問題のある修繕積立金

はじめに

 「新築マンションには二つの問題がある」と先に開かれた第8回マンション管理セミナーで明らかに致しました。この情報をより所にして各管理組合は、特約期間中に建物・設備の不具合・瑕疵点検を行い、分譲業者に対して是正を請求し補修工事を行わせてきました。しかし、このような情報を熟知せず、分譲時の不具合箇所がそのままに放置されているマンションが多く存在している現状でもあります。
 また、第二の問題として、分譲時の修繕積立金が低く抑えられている問題を指摘してきました。これは従来から言われているように販売を促進するために設定した実態を無視した価格です。分譲会社が設定した当初の修繕積立金は必要な修繕費用の30%程度に抑えられている事実についても明らかにし、その是正の対策についても問題提起して参りました。
 本講座は第8回マンション管理セミナーで明らかにした内容を一層深めて、新築マンション住民が当該マンションの運営を進めるための情報として、理事会が活用されることを願っております。
 さて、本日の報告は「問題のある修繕積立金」をどのようにして改善して増額させるのか、という問題と不具合をどのようにして発見し、是正させたのか実際に管理組合が取り組んだ事例を紹介することと、新築マンションの全てに不具合と瑕疵がある事例を示すことにあります。
 また、特別報告として、非破壊装置によるコンクリートの点検について当該機器を開発された会社の代表から、その機器の実態を報告していただくことにしております。

実態からかけ離れた修繕積立金

 分譲時の管理費と修繕積立金は分譲会社と管理会社が決めて区分所有者に押しつけているのが一般的になって、その内容は、管理費は適正な価格を大幅に超える価格設定がなされている例が圧倒的であります。
 1m2当たり高いところで150円、安いところで90円となっており、分譲時の管理委託契約は歯止めのない高い契約になっています。
 しかし、その反面修繕積立金は1m2当たり30円という実態を無視した低い価格設定がなされている例もあり、最高で1m2当たり80円程度という現実です。

適正な積立金

 国土交通省が示した「マンション管理標準指針」では、修繕積立金の1戸当たりのモデル試算としてつぎのようになっております。
 それによれば、70戸のマンションでは1戸当たり月額13,585円〜17,446円、30戸のマンションでは1戸当たり月額11,257円〜14,467円となっております。
 この試算を念頭に、30年間で1戸の修繕費用を算定したところ概ね500万円〜600万円程度必要と判断されています。
 この算定が果たして適正な価格なのか当マンションネットの一級建築士が数量調書を基に精密な積算を行った結果つぎのようになりました。

数量調書に基づく正確な予測費用

67戸のマンションの場合は493万円
  数量調書にる予測費用330,450,000円÷総専有面積5,859.12m2÷30年÷12月=157円
57戸のマンションの場合は520万円
  数量調書にる予測費用296,590,000円÷総専有面積5,443.48m2÷30年÷12月=151円
44戸のマンションの場合は544万円
  数量調書にる予測費用239,200,000円÷総専有面積4,108.90m2÷30年÷12月=162円

 以上のとおり、マンションの規模が大きくなれば1戸当たりの必要経費は低くなり、戸数が少ない小規模マンションではその負担割合が大きくなります。

試算モデルケース

〇区分所有者 50戸、総専有面積 4,500m2
〇販売契約時に支払った修繕積立金一時金 1戸300,000円(総額 1,500万円)
〇30年間に必要な大規模修繕価格は1戸当たり 520万円と予測した
〇販売時の修繕積立金は1m2当たり 60円  〇1戸当たりの平均月額徴収額 5,400円
〇必要な1m2当たりの必要額 5,200,000円×50戸÷4,500m2÷30年÷12月=160円
〇必要な1戸当たりの平均月額必要額 14,400円
〇月額不足額 9,000円
〇月額不足額 9,000円

修繕積立金の積立対策

 分譲時の修繕積立金は現実を無視した低価格に設定されているために、この事実を早く発見して対策を立てなければ「一時金騒動」といわれるトラブルが発生しかねません。
対策1、修繕積立金の現状を理事会として認識すること
対策2、不足分全てを引き上げる手段は避けることが必要であること
対策3、一般会計(管理費会計)を見直して余剰金を得るよう、管理委託契約等の変更を行うこと
対策4、その結果、尚不足する場合は計画的な無理のない引き上げを提案すること
分譲時示された資金計画は「築年数が古くなっていくほど高くなっていく」現実を無視したもので、参考にならない。

マンションネットの活用

 以上の問題意識を働かした管理組合の運営が必要です。しかし、これらの問題をスムースに進めるためには多くの情報とノウハウの活用が求められます。
 その際、マンションネットの蓄積した情報の活用を是非おすすめいたします。
活用方法
その1、一般会計の概要経営分析を受けて財政状況の現実を理解すること
適正な管理委託契約になっているのかどうか、各種のメンテナンス契約が適正化、一般会計から余剰金が発生するのか、無駄な支出がないのか
その2、必要な修繕積立金はいくらなのか、算定を求めること
その3、建物の不具合・瑕疵点検のを行い事実を解明すること
その4、分譲会社との是正交渉に支援を求めること
その5、具体的な理事会の対処の方法に支援を求めること

 以上の支援を求めるには理事会決議が必要です。理事長個人からの要請でなく、あくまでも理事会全体としての意志が必要になります。


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