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決算の不承認 12/05

 「収支決算と事業報告」については、毎年、総会の決議(承認)を経なければならないことが管理規約に記されているはずです。当然、承認を得られないケースもあり得ます。そのようなときはどう総会を進めたらよいのでしょうか。しかし、仮に「決算が不認定」とされた場合でも、過去に遡(さかのぼ)って予算執行が停止になるわけではありません。ただ、不承認だったという記録が残るのみです。しかし、理事長(理事会)に対する実質的な不信任であり、はなはだ不名誉、異常な事態ではあることは認識しなければなりません。

 地方自治体でも、類似の不信任事例が新聞報道(産経新聞H25.12.05)されていました。 「国分寺市議会は4日の本会議で、平成24年度の一般会計決算を認めないと意思表示する「不認定」とした。市議会を構成する5会派のうち、自民党系を除く4会派と無会派の一部が決算を認めず、賛成少数で認定されなかった。同市議会が前年度決算を不認定としたのは、これで4年連続。同市の行政運営に実質的な支障はないものの、決算担当者も「4年連続は聞いたことがない」という珍しい事態となった。

 議会で表明された反対理由は、(1)決算処理の不手際で監査を2回も受けなければならなくなった(2)国分寺駅北口の再開発をめぐる事務手続きで問題があった(3)市担当者の議会答弁が不十分だった、などだった。」

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床フローリング改修基準は細則に 11/16

(質問)中古マンションを購入後、リフォームを考えています。防音の事を言われているのだと思いますが、担当の方から「リフォームで床を無垢材にするのは不可能です」と言われてしまいます。雑誌では、マンションで無垢の床にリフォームしてるのを見るけど・・・・<WEBサイトより抜粋>


 マンションの騒音問題は、違法駐車、ペット飼育とならぶマンション三大トラブルのひとつです。しかもマンションの永住意識の高まりから高齢化が進展しており、生活スタイルの異なる若い世代の中途入居者との間で騒音トラブルの発生が懸念されるところです。
更に今後は、専用部分をリフォームしたり、マンション全体の骨組みだけを残して耐震化し現代的感覚で自由に間取りし設備を作り直す、いわゆるリノベーション・マンションというのが増えてくると思われます。

 しかしながら、古いマンションでは、構造上、床スラブ厚が薄いことが多く、特に、中途入居者が入居時に大規模なリフォームを計画し、そのため床仕上げを従前の畳・カーペットから「フローリング」へ模様替えするような場合には、騒音問題の発生が懸念されます。
 上下階の床衝撃音(騒音)には、重量床衝撃音LH(「ドスン・ドタバタ音」。中心周波数63Hz)と軽量床衝撃音LL(「コツコツ・トントン音」。中心周波数125Hz)があります。犬やネコが爪を立てて固い床を歩行するときの「チャチャ音」も軽量衝撃音に区分されます。

 前者は、床のコンクリートが厚さなど構造体の剛性によって決まります。そのためカーペット、塩ビシート、厚さ16ミリ以下の直張り防音フローリング床などの薄材を直貼りする場合(「カテゴリーT」と分類される。)にあっては、その仕上げによる影響は無視できます。後者は、構造体(スラブ厚)ではなく、直張床の場合では、仕上げ材料の硬さ(柔らかさ)が、遮音性能をほぼ決定します。そのため、防音処理されていない、いわゆる無垢の単層のフローリングへ改修は、もともと問題のある重量衝撃音に加えて、新たに軽量衝撃音の発生によって下階に影響をあたえることになります。

本来は、専用部分の改修は原則自由です。しかし、下階住戸に及ぼす騒音の影響が大きいことから、標準管理規則第17条では「あらかじめ理事長にその旨を申請し、書面による承認を受けるべきこと」として特段の規定が設けられていることに、申請者、管理組合ともに再確認すべきです。加えて、理事長は、提出された設計図や仕様書などから「理事会決議を経て承認又は不承認とする」ことになりますが、「構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるので、専門家への確認が必要(同コメント)」なため、その調査等の費用は「申請者に負担させることが適当(同コメント)」とされています。

 しかし、理事会や専門家への確認行為は、時間と費用がかかるなど、ハードルが高すぎると、同規約の狙いとする騒音問題の排除の実効性自体が危ぶまれます。しかも外部の専門家による調査についても「当該計画が従前の遮音の程度を満足する」ことを確認するのはかなり専門性の高い内容です。

 これらのことから、直貼りの防音フローリング(複層合板で柔らかく加工されたもの)など、一般的な床材への模様替えについては、管理組合で判断できるよう、細則でリフォーム時の床材の必要性能(軽量衝撃音の遮音性能)を簡潔に規定しておくことが望まれます。
参考例ですが………

1) スラブ直貼りの床材で、厚さ16ミリ以下の認証のある防音フローリングであること。
2) 床材の床衝撃音に対する低減性能の等級が「ΔLL(T)−5(少なくともΔLL−4)」であること。ただし、旧基準表示の場合は「LL-40(少なくともLL-45)」以上であること
3) 二重床や畳室の他、平面計画が従前と大きく異なる場合、特殊な工法・仕様の床のリフォーム(模様替え)にあっては、重量衝撃音及び軽量衝撃音が従前の遮音レベルを下まわることないことを、理事会を通じて専門家(環境計量士などの資格者)に調査依頼する。その費用は申請者の負担とすること。
4) 直下階に住戸がない場合は、これらの規定(細則)は適用しない。

 既にリフォーム時の床材の必要性能(従前の推定L等級)を細則で規定している分譲マンションでは、「LL-45等級以上(軽量衝撃音)」と規定している場合が多いようです。

 このように防音フローリングの性能表示にはこれまで「LL-45」などと表示する「推定L等級」が使われてきましたが、これがJIS(日本工業規格)による床版の衝撃音の遮音等級(L-40、L−45などの空間性能。数字が小さいほど性能が高い)と混同されるため、平成20年4月からカタログ表示の基準が変わっています。現在は、床材の「床衝撃音に対する低減性能」を等級とした「ΔL等級」が使われ、軽量床衝撃音については、ΔLL(デルタ・エルエル)等級として5段階の等級(ΔLL−1〜5。等級の数字が大きいほど床衝撃音低減の性能が高い)が設定されています。

 新たに細則で基準を定める場合は、この「ΔL等級(カテゴリーT)」の値を判断基準として使用するのが適当と思われます。なお、新旧のカタログ等の表示については「ほぼ同等以上の床衝撃音低減性能が確保できる等級への置き換えとしては、従来の「LL-45」は新表示のΔLL(I)-4等級以上とするのが適切と考えられる」とされています。

 ちなみに軽量衝撃音が影響する周波数帯域(125Hz)では、実験室レベルでは、ΔLL(I)-4等級では10dB、同5等級では15dBのレベル低減量があるとされています。従前床がパイルカーペット直貼りであった場合、125Hz帯のスラブ素面を規格に沿って打撃した場合に比べた改善量(床衝撃音低減性能)は、発泡体厚2〜3ミリ(クッション無)で10dB以下であり、ほぼ旧基準の「LL-45」と同等とみることができるでしょう。

 なお、防音フローリングでは、クッション部分に糊が染み込み弾性が失われる等の施工のバラつきを考慮し、目標性能より1ランク上の性能(LL-45)のものを選ぶことが望ましいでしょう。
(出典:床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会「報告書」、「わかりやすいマンションの防音設計」平野滋著、日東紡音響エンジニアリング技術ニュース「床衝撃音の測定」、標準管理規約第17条・コメント)

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エフロレッセンス(白華)は管理者へのメッセージ 11/03

 マンションの外壁タイルに、白色や錆び色を伴ったクリーム色のエフロレッセンス(白華、はな垂れ)が発生していることがあります。このエフロレッセンスは、専門的には、「コンクリートの中や周辺の可溶成分が水分の移動によりコンクリートの表面に移動し、表面での水分の蒸散や空気中の炭酸ガスなどの吸収によって、溶解していた成分が析出すること、およびその析出物」として説明されます。

 エフロレッセンスは、外壁タイル表面やコンクリートの表面を汚染し、著しい美観上の問題を生じます。
 しかし、エフロレッセンスそのものが、直ちにコンクリートやタイルの構造上の信頼性を損なうということではありません。どちらかというと、コンクリート構造体やタイル壁下地のモルタルの変質や劣化(中性化、塩害、凍害など)、またはタイル目地やパラペット笠木の防水が切れていますよという管理者に対する「メッセージ(注意信号)」といえます。

 エフロレッセンスは「水の移動」と関係が深く、水がなければエフロレッセンスは生じません。このことに着目すべきです。そのため、外壁タイルにあっては、パラペットの防水や外壁タイルの目地が切れているなどして、タイル裏面に雨水が廻っているという推測が成り立ちます。ただし、北海道のような厳寒地では、そのような場合、廻りこんだ水が凍結と融解を繰り返し、タイル壁自体の剥落・落下による人身事故につながる危険が極めて高くなることを心配すべきです。その意味では、エフロレッセンスは美観上の問題だけではないことは確かです。

 エフロレッセンスは、石灰石(CaCO2)であり水に溶けません。その除去はタイルを張り替えるのがいちばんですが、ときには小刷毛で30倍程度に希釈した工業用の塩酸を用いてこすり取ることがあります。この場合、酸洗い後の水洗いが特に大切であり、酸がタイル目地に残らないように、手早く入念に行う必要があります。

 ちなみに、マンション標準管理委託契約(と同じ契約を結んでいる場合)では、管理受託者は外壁(タイル)の「錆・白華状況の有無又は状態」を注意を払って(高層では双眼鏡等で)点検し、その発生(外壁タイルの浮きやタイル面の凸凹)があるときは速やかに管理組合に通知する必要があります。。(出典:日本コンクリート工学協会「コンクリート診断技術‘10 基礎編」、国交省官庁営繕部監修「建築工事監理指針(11タイル工事、標準管理委託契約書第2条・12条、別表第4内外壁」)

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マンションの外壁タイルはいずれ剥落する 11/06

 「昨今、外装の一部の落下事故について、テレビのニュースや新聞記事等で目立つようになりました。外装仕上げ材等の落下は、施設利用者や歩行者に重大な危害を与えることになります。建物の長期的耐用性および安全性の確保にとって、「点検」および「確認」を適切に行うことが重要となります。十分ご注意下さい。(北海道開発局公式ホームページ)」

「外壁にタイル張り、石張りをしたものや、モルタル塗り仕上げをしたものは、タイル等の剥離や浮き、仕上げや貼付けに使ったモルタルの劣化により、落下のおそれがあります。特に道路や通路に面している外壁のタイル等が落下すると、通行人等に危害を与えるおそれがあるため、大変危険です。(東京都公式ホームページ)」

「近年、建築物において外壁タイル等が落下する事態が発生しています。建築物を所有または管理されている皆さまにおかれましては、外壁タイル等に浮きやひび割れ等がないか、特に人通りの多い道路に面する部分について落下のおそれがないかを確認し、落下のおそれがある場合には、速やかに対策を講じるようお願いいたします。(札幌市公式ホームページ)」

 これらは、いずれも外装タイルの落下による人身事故発生を懸念し注意を促す官公庁のホームページからの抜粋です。 外壁タイルは、意匠上の高級感と躯体の保護機能(酸性雨や大気中の汚染物質対策、防火性、美装性など)を兼ね備えた優れた外壁仕上げ材として、商業ビルやマンションなどで広く採用されており、乾式工法を採用している超高層マンションを除き、15階程度の分譲マンションでは外壁タイル張りでないものを探すのが難しいほどです。

 しかし、そもそも(外装の)陶磁器質タイル張りは「地震などの外力がなくても、経年により剥離(浮上がり)故障や剥落事故が生じ易いといわれている外装仕上げ材の一つである。しかもタイル張り層が剥落すると、建物外壁近傍の歩道を通行する不特定の歩行者に危害を及ぼす危険が極めて大きく、人的災害防止上、重要な問題となっていることに留意する必要がある。

 実際、平成元年11月21日の北九州市小倉地区で発生したRC構造の集合住宅の外壁の重大な剥落事故は、近年最悪の事態(厚さ約35ミリの外壁下地を含むタイル仕上げ層が縦約5メートル、横約8メートルにわたって突然に31メートル下の歩道上の通行者の上に剥落し、死者2名、重症者1名)を生じることになったが、これを契機として、我が国に特有とされる外壁タイルの剥落・落下による危険性が社会問題として広く認識されるようになりました。

 平成25年2月に起きた札幌市役所の貼付けPCパネル2トンが剥落した事故(19階、築41年の札幌市役所庁舎の地下1階(半地下食堂前中庭)天井庇の鼻部、PCコンクリート製の貼り付けパネル16枚、重さ計約2.1トン)が高さ約2.4メートル下の中庭テラスに落下。中庭は積雪閉鎖中でけが人はなかった。)が記憶に新しいところです。
 外壁タイルそのものの耐用年数は25〜30年とされます。しかし、既往の報告によるとタイル張り外壁(タイルとモルタル層の3層になっている)の多くは、コンクリート躯体と下地モルタルの界面の剥離、または下地モルタルと張付けモルタルの界面剥離によるものとされています。

 一方で、実際のタイル張り外壁の故障が確認されるまでの経過年数は「平均」で13.6年とする報告もあります(グラフ参照)。主に剥離・剥落であり、日射と放冷による表面温度の変化で起こる膨張・収縮の繰り返しや力と接着のためのモルタルを含めた重さが主な原因と考えられており、その他にも、台風等の強風(タイル面への大きな負圧と正圧)やタイル面の乾燥による収縮、不適切な収縮目地、冬期施工によるモルタルの凍害等の劣悪な施工環境などが考えられます。

 その部位としては、特に窓廻り隅部、コンクリートの各階の水平打継部、斜線制限を受けて斜壁部(防水施工の上にタイル接着)等が要注意である。北海道のような厳寒地では、北面タイル外壁のストレスが大きいように思いがちだが、日射(太陽熱)の影響を受ける南面や東西面のストレスの方が大きく、それらの面の浮き上がり率も北面に比べて相対的に大きいのが特徴です。

 外壁タイルの剥離・剥落を防止するのに有利なのは、熱吸収の少ない白っぽいタイルや、接着力を高めるためのタイルの裏形と接着モルタルの選定などが重要とされています。しかし、それらの対策は、故障発生までの時間を遅延させることは出来ても恒久的な対策ではないとされています。
 もちろん、昨今、剥落防止の技術開発が活発に行われていますが、乾式工法(超高層など)の外壁を除き、一般の湿式の外壁タイルは、いずれ落ちるものと考え、通常、築10〜15年で一般的に実施されているタイルの部分張替えや浮き注入による補修は、第2回目意向の改修工事では基本的に、全面張替えを繰り返していくか、ピンやネットを組み合わせた剥落防止工法等を適用することが望ましいとさえ言われています。

 国も北九州市の人身事故を契機に、翌平成2年には剥落による災害防止のためのタイル外壁の診断指針を示し、平成20年4月からは建築基準法に基づく建築物の定期調査報告の調査要領が改正施行されています。
マンションの管理組合(管理受託会社)としても、日々の双眼鏡等による外壁タイル等の点検が不可欠であり、その「剥落等又は著しい白華、ひび割れ、浮き等」を認め、かつそれによる人身事故の恐れがある場合は、保安上、直ちに対応をすることが必要です。

 (出典:日本建築防災協会の統計資料 外壁タイル張りの剥離・剥落故障例 1998年発行、清水建設研究報告第46号(昭和62年10月)「外装陶磁器質タイル張りの故障分析」熊谷敏男氏、建築基準法第10条、12条及び同告示、公共建築工事標準仕様書・同解説から引用)

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議長の議決権の行使の方法 10/23

 地方議会や自治会等の総会でも、議長は、議事の進行役としてできるだけその中立性を保つべき立場から、当初から議決に加わらないのが慣例です。マンション管理組合の総会でも、従来の標準管理規約(中高層共同住宅標準管理規約。H16年1月以前)では、普通決議(特別多数決議でない一般的な決議)においては、「可否同数の場合には、議長の決するところによる」と規定され、議長は、(議長に議決権がある場合その1票を除き)可否同数の場合のみ決裁権(その意思を示すこと)が認められていました。

 なお、管理規約が従来(旧)の標準管理規約から変更されていない場合は、依然としてその時点の管理規約が優先します。ちなみに、標準管理規約では、「理事会」の会議でも議長は理事長が努めることになっていますが、これも議案の内容の軽重にかかわらず「(理事長を含む)出席理事の過半数で決する」とされています(出典:標準管理規約第47条・同コメント)

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大規模修繕工事は「過半数決議」で可能 10/22

 大規模修繕工事の総会決議は、区分所有法の規定を受けて従来は4分の3以上のいわゆる「特別多数決議」が必要でした。これが平成14年の法改正により、形状や効用の著しい変更を伴わない場合は、過半数でよいいわゆる「普通決議」に変更されています。そのため現在では、新築のマンションを始め、ほとんどのマンションの管理規約は、この法改正を受けた標準管理規約に倣(なら)って「普通決議」に改正しているはずです。

 しかし、一部のマンションにあっては、法改正後も大規模修繕工事は「特別多数決議」としたまま規約改正をしていないケースも少なくないと聞きます。このような場合、総会決議の要件は「特別多数決議」でしょうか、それとも「普通決議」でしょうか。
標準管理規約(第71条)には、「管理規約が区分所有法その他の法令の規定に優先する」ことが確認的に記されています。これを素直に理解すれば、大規模修繕工事は「特別多数決議」が要件となるはずです。

 ところが、特別多数決議を要件とすることにより、改正区分所有法の趣旨に反して円滑な実施が困難になり、建物の適正な管理に支障を来すことがあります。また、「同法に基づき大規模修繕を実施するというのが区分所有者の通常の意思であることから、一般的には、改正法施行後は、普通決議で大規模修繕を実施できるものと考えられる(吉田徹氏)」とする解釈が成り立つとされています。しかし、多額の工事金額をかけて修繕工事を行なうことになりますから、管理実務上は、過半数の決議でよしとするのではなく、組合員に丁寧に説明し、少なくとも4分の3以上、出来れば全員の了承を得る努力をすることが大切でしょう。

 いずれにせよ、最高規範としての管理規約の本来的なあり方、組合員間のトラブル防止を考慮すると、大規模修繕工事の前に、あらかじめ管理規約を現行の標準管理規約に合わせて「普通決議」とする内容に改正しておくべきでしょう。また、やはり金額も多額であり、やはり四分の三以上の特別多数決決議が必要とするなら、これについても改めて総会で特別多数決議をもって規約改正(確認)をする必要があるでしょう。(出典:区分所有法17条1項、法務省民事局参事官 吉田徹編著「一問一答改正マンション法」)

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規約違反の見逃しの弊害 10/28

 管理規約違反の放置は「やがて居住環境にいちじるしい変化をもたらす可能性が高く、管理規約の実効性や信頼を損ない、他の規約違反を誘発する可能性」さえあります。
 そうはさせじと某管理組合が、専用部分の用途違反(共同の利益に反する)を理由として訴えを起こしました。ところが裁判所は、「管理規約には違反はしている。しかし、マンション内の(他にも違反が放置されている)使用実態を考慮すれば、使用禁止を請求することは権利の濫用だ」として請求を棄却されたという裁判例があります。

 つまり、日頃から規約に反する不適切な芽を摘んでおかないと、いざという時に伝家の宝刀(管理規約)といえども役に立たないという警鐘でありましょうか(出典:H5東京地裁判事1480号・H17東京地裁判事1205号)

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招集手続きに違反した集会の決議の効力 10/19

 法や管理規約に定めた方法に違反した集会の決議は原則的に「無効」です。しかし、その手続き上の違反が軽微な瑕疵(記載の僅かの不備、招集通知の僅かの漏れなど)であるならば、その責任問題は別途に生じるとしても(ちゃぶ台をひっくり返すように)「すべてを無効」とすることは合理的でなく、法的な安定性からみても適切とはいえません。

 さらに「その決議(軽微な瑕疵ある決議)の時からかなりの期間を経過し、決議を前提にその後の事実関係が積み重なり、さかのぼって決議を無効とすることが管理の安定性を欠くような場合も決議そのものを無効とするべきではない」というのが定説のようです。(出典:「コンメンタール区分所有法」第35条、H7東京高判事929号)

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「一週間前までに」とは 10/18

 総会の招集について、仮に「少なくとも会議を開く日の1週間前までに通知を発しなければならない。」と管理規約に定めてあるとします。

 この「1週間前までに」とは、区分所有法には規定がありませんから、民法にまで遡ります。つまり、通知文の発信日と総会当日との間に「中一週間(まるまる7日間)」をはさむ」ことになります。例えば、総会が「来週の土曜日」であるならば、遅くとも今週の金曜日には発送(到達主義)し、1(土)、2(日)、3(月)、4(火)、5(水)、6(木)、7(金)の7日間を間にはさむ必要があります。もっとも、区分所有者全員の承諾(同意)があれば、この規約の発送期限その他招集手続きに縛られることなく、総会を開催できます(出典:「コンメンタール区分所有法第35条解釈」、民法138〜143条、区分所有法第36条)

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個人情報とプライバシー情報 11/03

 個人情報とプライバシー情報は似て非なるものとして区別されています。 つまり一般に「プライバシー情報」とは、1)個人の私生活上の事実に関する情報、2)まだ社会一般の人が知らない情報、3)一般人なら公開を望まない内容の情報の、これら3条件すべてを満たしたものとされています。

 これに対して個人情報保護法で扱う「個人情報」とは、管理されている個人情報のことです。よって、私生活上の情報か否か、事実か否か、すでに人々が知っている情報か否か、公開を望むか否か、公開によって個人が受ける心理的な負担があるか否かに関係しません。電話帳の掲載氏名がこの個人情報(データ)に該当します。

 わが国の個人情報保護法は、約(つづ)めていえば「個人データ保護法」であり、個人情報のだだ漏れを防ぎながら、一定の制約のもとに正規の流通を促進し、かつ、この法律の執行を通じて間接的にプライバシー情報を保護することを意図したものといわれています。
 仮に、法律上の個人情報取扱事業者(通常規模のマンション管理組合は一般的にこれに該当しない。)に該当する大規模なマンション管理組合(自治会)が、マンション内や地域の被災時向けに「救援すべき独居老人リスト」を作るとします。
 しかし、個人情報の適正な取得や利用目的の通知等のルールを守れば、本人の同意なく各種名簿を作成することは可能とされています。ただし、これを配布するときは本人の同意が必要になります。

 なお、管理組合は、「区分所有者等への平常時における連絡に加え、火事や地震等の自然災害など、緊急時の迅速な対応を行うため、区分所有者全員(非居住者も含む)及び賃借人の名簿、名簿の取扱いに関する規定、ならびに緊急連絡網」を備えることが、管理組合が適正な維持管理を行う上で実施することが望ましい(東京都)」とされています。(出典:日経新聞社刊「これだけは知っておきたい個人情報保護」、HP.消費者庁Q&A、東京都マンション管理ガイド)

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