管理費収入合計の確認点


1.「収入の部合計」に、「前期繰越収支差額」が含まれている場合は、ちょっと用心して下さい。
「前期繰越収支差額」が当期の収入でしょうか?

 企業会計に詳しい方は、期間損益の重要性を理解している事でしょう。
 マンション管理組合の会計にも期間損益という考えは重要です。当期の収入に対して、当期の支出がいくらであったか?つまり、当期の収支がどうであったか?が重要です。

 しかし、「収入の部合計」に「前期繰越収支差額」を含んで表示していると、簿記・会計になじみの無い方が「管理費収入」を過大に認識してしまう危険性が大きくなります。
 「収入の部合計」に「前期繰越収支差額」を含んで表示するのは誤解の元となりますので、望ましい姿ではありません。


「収入の部合計」に「前期繰越収支差額」を含む表1

勘定科目 第1期 第2期 第3期 第4期 第5期
収入の部
 
 当期収入合計
 
前期繰越収支差額
 
収入の部合計
 
 
 
6,862,000
 
0
 
6,862,000
 
 
 
6,862,000
 
1,000,000
 
7,862,000
 
 
 
6,862,000
 
1,500,000
 
8,462,000
 
 
 
6,862,000
 
1,500,000
 
8,462,000
 
 
 
6,862,000
 
1,000,000
 
8,262,000
 
 
 当期支出合計
 
 
5,862,000
 
 
6,362,000
 
 
6,862,000
 
 
7,362,000
 
 
7,362,000
 
 
当期収支差額
 
次期繰越収支差額
 
 
1,000,000
 
1,000,000
 
 
1,500,000
 
1,500,000
 
 
1,500,000
 
1,500,000
 
 
1,000,000
 
1,000,000
 
 
500,000
 
500,000
 

 上記の表を単純に見ると、第5期の「当期収支差額」が500,000円あるので、収支に対する危機感を持つ方は少ないのではないでしょうか?

 しかし、第6期以降を見ると、
第5期時点で、いかに危機的収支状況であったかわかります。

「収入の部合計」に「前期繰越収支差額」を含む表2

勘定科目 第6期 第7期 第8期 第9期 第10期
収入の部
 
 当期収入合計
 
前期繰越収支差額
 
収入の部合計
 
 
 
6,862,000
 
500,000
 
7,362,000
 
 
 
6,862,000
 
0
 
6,862,000
 
 
 
6,862,000
 
▲500,000
 
6,362,000
 
 
 
6,862,000
 
▲1,000,000
 
5,862,000
 
 
 
6,862,000
 
▲1,500,000
 
5,362,000
 
 
 当期支出合計
 
 
7,362,000
 
 
7,362,000
 
 
7,362,000
 
 
7,362,000
 
 
7,362,000
 
 
当期収支差額
 
次期繰越収支差額
 
 
0
 
0
 
 
▲500,000
 
▲500,000
 
 
▲1,000,000
 
▲1,000,000
 
 
▲1,500,000
 
▲1,500,000
 
 
▲2,000,000
 
▲2,000,000
 

 第7期には赤字に転落しています。
 上記表では、便宜上マイナス収支で表示していますが、現実には、第7期から管理費徴収額の値上げ、または一時金徴収が行われるでしょう。


 会計原則に『明瞭性の原則』というものがあります。
 「会計書類は、区分所有者などの利害関係者に、収支及び財務状況を明瞭に表示したものとする。」というのが『明瞭性の原則』です。

 収支及び財務状況を明瞭に表示する為には、「当期収入合計」と「当期支出合計」を比較した、真の「当期収支差額」を表示した決算書が望まれます。


真の「当期収支差額」表

勘定科目 第1期 第2期 第3期 第4期 第5期
収入の部
 
 当期収入合計
 
 
 
6,862,000
 
 
 
6,862,000
 
 
 
6,862,000
 
 
 
6,862,000
 
 
 
6,862,000
 
 
 当期支出合計
 
 
5,862,000
 
 
6,362,000
 
 
6,862,000
 
 
7,362,000
 
 
7,362,000
 
 
当期収支差額
 
前期繰越収支差額
 
次期繰越収支差額
 
 
1,000,000
 
0
 
1,000,000
 
 
500,000
 
1,000,000
 
1,500,000
 
 
0
 
1,500,000
 
1,500,000
 
 
▲500,000
 
1,500,000
 
1,000,000
 
 
▲500,000
 
1,000,000
 
500,000
 

 上記、真の「当期収支差額」表を見ると、第4期から「当期収支差額」が赤字になったことが誰の目にも一目瞭然で判り易いでしょう?

 勿論、赤字の原因は支出の増加ですが、「収入の部合計」に「前期繰越収支差額」を含む表の場合、第7期になって初めて気付く赤字状態を、いち早く第4期時点で気付く事が出来れば、早期にその対応(収支改善、支出削減など)に取り組むことにもつながります。

 「前期繰越収支差額」は収入としないで、収支計算外の繰越金として扱うほうが、簿記・会計になじみのない組合員の方にも(誰にでも)判り易い決算書と言えるでしょう。
(会計原則の『明瞭性の原則』の精神にもかなうものです。)





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