ロードヒーティングボイラーの効率的稼動による
            灯油代の削減 並びに 温暖化の抑制


その1

Rマンション   丹 内 道 夫


 当マンションは、平成14年12月上旬に入居開始した、ロジェ・T分譲会社の販売物件で当初の管理会社はM△△でしたが2年後に契約を解除し、管理会社を変更し現在に至っています。


 マンションは、ロードヒーティングにより煩わしい除雪が不要との思いで購入した方が多いかと思いますが、必要以上に灯油を浪費し、管理費を「多額に食潰している無駄」に気づかれたことがありましたでしょうか。
 入居開始してから1年目の管理組合は特に注意が必要です。ロードヒーティングは非常に優れものと思える反面、自動稼動により昼夜・降雪に関係なく「晴天」、「雨天」でも自動的に運転が繰り返されます。
 また、ボイラーの灯油消費は自動稼動とともに「温度設定」により大きく左右されます。現状の管理組合は、分譲会社又はゼネコンから引渡された「高温度設定」のままで、ボイラー稼動させているのが通例です。管理組合が無駄に気づいた時は、膨大な灯油代の出費になっていますので大いに注意が必要です。


 当方のマンションは、ロードヒーティングボイラーが昼・夜フル自動稼動にセットされていたため常時運転していました。これは、全自動融雪リモコンを自動運転にONセットしていたためでした。これにより、入居開始の12月7日から約1ヶ月程度の間に、灯油10,000g程度を消費(灯油代39万円)していました。これは、「地温温度」と「外気温度」が高めに設定されていたことにより、短時間サイクルでボイラー運転が繰り返されたことが原因でありました。
 管理会社(管理員)は、全自動融雪リモコンをONにして自動運転にしておくと、まったく気使うことなく手間いらずにボイラーを稼動させることができますが、この自動運転に大きな落とし穴がありました。
 いつも、「通路」や「駐車場」が晴天・曇りの天候時にパンパンに乾かされており、おまけに湯気までも立ち上がっていた現状の連続でした。このような状況でも、管理員は疑問も持たずほったらかしでありました。


 また、降雪センサーは降雪に反応してボイラーが稼動すると理解されていることと思いますが、降雪に反応するのではなく「水分」に反応して稼動しているとのことです。したがって、雨が降り続けている間ボイラーは運転し続けていたのでした。ようするに、無駄な「灯油の垂れ流し」と「二酸化ガス」の排出でした。管理会社は率先して、効率的なボイラー運転をしてくれるものと思っていましたが、全く期待できないと痛感いたしました。当初の管理会社(管理員)は、特段の手立てもせず入居者に問われるまで放置したままでした。したがって、ものすごい勢いで灯油が消費した原因でありました。


 第3期(平成16年12月1日)から、現在の管理会社に変更し本格的に「管理組合」と「管理員」の二人三脚で効率的稼動に取り組んできました。ボイラーの運転・停止はインターネットを利用し、3時間毎の天気予報を参考にして、「晴天」・「曇り」・「雨天」及び「少々の降雪時」は、昼・夜を問わず基本的にボイラーを停止させてきました。灯油の無駄な浪費の防止は、「経費削減」はもとより「温暖化抑制対策」の一環になると考えています。当マンションは、ボイラーの効率的稼動を本格的に取り組んで着実に経費削減の成果をあげてきました。また、ボイラーの効率稼動は余分な運転を少なくするので、ボイラーの劣化・磨耗の減少を図ることもできます。


1 ロードヒーティングの設備状況

1)管理人室に全自動融雪リモコンの設置。
2)管理人室の分電盤にボイラーの電源接続。
3)屋外に融雪専用ボイラー2台(1台にボイラー3基格納で計6基) 設置。
4)降雪を感知する降雪センサーは融雪用ボイラーに接続設置。
5)融雪場所は6面(システムパイプ埋設)で、1基のボイラーで駐車場等の各1面を融雪。


全自動融雪リモコン

管理人室に設置の全自動融雪リモコンのスイッチを"ポン"と押すだけで、各センサーの全自動システムがスタートします。外気温度やボイラーの運転状況等がひと目でわかり、ボタン操作も簡単で、手動(強制)運転もOKとなっています。

全自動融雪リモコン

融雪専用ボイラー

敷地に2台設置されていて、1台のボイラーが3基格納されていています。計6基のボイラーで駐車場と通路の6面を融雪しています。温度設定は全自動融雪リモコンでボイラー毎に設定できますので、効率的な融雪が可能です。

融雪専用ボイラー

降雪センサー

融雪専用ボイラーに接続されていて、降雪状態になるとセンサーがすばやく感知し、アイドリング(予熱運転)中のヒータが降雪運転に切り替わり、融雪をスタートさせます。外気温度センサーと連動し、確実に降雪を判断します。ただし、雨天でも降雪と判断し運転しますので要注意です。

降雪センサー

システムパイプ

路盤にシステムパイプ(放熱管)が6面に埋設されています。パイプの中は不凍液が循環しており熱を伝え融雪します。しかし、4トン以上の車両等の進入はパイプを潰し破損させますので要注意です。また、乗用車以外で極力重量のある車輌等の進入並びにタイヤ交換でのジャッキのじか置きには注意した方が良いと考えます。

システムパイプ

独自の技術戻り水温度センサー

循環ポンプによりパイプ内を循環している不凍液が、融雪面を一巡してボイラーに戻ったときの水温を感知、戻り水温が設定温度まで上がるとボイラーの燃焼を一時中断し、燃料の節約を行います。(リモコンで設定温度を調節できます。)燃焼のムダが少なくなるため経済的です。

独自の技術戻り水温度センサー



2 融雪の手順

分電盤の電源スイッチON  →  屋外融雪専用ボイラーの電源各スイッチON  →  全自動融雪リモコン(自動/手動)を自動にONセット  →  融雪リモコンのスイッチを都度ON/OFFにセット。


3 ボイラー自動稼動の特徴点

1)メリット

〇 ボイラー運転時の監視は常駐不要です。

〇 手間いらずに自動運転するので路面は24時間融雪されます。

〇 降雪を融雪する温度を保ち常時待機しています。

2)デメリット

〇 晴天・曇り天候で路面が乾いていても外気温度・地温温度が設定温度より下がると自動的に運転します。

〇 ボイラーを運転不要の雨天の場合でも稼動します。

〇 雪の小降りが続く時やミゾレの時は「戻り水温設定温度」までダラダラ長時間運転する恐れがあります。


4 効率的なボイラー運転の取組み

1)効率的な温度設定とします。

ロードヒーティングでの融雪場所の「陽あたり」、「外気温度」及び「地温温度」の違いの調査・確認に基づき適正な設定温度とします。

ロードヒーティングボイラー温度設定表

ボイラー不具合是正の都度、設定温度の見直し現温度設定に至っています。

( 西 側 ) ( 東 側 )
ボイラー 1番 2番 3番
降雪地温 25度 25度 25度
通常地温 6 度 6 度 6 度
降雪外気温 3 度 3 度 3 度
通常外気温 0 度 0 度 0 度
 
ボイラー 1番 2番 3番
降雪地温 25度 25度 25度
通常地温 6 度 8 度 6 度
降雪外気温 3 度 3 度 3 度
通常外気温 0 度 0 度 0 度


2)天候に合わせボイラーの運転・停止をします。

イ 深夜・早朝の降雪が心配であれば、22時頃に全自動融雪リモコンをON(自動運転)にセットします。
 しかし、夜間から早朝にかけて降雪の恐れがなければ夜通しボイラー運転は停止とします。

ロ 深夜・早朝にボイラーを停止したことによって、朝方に5〜6cm程度の降雪があった場合は、割り切ってボイラー停止を継続して日照で融雪します。(11月中に組合員に周知して理解していただく。)

ハ 降雪の恐れから、前夜から自動運転としていた場合、朝方(6時頃)に天気状況を確認し、晴天等で降雪の恐れがなければ、全自動融雪リモコンをOFFとしてボイラーを停止とします。

二 路面が乾いている場合は、少々の降雪予想であればボイラーは停止のままとします。

ホ ボイラー停止中に、積雪の恐れがある場合は「降雪予定の1〜2時間前」くらいに全自動融雪リモコンをONとします。(路面を暖めておかなければ降雪時に融雪が追いつかず積雪の恐れがあります。)

へ ミゾレの場合は、外気温度が高く自然融雪を望めるのでボイラーは停止したままとします。

ト 雨天時は、降雪の恐れがないのでボイラーは停止とします。


5 管理人との連携

1)管理人の駐在時で晴天・雨天の場合はボイラー運転を停止とします。

2)管理人の勤務終了時の12時頃で、午後に晴天等が見込まれている場合はボイラー停止を継続して帰ります。
しかし、天気予報で降雪の恐れがある場合は全自動融雪リモコンをONとして帰ります。

3)管理人の勤務状況

12月1日から3月10日までの期間(火・木曜日は冬期間のみ除雪契約として追加契約)

月曜日  8時 〜  12時まで  管理委託業務
火曜日 8時 〜 12時まで 除雪委託業務(駐車場・通路出入り口等の除雪、ボイラー監視等)
水曜日  8時 〜  12時まで  管理委託業務
木曜日 8時 〜 12時まで 除雪委託業務(駐車場・通路出入り口等の除雪、ボイラー監視等)
金曜日  8時 〜  12時まで  管理委託業務


6 ボイラーの効率運転による灯油消費量及び実績額について

当マンションの灯油消費量の目安は、メーカー説明でボイラー1基・1時間で4.3gとのことです
ボイラーは、6基設置なので1時間当たり25.8g(4.3g×6基)の消費量となります。
したがって、灯油の消費量はボイラーの運転回数によることがポイントとなります。
当マンションの効率運転による灯油消費量並びに支出実績額等は次のとおりです。

期  間 灯油消費量 灯油単価 支 出 額 適          用
1 期 14.12.7

15.3.10
22,800g 38,14円
(税込み)
869,600円 分譲会社計画の当初予算額は105万円。
1月中旬に分譲会社が設定温度の見直し行う。
22,800g÷94日= 242g( 1日の消費量 )
242g÷ 25,8g= 1日平均 9.4回の運転
24時間÷9.4回=2.55時間に1回運転
( 1時間運転・1時間33分休止のサイクル)
2 期 15.12.1

16.3.10
14,050g 38,23円
(税込み)
538,100円 ボイラー不具合是正の実施。
再度、設定温度の見直し実施。
14,050g÷ 100日 = 141g(1日の消費量)
141g÷ 25,8g= 1日平均 5.5回の運転
24時間÷5.5回=4.36時間に1回運転
(1時間運転・3時間22分休止のサイクル)
3 期 16.12.1

17.3.10
13,900g 46,81円
(税込み)
651,000円 前年対比 35%増の降雪量。
更に、単価は前年より22.44%増。
ボイラー不具合再是正時に設定温度見直し。
13,900g÷ 100日 = 139g(1日の消費量)
139g÷ 25,8g= 1日平均 5.4回の運転
24時間÷5.4回=4,44時間に1回運転
(1時間運転・3時間26分休止のサイクル)
4 期 17.12.1

18.3.10
11,240g 66,20円
(税込み)
744,000円 長時間ダラダラとした降雪が多く、ボイラー
その間運転し続けた。
更に、単価は前年より41.42%増。
11,240g÷ 100日 = 112g(1日の消費量)
112g÷ 25,8g= 1日平均 4.3回の運転
24時間÷4.3回 =5,58時間に1回運転
(1時間運転・4時間35分休止のサイクル)
5 期 18.12.1

19.3.10
10,350g 64,28円
(税込み)
665,000円 全自動融雪リモコンと融雪専用ボイラー間
の地下配線腐食不具合是正の実施。
10,350g÷ 100日 = 104g(1日の消費量)
104g÷ 25,8g= 1日平均 4.03回の運転
24時間÷4.03回=5.96 時間に1回運転
(1時間運転・5時間休止のサイクル)

* 各管理組合がロードヒーティング効率的稼動の取組みにより、灯油消費量はマンション入居当初(第1期)に比較して確実に半減以下になると考えられます。


7 停電後の対応

 停電復旧した場合は、自動的に全自動融雪リモコンの電源は復旧しますが、融雪専用ボイラーの電源は復旧せず停止になっている場合があります。 (当マンションは手動復旧しなければなりません。)
 手動で復旧しないで放置しておいて大雪になった場合、ボイラーは停止状態なので大変な状況になります。 停電後は、必ず融雪専用ボイラーの電源を手動でONセットにしてください。


8 灯油の無駄消費による問題

 札幌近郊で年間約100棟程のマンションが建設されています。それらのマンションの総ては、ロードヒーティング設備が完備されていますので、灯油消費量は年々膨大に増加している傾向にあります。
 現在のロードヒーティング自動運転による消費量を考えた場合、100棟のマンションで1棟当たり平均20,000gの灯油を消費したとしたら、札幌近郊で2,000,000gの膨大な消費増になることになります。このことが、さらに温暖化-に拍車をかる要因の一つになっていると言っても過言ではありません。
 これを抑制する一つとして、ロードヒーティングの効率的稼動の取り組みで半減できるとしたら、大きな社会貢献になるとも考えられますし、無駄な灯油経費削減も可能となる重要な取組み課題だと考えます。


9 参考事例

 50戸のマンションで、8基のボイラーが設置されていた場合の灯油消費量の計算参考例。

<一般的なボイラー稼動による支出見込み額>
  1時間の消費量 4.3 g × 8基(8面) = 34,4g
  1日の消費量 2.5時間(2時間30分)毎に1回運転した場合は、1日 9.6回の運転となります。
34,4g× 9.6回 = 330g
  1ヶ月の消費量 330g× 30日 = 9,900g
これに降雪時のボイラー運転を追加加味すると、約10,300gとなります。
  冬期間の消費量 10,300g× 3.3ヶ月 = 33,990g
  灯油代の支出額 33,990g× 80円(税込み)= 2,719,000円 の支出見込みとなります。
 
<ボイラーの効率稼動を実施した場合の見込み額>
  運転回数1日4回「(6時間に1回運転):( 1時間運転・5時間休止のサイクル)」とした場合。
  1日の消費量 34,4g× 4回 = 137,6g
  1ヶ月の消費量 137,6g× 30日 = 4,128g
これに降雪時のボイラー稼動を加味すると、約4,450gとなります。
  冬期間の消費量 4,450g× 3.3ヶ月 = 14,685g の見込みとなります。
  年間支出額 14,685g× 円(税込み)= 1,175,000円の支出見込みとなります。
  効率的な稼動により 154.4万円程の支出減(節減)を図ることが可能となります。


なお、理事会によるボイラー運転管理が大変であれば、次のことを検討することも一つの方法です。

例 マンションの規模によりますが、特定の方に報酬を支払い実施する方法でも良いと考えます。
削減額の目安を参考としますが、本件の場合であれば次の報酬額を支払っても、大きな削減額を確実に達成できます。その削減額を、「修繕積立金」に振り替えをすると大きな財産の蓄積となります。

・報酬計算例
1日 1,000円の報酬とした場合。
12月1日から3月10日までの期間で100,000円(1,000円×100日)を要しても、144万円の削減が達成できる見込みでありますし、ボイラーにも余分負担をかけないヤサシイ稼動方法となり、ボイラー長持ちの一助になると考えます。



   

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