マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準


T.通則


1.本基準の適用範囲


 本基準は、マンション管理業者による違反行為(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「法」という。)第81条の規定による指示処分、法第82条の規定による業務停止処分及び法第83条の規定による登録取消処分の対象となる行為をいう。以下同じ。)について、法第81条(第4号を除く。)の規定による指示処分、法第82条第1号から第5号までの規定による業務停止処分又は法第83条第3号の規定による登録取消処分をする場合の基準を定める。


2.監督処分の内容の決定


2−1.監督処分内容の決定手続


(1)監督処分は、原則として、当該監督処分をしようとする日前5年間に当該マンション管理業者がした違反行為に対しすることとする。


(2)一の違反行為に対し監督処分をしようとする場合の監督処分の内容は、Uの規定に基づき定めることとする。なお、監督処分の内容が業務停止処分の場合は、2−3の規定による加重の要否を判断して定めることとする。


(3)複数の違反行為に対し一の監督処分をしようとする場合の監督処分の内容(一のマンション管理業者に対し、指示処分及び業務停止処分を同時にする場合を含む。)は、各違反行為に対してUの規定に基づき定めることとする。なお、監督処分の内容が業務停止処分の場合は、2−2の規定による調整を行ったうえ、2−3の規定による加重の要否を判断して定めることとする。


(4)(2)及び(3)の規定により定められた監督処分の内容については、、斟酌すべき特段の事情がある場合に、これを加重又は軽減することを妨げない。


2−2.複数の違反行為に対し一の監督処分をしようとする場合の調整


(1)複数の違反行為に対し一の監督処分をしようとする場合において、Uの規定により業務停止処分とすべき違反行為が複数含まれているときは、これらの違反行為に対する業務停止期間については、次の(1)又は(2)の日数のうち、より短期である日数とする。


(1)Uの規定に基づき定めた各違反行為に対する業務停止期間のうち最も長期であるものに、2分の3を乗じて得た日数(その日数に1日未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。2−3並びにU.1(2)及び(3)において同じ。)


(2)Uの規定に基づき定めた各違反行為に対する業務停止期間を合計して得た日数


(2)(1)の場合において、当該複数の違反行為(直接管理事務に係る違反行為に限る。)が複数の管理組合から委託された管理事務に係るものであるときにおける(1)(1)の規定の適用については、同規定中「2分の3」とあるのは「2」とする。


2−3.違反行為を重ねて行った場合の加重


 法第82条の規定による業務停止処分をしようとする場合において、当該処分の対象である違反行為のあった日(複数の違反行為に対し一の監督処分をしようとする場合にあっては、当該複数の違反行為のうち最も早期に発生した違反行為のあった日)前5年間に、当該マンション管理業者が法第81条の規定による指示処分又は法第82条の規定による業務停止処分を受けていたときは、業務停止期間について、Uの規定に基づき定めた日数(2−2の規定による業務停止期間の調整が行われたときは、当該調整後の期間)に2分の3を乗じて得た日数に加重することとする。


3.監督処分の方法


3−1.地域を限定した業務停止処分


 法第82条の規定による業務停止処分をしようとする場合において、当該違反行為が一の事務所のみにおいて行われたものであり、当該違反行為があった時点において、当該マンション管理業者の役員(法第30条第1項第6号に規定する役員をいう。)が、当該違反行為の存在を知らず、かつ、知らなかったことについてその責めに帰すべき理由がないことが明らかであるときは、当該違反行為により管理組合に重大な損害が発生し、又は発生するおそれが大であるとき、当該違反行為による社会的影響が大であるときその他地域を限定して業務停止処分をすることが不適切と認められる事情があるときを除き、以下の業務のみの停止を命ずることができる。


(1)当該違反行為を行った事務所の業務


(2)当該事務所の所在地を管轄する地方整備局、北海道開発局又は沖縄総合事務局の管轄する区域における当該マンション管理業者の業務


(3)当該事務所の所在地を管轄する地方整備局、北海道開発局又は沖縄総合事務局管内に存するマンション(法第2条第1号のマンションをいう。)に係る業務


3−2.指示処分及び業務停止処分を一の監督処分によりしようとする場合の取扱い


 法第81条の規定による指示処分及び法第82条の規定による業務停止処分を一の監督処分によりしようとする場合には、当該指示処分に係る指示書及び当該業務停止処分に係る業務停止命令書の双方を交付することとする。


3−3.業務停止処分をする場合における業務停止命令書及び勧告書の交付


(1)法第82条の規定による業務停止処分をする場合には、業務停止命令書を交付するとともに、行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第6号に規定する行政指導として、マンション管理業の適正な運営の確保及び違反行為の再発防止を目的として、勧告書を交付することとする。


(2)(1)の勧告書に記載するものは、当該監督処分時に管理受託契約を締結している管理組合の管理者等(監督処分を受けたマンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の全員)及び業務上の関係者に対し、次に掲げる事項について、速やかに通知すべき旨を含むものとする。


(1)業務停止処分を受けた年月日


(2)業務停止処分を受けた旨


(3)業務停止処分の内容


(4)業務停止処分の理由


3−4.業務停止を開始すべき時期


 法第82条の規定による業務停止処分をしようとする場合には、直ちに業務を停止させなければ管理受託契約に基づく管理事務について、これを不適正に執行するおそれが大であるとき、その他直ちに業務を停止させることが必要な特段の事情がある場合を除き、原則として、業務停止命令書の交付の日から起算して2週間を経過した日を、業務停止の開始日として指定することとする。ただし、管理組合との連絡調整その他のマンション管理業者による業務停止に向けた準備行為に2週間以上要すると見込まれる場合には、業務停止命令書の交付日から業務停止の開始日までの期間について、2週間以上とすることを妨げない。


3−5.指示処分をした後における調査等


 法第81条の規定による指示処分をした場合には、指示書に記載された内容に関するマンション管理業者の実施状況の調査その他の所要の措置を講ずることとする。


4.業務停止期間中において禁止される行為及び許容される行為


(1)法第82条の規定による業務停止処分を受けたマンション管理業者は、業務停止期間中において、業務停止の開始日前に締結された管理受託契約に基づく管理事務を執行する行為を除き、マンション管理業に関する行為はできないこととする。


(2)(1)の規定に基づき、業務停止期間中において禁止される行為及び許容される行為を例示すると、以下のとおりとなる。


(1)禁止される行為


イ 広告(広告媒体の種類にかかわらず、新たな管理受託契約の申込を誘引することを目的として、当該マンション管理業者が提供しようとする役務の内容等を表示しているものに限る)


ロ 新たな管理受託契約の締結((2)イの規定による更新を除く。以下同じ。)を目的として、マンションの分譲業者及び販売業者に対して、分譲後の管理受託契約を約する行為


ハ 新たな管理受託契約の締結を目的とする業務(照会の方法にかかわらず、照会に対する対応及び来客対応、マンションの区分所有者等又はマンションの購入者(購入予定者を含む。以下同じ。)に対して、分譲後の管理受託契約を約する行為を含む。)及び法第72条第1項の規定による重要事項説明等


ニ 新たな管理受託契約の締結


ホ 管理受託契約の更新((2)イに該当するものを除く。)


(2)許容される行為


イ 業務停止の開始日前に締結された管理受託契約の同一の条件による更新


ロ 業務停止の開始日前に締結された管理受託契約に基づく管理事務(イの規定により同一の条件で更新された管理受託契約に基づくものを含む。)


ハ 業務停止の開始日前に締結された停止条件付き契約(一の管理組合の構成員全員(マンションの区分所有者等又はマンションの購入者)に対して、分譲後の管理受託契約を約するものに限る。)が業務停止期間中に効力発生した場合における、当該管理受託契約に基づく管理事務


(3)業務停止処分を受けたマンション管理業者が、業務停止の開始日前に締結された管理受託契約に基づく管理事務について、これを不適正に執行するおそれが大である場合には(2)(2)イ、ロ及びハの行為を禁止することができる。


5.監督処分の内容の公表


 本基準に基づく監督処分を含め、法第81条の規定による指示処分及び法第82条の規定による業務停止処分並びに法第83条の規定による登録取消処分をしたときは、次に掲げる事項について、ホームページへの掲載により公表することとする。


(1)当該処分をした日


(2)当該処分を受けたマンション管理業者の商号又は名称、主たる事務所の所在地、代表者の氏名、登録番号


(3)当該処分の内容


(4)当該処分の理由



U.各違反行為に対する監督処分


1.マンションの管理の適正化の推進に関する法律の規定に違反する行為に対する監督処分


(1)マンション管理業者が、マンションの管理の適正化の推進に関する法律の規定に違反する行為(以下「本法違反行為」という。)をした場合には、法第81条本文の規定による指示処分、又は法第82条第2号の規定による業務停止処分をすることとする。この場合において、監督処分内容については、別表に定めるところによることを基本とし、必要に応じ(2)の規定による加重又は(3)の規定による軽減をして、定めることとする。


(2)本法違反行為が、以下に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、別表において指示処分、又は15日以内の業務停止処分とすべき違反行為にあっては30日の業務停止処分に、30日以上の業務停止処分をすべき違反行為にあってはその業務停止期間を2分の3を乗じて得た日数に加重することができる。


(1)当該本法違反行為の態様が、詐欺的である等、悪質である場合


(2)故意により、虚偽の書面の記載又は説明をした場合


(3)当該本法違反行為による違反状態が長期にわたっている場合


(4)当該本法違反行為が及ぼす社会的影響が大きい場合


(3)本法違反行為が、(2)に掲げる加重事由のいずれかに該当した場合において、以下に掲げる事由の双方に該当する場合には、(2)の規定による加重措置を適用しないこととすることができる。また、(2)に掲げる加重事由のいずれにも該当しない場合において、以下に掲げる事由の双方に該当する場合には、別表において30日以内の業務停止処分とすべき違反行為にあっては指示処分に、60日以上の業務停止処分をすべき違反行為にあってはその業務停止期間を3分の2を乗じて得た日数に軽減することができる。ただし、営業を目的とした名義貸し(法第54条)及び管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務の一括再委託(法第74条)については、この軽減措置を適用することができない。


(1)監督処分権者が当該本法違反行為の存在を覚知するまで、又は監督処分権者の指摘に応じ、直ちに、当該マンション管理業者が違反状態を是正した場合


(2)当該マンション管理業者の対応が誠実であると認められる場合


2.本法違反行為以外の行為に対する監督処分


(1)マンション管理業者が、業務に関し、管理組合若しくはマンションの区分所有者等に損害を与え、若しくは損害を与えるおそれが大である行為、又は業務の公正を害し、若しくは害するおそれが大である行為をした場合には、原則として、法第81条第1号又は第2号の規定により、指示処分をすることとする。


(2)マンション管理業者が、業務に関し他の法令に違反する行為をした場合には、原則として、法第81条第3号の規定により、指示処分をすることとする。


(3)マンション管理業者が、マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為(以下「不正等行為」という。)をしたときは、法第82条第5号の規定により、業務停止処分をすることとする。この場合において、監督処分の内容については、30日の業務停止処分を基本とし、必要に応じ、(4)の規定による加重又は(5)の規定に、よる軽減をして定めることとする。


(4)不正等行為が、以下に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、業務停止期間について、その損害の程度又は態様に応じて加重することができる。ただし、原則として、加重後の日数は、45日以上90日以下とするものとする。


(1)当該不正等行為により発生した管理組合の財産に係る損害の程度が、特に大きい場合


(2)当該不正等行為の態様が、暴力的行為又は詐欺的行為による等、特に悪質な場合であって、管理組合の財産に係る損害が発生した場合


(5)不正等行為が(4)に掲げる加重事由のいずれかに該当した場合において、以下に掲げる事由の双方に該当する場合には、業務停止期間について、(4)の規定による加重後の日数に4分の3を乗じて得た日数に軽減することができる。また、(4)に掲げる加重事由のいずれにも該当しない場合において、以下に掲げる事由の双方に該当する場合には、20日の業務停止処分とすることができる。ただし、当該不正等行為が、当該マンション管理業者の役員により行われた行為であると認められる場合については、この軽減措置を適用することができない。


(1)監督処分権者が当該不正等行為の存在を覚知するまで、又は監督処分権者の指摘に応じ、直ちに、当該マンション管理業者が是正措置を講じた場合(管理組合の損害の補填に関する取組を開始した場合を含む。)


(2)当該不正等行為による管理組合との紛争が発生していない場合、又は当該不正等行為による紛争は発生したが、当該マンション管理業者による対応が誠実であると認められる場合


3.指示処分に従わない場合等における監督処分


(1)マンション管理業者が、法第81条の規定による指示の内容に従わなかった場合には、法第82条第3号の規定により、15日の業務停止処分をすることとする。


(2)マンション管理業者が、次のいずれかに該当する違反行為をした場合には、法第82条第4号の規定により、15日の業務停止処分をすることとする。


(1)法第85条の規定による報告提出命令に対し、報告をせず、又は虚偽の報告をした場合


(2)法第86条第1項の規定による立入り、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした場合


4.特に情状の重い違反行為等に対する監督処分


 マンション管理業者が、次のいずれかに該当する違反行為をした場合には、法第83条第3号の規定により、登録取消処分をすることとする。


(1)U.1から3までの規定により業務停止処分の対象となる違反行為であって、当該違反行為の情状が特に重い場合


(2)業務停止期間中に、T.4の規定により禁止される行為をした場合



V. 施行期日等


(1)この基準は、平成18年12月19日から施行する。


(2)違反行為の軽重及び態様、違反行為後のマンション管理業者の措置状況等を総合的に勘案したうえで、監督処分に至らない違反行為については、行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第6号に規定する行政指導として、必要な指導、勧告、助言その他の行為をすることとする。




(別表)本法違反行為に対する基本の監督処分内容




マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準
国土交通省HP(PDFファイル)





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