬間式の湯沸器は、給湯器本体の入口側水栓の開閉によりメーンバーナーが点火・消火する「元止め式」と、出口側水洗の開閉による「先止め式」とがあります。

・元止め式は他の箇所への配管給湯ができないタイプで、高経年マンションでは、台所の流し上にその場所でしか使えない小型の瞬間湯沸器を設置しているケースが多くなっています。一方、先止め式は数カ所に配管給湯することができるもので、近ごろの新築マンションの住戸内セントラル方式(台所・浴室・洗面所への3ヶ所給湯等)はこのタイプです。台所のほか浴室、洗面所での使用ニーズが高まっており、ガス機器のシステムを元止め式から3箇所に給湯できる先止め式に変更することが考えられます。

・先止め式への変更にあたっては、給湯器から各所への給湯用配管を床下や壁内部などに配する必要があります。給湯器がバルコニーやパイプスペース内等の共用部に設置される場合は、共用部分での工事となります。この場合、一般的には、専用使用権の取り扱いや外壁スリーブ開口等について規約改正を必要とします。

・また、給湯や暖房等に使用されるガス燃焼機器は、設置する場所と給排気の方式により、次頁に示す4つの方式があります。ガス機器の変更にあたっては、当該マンションでの使用の可能性についての十分な検討が必要となります。なお、機器の設置方法は、(財)日本ガス機器検査協会で発行する「ガス機器の設置基準及び実務指針」に従う必要があります。

 ■ガス燃焼機器の種類

かつてのマンション

@開放式

・機器を設置した室内より燃焼用の空気をとり、室内に燃焼排気ガスを放出する方式。

・ガスストーブ、ガスコンロ、小型湯沸かし器(4、5号)等がこれに該当し、使用中は新鮮な空気と換気を必要とします。

A半密閉式

・機器を設置した室内より燃焼用の空気をとり、燃焼排気ガスを排気筒から屋外に放出する方式。自然排気方式(CF)と排気用送風機を用いる強制排気方式(FE)とがあります。

・昭和40 年代初期までは自然排気式、その後昭和50 年代初期頃までは強制排気式が一般的に採用されていました。また、開放廊下型のマンションではCFチャンバー(チャンバーとは、ガス熱源機を設置する場所で、通常開放廊下に面したスペースを通気用の開口が帯状にあいているガラリ等で区切っている)設置式が広く採用されていました。

・半密閉式は、かつては広く採用されていましたが、近ごろでは、取替え用の機器が無かったり、機種が限られたりするため、密閉式や屋外式に変更されています。

近ごろのマンション

B密閉式

・機器を設置した室内の空気と隔離された機器燃焼室で屋外から取り入れた空気により燃焼し、屋外に燃焼排気ガスを排出する方式。給排気を自然通気力により行う自然排気方式(BF)と給排気用送風機により強制的に行う強制給排気方式(FF)とがあります。また、設置場所や給排気の接続部分により、外壁側(W)・チャンバー内(C)・パイプシャフト内(PS)・共用ダクト接続(D)の各方式があります。

・安全性の向上と小型化により、近ごろでは、屋外式とともによく採用されており、室内に設置する場合は、密閉式が主流となっています。

・BF・FF式ともに給気と排気の部分(給排気筒トップ)が近接しており、ガスの燃焼排気ガスが給気口に流入することが起こらないように設置しなければならないため、機器周囲や開放廊下の形状等に細かな規定が設けられています。また、風の影響による逆流現象、周囲の防火性能、建物内外や共用ダクト間との防火区画などの規定があります。

C屋外式

・機器を屋外(建物の外壁やベランダ、パイプシャフト等に設置されます。)に設置し、屋外の空気で給排気する方式。

・パイプシャフト内設置、壁を貫通して設置する壁面貫通型(壁貫通ふろ給湯器)、建物外壁の凹状の窪みに設置する壁組み込み設置等があります。なお、屋外式には、自然給排気方式(ガス風呂釜)と強制給排気方式(ガス瞬間湯沸し器)とがあります。

・室内に設置スペースが不用なことから、近ごろでは、室内設置型の密閉式よりも広く採用されています。


3.ガス機器の性能をグレードアップする

・ガス瞬間湯沸器の出湯能力は一般的に号数(1 号は1 分間に1 gの水を水温+25℃温度上昇させる能力)によって表示されますが、数カ所での同時使用に対応するためには、号数が大きく出湯能力の高い機器に取替えます。台所流しで使用される小型の瞬間湯沸器は5号程度で、セントラル方式に使用されるものは10〜32 号程度で多くの種類がありますが、一般的には24号程度がよく使われています。これは標準的なファミリー世帯が冬期に2カ所(1カ所はシャワー)で同時に使用しても十分な能力を有するものです。

・また、ガス機器の性能は、給湯用の単一機能のものから、近ごろでは各種の機能(風呂追い焚き・高温さし湯等の機能、自動お湯はり等の自動制御機能、暖房・床暖房・浴室暖房乾燥・サウナ等の複合機能)を付加したものが主流となってきています。さらに、電話やインターネットによる遠隔操作が可能なものなどが現れ始めています。今後は、こうした性能の優れた便利な機種に変更することも検討事項になると考えられます。

・なお、ガス燃焼機器は、機器のガス消費量によって給排気の能力が計算されており、給排気口の周囲条件及びガス機器や排気筒周囲の材料・形態にも一定の防火安全上の基準・規制が設けられています。このため、機器の機能及び給湯能力を向上するにあたっては、既当のガス事業者にガス供給の可否について確認をした上で、取替えるガス機器の種類や設置方法に適合するよう共用部分の変更工事を行うことが必要となる場合があります。管理組合として、機器を設置しやすいように共用部分の変更工事を行い、設置できる機器の種類やその設置方法についてのルールを設けておくことが望まれます。


4.給湯器の転倒・落下等を防止する

・屋内設置型の給湯器は台所、洗面所又は専用スペースに設置されることが一般的ですが、屋外設置型ではマンションの共用部分であるパイプスペース内に設置される場合や、パイプスペース扉や玄関扉の前のアルコーブ、開放廊下、各戸のバルコニー等に設置される場合もあります。

・設置方法は、据置型、壁掛型、天井取付型がありますが、いずれの場合も地震時に転倒・落下することがないよう十分な据付・固定をするなどの対策が必要です。

・特に、高層マンションでは、貯湯式給湯器が転倒し、配管が破断して熱湯が室内に流れ出す事故が発生することがあります。地震加速度が大きい高層住棟の上層階から転倒し、最下層の住戸まで漏湯し、建物全体がお湯浸しになることもあります。狭い設置スペースに固定せず置いただけの場合がよく見られますので、適切に据付・固定する必要があります。


5.電気式給湯設備への取替え

・高経年マンションの熱源はガスが一般的ですが、マンション内の居住者の高齢化が進んでくると、安全性の点で電気式給湯設備に取替えることも考えられます。深夜電力利用電気温水器、局所電機式貯湯槽等があります。

概算コスト

・給湯設備の改良工事のコスト(単価)は、概ね次のように想定されます。

項目

工事

工法・仕様等

コスト

ガス給湯器
(※1)

新規設置

屋外壁掛け型(追い炊き機能付き)ガス湯沸かし器16〜24号

25〜40万円/台

電気給湯器
(※2)

既存設置

屋外設置型深夜電力利用電気温水器380L

35〜50万円/台

新規設置

屋外設置型深夜電力利用電気温水器380L

50〜80万円/台

新規設置

局所電機式貯湯槽10L

13〜17万円/台

 (※1)配管工事費は含まない
 (※2)共用幹線設置費用は含まない


(19) 冷暖房設備工事

修繕周期

・冷暖房設備に対する要求水準の高まりに応じて、適宜、実施します。外壁工事等と同時期に行うことが考えられます。

・冷暖房機器の取替えは、集会室や管理事務室等の天井カセット型やパッケージ型の大型機器では15〜25 年程度、ルームエアコンでは10〜15 年程度が目安となります。

主要部位

・冷暖房機器、ルームエアコン冷媒配管、室外機置場

工事概要

・冷暖房機器の設置のための共用部分の改良工事。

・屋外機や冷媒配管等が大規模修繕時の外壁塗装や床防水工事の支障とならないよう、又は、設置部分の建物に悪影響(機器の取付金物や架台の発錆・腐食、床防水の劣化等)を及ぼすことのないよう、管理組合としてルールを設け、各居住者に周知を図る必要があります。

改良工事の主な内容・工法等

 高経年マンションの中には、建物内セントラル型の冷暖房システムが導入されているものもありますが、維持管理費がかさむことなどから、近ごろでは各住戸対応の局所型のシステムに変更する事例が多くなっています。一方、標準的な高経年マンションでは、各住戸対応の局所型がより一般的です。冷暖房については、ルームエアコンが一般的であり、各居室に設置できるよう室外機置場等を設ける工事等が考えられます。また、暖房装置については、給湯設備等と一体化・複合化されている暖房システムを導入することが考えられます。
 なお、冷暖房設備の機種、設置場所・方法等については、管理組合で共通のルールを設けておくことが望まれます。

1.冷暖房設備の共用配管カバーを新設する

・ルームエアコンの屋内機と屋外機をつなぐ冷媒配管は、屋外に露出される場合が多いですが、ルームエアコンの屋外機を各戸が勝手に屋上や犬走りに設置し、その配管が外壁を縦横に這うと外観が非常に見苦しくなります。このため、共用の配管カバーを新設し、その中に各戸の配管を納めることができるようするにすることが望まれます。

・配管カバーは耐久性に優れた合成樹脂製などとし、途中に各住戸からの配管引き込み用分岐カバー付きとします。また、冷媒配管以外に屋内機から出る結露水を排出するドレン管と屋外機用の電気配線があり、これらを一体にして配管カバー内に納めることも考えられます。この場合は、ドレン管の排水位置に注意する必要があります。


2.共用廊下側にエアコン用スリーブ・室外機置場を新設する

・高経年マンションでは、エアコン用スリーブや室外機置場がリビングには設置されていても、共用廊下側の居室には設置されていない場合があり、設計時に室外機置場等が設けられていない居室には室外機を必要とするエアコンを設置することはできません(開放廊下はバルコニーとは異なり専用使用権は認められていません。)。近ごろでは、各居室にエアコンを設置するニーズが高まっているため、サッシの窓枠にはめ込むウインドー型エアコンの設置が考えられますが、窓を開閉しての使用となるため、開口部の遮音性や水密製、断熱性が損なわれることになり、また、防犯上も問題となります。

・このため、共用廊下側の居室にもルームエアコンを設置することができるよう、管理組合として共用部分工事に取り組むことが望まれます。建物の壁に配管用のスリーブ(直径8p程度の穴)を開け、室外機の設置場所を設け、廊下の床に排水用の溝を設けることなどが考えられます。室外機置場については、共用廊下の床に設置するタイプやアンカーボルトで天井から吊る方法がありますが、廊下幅員が狭くなったり通行の障害になったりする場合は、天井面に平で取付けられる薄型の室外機の設置(この場合、室外機の機種は共用廊下の通行を阻害しない機種を管理組合が指定することになります。)が考えられます。

・なお、コンクリート等に金物を取付けるためにアンカーを打込む場合は、コンクリート躯体や仕上げに対する影響についての検討が必要となります。また、壁にスリーブをあける場合や機器荷重が増加する場合には構造強度上の問題についての検討が必要となります。


3.冷暖房設備の性能をグレードアップする

・住戸内にシステムとしての暖房装置が備えられていない場合、暖房システムを導入することが考えられます。暖房だけを単独に行う場合には、従来、熱量の高さと経済性からガス暖房器具(特に、安全で使い易い密閉式暖房機器)が多く採用されてきました。しかし、近ごろでは、熱源を住戸内の1カ所に設け、暖房と給湯等の機能が一体となり、ガス熱源機で作られた給湯用と暖房用の温水を配管で各種の機器に送る住戸内セントラル方式が増えています。こうした性能のものへグレードアップすることが考えられます。なお、住戸内セントラル方式のガス燃焼機の仕組みは、給湯設備の場合と同様です。

・ガス熱源給湯暖房方式では、熱源用としてのガス配管や電気配線以外に、温水用の配管が必要となります。これは給湯の場合と同様ですが、温水暖房では往復2本必要となり、架橋ポリエチレン管が2本1組となったペアチューブが採用されるようになってきています。これをCD管(電気配線用の配管に使われる合成樹脂管)の中に配管する「サヤ管ヘッダー方式」として配管される場合もあります。

・また、暖房のみならず、冷媒を通じて各室の冷房も複合的に行う方式のものや、さらに乾燥機や換気と連動したものなども普及し始めており、こうしたシステムに取替えることも今後の検討課題になると考えられます。

・冷暖房セントラル方式では、熱源を電気とし暖房と冷房を併せて行うなら、ヒートポンプ式ルームエアコンへの取替えも考えられます。また、熱源をガスと電気とし冷暖房を行うなら、ガスエンジン型ヒートポンプルームエアコンへの取替えが考えられます。

・なお、これらの冷暖房設備の工事は専有部分工事となりますから、その機器類の取替えは各住戸の費用負担で行います。

概算コスト

・冷暖房設備工事のコスト(戸当たり)は、概ね次のように想定されます。

項目

工事

工法・仕様等

コスト

配管カバー

新設

合成樹脂製カバー(各室配管引込み用カバー付き・各室取出しカバー付き)

3〜4万円/戸



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