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長 期 修 繕 計 画 の 作 成 北海道マンションネット 一級建築士 細川 國雄 1.長期修繕計画は何故策定しなければならないか 国土交通省の調査によれば長期修繕計画を作成しているマンションは80.5%であるが、分譲後間もない「平成7年以降完成したマンション」では70%台と作成率が低くなっている。しかしながら、長期修繕計画作成については、92.9%の区分所有者が「作成しておく必要がある」と認識しており、関心が高いことを示している。 マンションネットホームページ→マンション管理セミナー→平成16年10月23日第5回マンションの大規模修繕と改修工事→四基調報告→長期修繕計画と財政徴収計画の策定(参照) 2.建物の各部位の修繕周期 マンションを構成する建築、設備、外構の各部分の耐用年数を考慮した実際的な修繕周期と内容を下記に掲げるが、実際には、各マンション毎に調査診断の上、そのマンション固有の修繕周期を定めることが必要である。 ● 屋上防水:12〜18年 屋根の防水層の劣化・漏水事故発生に対し、防水層を全面的計画的に修繕する工事である。既設防水層に被せる工法が一般的に行われている。露出防水は、保護塗装(トップコート)を数年毎に塗り替えることにより、耐用年数を延ばすことができる。 ● 外壁塗装:10〜15年 外壁、共用階段、共用廊下、バルコニー等のコンクリート壁、手摺壁、天井などの改修、塗替え等を全面的、計画的に行う工事である。高圧洗浄で旧塗膜材やタイル面をケレンし、洗浄し、ひび割れ補修、鉄筋露出部補修、欠損補修、タイル補修等を行い、塗装を塗り替える。 ● バルコニー防水:10〜15年 バルコニー、屋外階段、庇、梁型天端などのコンクリート直仕上部、モルタル防水部を改修する。コンクリート下地をケレンし、補修し、防水を施す。(近年はウレタン塗膜防水が多く採用されている)通常、外壁塗装工事と同時期に行う。(足場などがある関係上) ● シーリング改修工事:10〜15年 サッシ廻り、コンクリート打継目地、プレキャスト板目地、金物埋込み部、スリーブ廻り、庇等入隅部等の既存シーリングを打ち替える。材質により耐用年数が異なるが、通常、外壁工事と同時期に行う。(足場などがある関係上) ● 鉄部塗装:4〜6年 鋼製の手摺、面格子、柵、扉、物干金物、避難ハッチ、竪樋、ポール、外構工作物などの腐食、発錆、欠損した部分を補修し、研磨し、防食塗装をする。定期的、計画的に実施する工事である。 ● 金物改修工事:使用頻度による 集合郵便受け、掲示板、階段ノンスリップ、竪樋支持金物、スリーブキャップ、セルフード、換気口、屋上ハッチ、タラップ、建具丁番、サッシ戸車、レールなどを計画的に修繕し、又は取り替える。 ● アルミ部改修工事:24〜36年 アルミ製サッシ、手摺、面格子、扉など共用部を計画的に取り替える。 ● 舗装改修工事:24〜36年 駐車場、駐輪場、道路、歩道、広場の舗装、縁石、L型街渠、側溝などを広範囲に、又は計画的に全面的に改修する。アスファルトオーバーレイなどの表面保護及び補修工事は、12〜18年周期で行う。 ● 外構工作物改修工事:24〜36年 遊具、自転車オートバイ置場上屋、柵、ガードレール、掲示板、案内板、サイン、シンボルなどを定期的又は計画的に改修し、又は取り替える。塗装工事は、4〜6年周期で行う。 ● 屋外排水設備改修工事:不具合状況による 建物廻りから公設桝までの雨水排水管及び桝を改修し、又は取り替える。 ● 給水設備取替工事:18〜24年 屋外給水管・屋内給水管、受水槽、高置水槽、揚水ポンプ、止水弁・逆止弁等の取替え、給水管が、硬質塩化ビニール管、塩ビライニング管及び防食継手の場合は最長32年ぐらい、ステンレス管の場合は30年以上、水中ポンプについては12年程度、また、配管の外部側は20年程度で腐食する。 ● 消火設備取替工事:18〜24年 消火用配管、消火水槽、呼水槽、消火ポンプ、止水弁・逆止弁・テスト弁・連結送水口、消火栓箱の取替え ● 雑排水設備取替工事:18〜24年 屋内雑排水管、屋外雑排水管、排水ポンプ、排水桝の点検、清掃及び取替え、排水管が硬質塩化ビニール管又は耐食鋼管、等の場合は最長32年ぐらい(台所系排水管は、洗面所系排水管に比べ傷みが早い。)水中排水ポンプについては10年程度、床下など隠蔽部の配管は共用部分に規約改正が望ましい。 ● 汚水設備取替工事:24〜36年 屋内汚水管、屋外汚水管、汚水ポンプ、汚水桝の取替え、水中汚水ポンプについては8年程度 ● ガス設備取替工事:12〜36年 屋外ガス管・屋内ガス管、弁類の取替え、埋設ガス管については、白ガス管の場合、土壌によって異なるが、12〜24年程度で取替えが必要、非水掛り部のガス管は30年以上 ● 電灯・電力幹線・開閉器盤取替工事:24〜32年 電灯・電力幹線ケーブル、引込開閉器盤の取替え ● 照明器具・配線盤取替工事:12〜32年 階段室、共用廊下、玄関ホールなどの共用灯、屋外灯などの照明器具、自動点滅装置及びスイッチ類の取替え、照明器具については12〜18年周期、共同分電盤・照明器具については24〜32年周期で取替え ● 電話設備取替工事:30年程度 電話端子盤、MDF盤、配線等の取替え ● テレビ共聴設備取替工事:12〜32年 テレビ共聴アンテナ、増幅器盤、分岐・分配器盤、同軸ケーブル等の取替え、アンテナについては8〜12年周期、同軸ケーブルについては24〜32年周期、増幅器等については12〜18年周期で取替え ● 自動火災報知設備取替工事:12〜32年 受信器、配線、発信機、住戸内感知器等の自動火災報知設備の取替え、受信器配線については24〜32年周期、感知器については12〜24年周期で取替え ● 避雷針設備取替工事:24〜32年 接地抵抗試験箱、避雷突針、避雷針ポール、導線、接地銅板の取替え ● エレベーター設備取替工事:24〜32年 ロープ、モーター、カゴ、扉などの取替えはメンテナンス契約(フルメンテナンスかどうか)により異る 3.長期修繕計画の作成 長期修繕計画の作成には、建築、外構や各種設備、修繕のための資金運用に到るまで専門的な知識が必要であり、実際の作成に当たっては、管理会社や設計事務所に依頼するケースが多くなっている。ただし、計画作成の主体は、あくまでも管理組合であり、打合せを密にして管理組合の意見や要望が反映された計画となるようにすべきである。 (1)計画対象 @ 躯体:コンクリート部(柱、梁、壁、スラブ等) A 仕上:屋根、壁、床及び天井の仕上げ、手摺、サッシ、付属物等 B 設備:給水、排水、ガス、換気、冷暖房、電気、通信、情報、消防等 C 外構:舗装、擁壁、囲障、構築物、付属物、植栽、駐車場等屋外環境 (2)計画年数(期間) (3)作成手順 @ 現況調査診断(当初竣工図、修繕記録、現地調査) A 修繕項目設定、修繕時期(周期)設定 B 修繕周期表作成 C 工事費算定(各項目について、修繕時期ごとの修繕費) D 長期修繕計画書作成(周期表に工事費を入れる) E 長期修繕計画グラフ作成(Dのグラフ、年度棒グラフ、累計折線グラフ) ここで算出された必要平均戸当たり修繕費(円/月・戸)に基づき、修繕積立金の検討を行う。 (4)作成のポイント @ 建物全体の寿命(耐用性)の推定及び設定を行うこと。 A 建物各部の耐久性及び耐用性の目標を明確にしておくこと B グレードアップ、性能アップ、改良、改善をどの程度考慮するかを明確にしておくこと C 専有部分、一部共用部分及び全体共用部分の区分を明確にしておくこと D 調査診断、改修設計、工事監理等のコンサルタント費用も計上しておくこと (5)活用上の留意点 @ 数年ごとに工事項目、周期及び金額を見直し、改訂を行うこと A 精度(項目、金額)は、高いほどよいが、大規模修繕工事の実施前には、実態に即した診断、設計及び見積が必要であること (財)マンション管理センター発行「マンション管理の知識」より抜粋 2回目は具体的な事例を行いたいと思います。 |