建築基準法に基づく
1.建築設備の定期検査報告書   (1回/年 )
2.特殊建築物等の定期調査報告書 (1回/3年)
3.エレベーターの定期検査報告書 (1回/年 )


T 建築物に要求される基本的性能と維持保全の重要性

1 点検実施体制

一般的に建築物が具備していなければならない安全性とは、本来の用法に従って、その建築物を使用している間に関係者の生命、健康及び財産に損害を与えないことと把握されている。安全性を具体的に定義づけると、概ね次の5項目が挙げられる。

(1) 構造耐力上の安全性

建築物が、自重・積載荷重・積雪・風圧・土圧・水圧又は地震その他の震動・衝撃により、崩壊・破壊・重大な変形等を起こさないこと。

(2) 防火性・耐火性

建築物が、火災時に崩壊・破壊・重大な変形を起こさないこと。

(3) 耐久性・耐候性

建築物が、腐朽・腐食その他の変成により、崩壊・破壊・重大な変形を起こさないこと。

(4) 使用上の安全性・避難上の安全性

建築物の使用にあたり、平常時又は地震・火災その他の非常時を問わず、関係者の生命・健康に損害を与えないこと。

(5) 良好な環境衛生条件の確保

健康に悪影響を与える衛生その他の環境条件から保護し、又は良好な人工的室内環境を有すること。


「特殊建築物に要求される安全性」

(1) 不特定又は多数の者の使用に供する。

(2) 火災発生のおそれが大きい、又は火災荷重が大きい。

(3) 火災時その他の非常時に生命・健康・財産に損害を与えるおそれが大きい。

(4) 周囲に与える公害・安全その他の影響が大きい。

このような特性から、特殊建築物には、構造・設備に対する特段の条件(単体規定)の附加と、その立地条件に関する特段の規制(集団規定)が行われている。


2.維持保全の重要性

 適切に造られた建築物や建築設備といえども、適正に使われていなければ、その性能発揮は期待できないし、安全性の確保も覚つかない。元来、何の性能でも「造り方」(設置・構造基準)と「使い方」(状態・維持保全基準)の両者を適切に期待することにより、その安全性を確保できるものである。
 しかし、現実には、安全性の確保のために、造り手側が使い手側の点検に期待する部分があり、使い手側では、特段の知識・訓練なしにふつうに建築物を使用していれば安全であるといったことがある。このため、「造り手」と「使い方」の間にギャップが生じ、このことが大きな災害をもたらすものと考えられている。
 さらには、物理的条件は経年劣化し、このギャップは時間経過とともに増大する事となる。
 ここに維持保全の重要性、さらには専門家によるチェックの必要性があり、日常の維持管理・改善処置に係る助力が重要となってくる。(図―1参照)

図―1


U 定期報告制度概要

1.定期報告制度について

(1) 建築物の安全性

建築物の安全性は、建築基準法の運用も含めて一般的には建築工事に重きをおいているのが現状です。

(2) 建築物の維持保全

建築基準法第8条では、建築物の所有者又は管理者は常に建築物を適法な状態に維持するように努めなければならないと規定し、工事完了後の建築物の維持保全は所有者又は管理者の責務とされています。この実効性を高める目的から昭和34年に特定の特殊建築物に対する定期報告の制度が設けられました。

(3) 特殊建築物の定期報告制度

近年、大規模建築物の増加、用途の複合化、建築設備の複雑化が急速に進展し、それにつれて人身事故を伴う災害の発生が多くなってきた。これらの現状に対処するため、昭和47年に建築基準法が改正され、今まで報告義務者である所有者又は管理者自らの調査で報告することができたことを、1・2級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者、つまり専門知識を有する者に調査・検査をさせてその結果を報告する現行の調査・検査制度になりました。また、昭和58年に定期報告をする特殊建築物等の建築物で階数が5以上で延べ面積1,000uを超えるものが指定できるように法改正されました。

(4) 定期報告の内容

定期報告の調査・検査項目は、建築物の防火、避難に関する事項を重点としていますが、地震、台風、雪害に対する安全上及び衛生上の面についても調査・検査の対象として報告が求められています。

(5) 定期報告に携わる調査・検査者

定期報告に携わる調査・検査者は、調査・検査の結果を専門的な知識で客観的な立場で判断し、併せて防災コンサルタント的な役割を期待しています。
 さらに、結果が著しく保安上危険なもの、あるいは法令に適合しないものであった場合は、特定行政庁の処置に結びつくことも考えられます。このように調査・検査者は、見方を変えれば、建築行政の代行的な役割を担っているともいえます。

(6) 道内各特定行政庁の定期報告制度の施行状況

道内各特定行政庁の定期報告制度の施行状況は、昭和36年から報告時期を定めていましたが、関係者への周知徹底は、十分といえない面がありました。その後、国の特殊建築物の指定方針の改正などが行われたのを期して、全道同一として、昭和55年から施行してきました。
 また、平成13年9月に発生した東京都新宿区歌舞伎町の雑居ビル火災などからの問題点として定期報告の制度や指導内容の法令への適合性が指摘され、これを契機に平成15年の省令改正で国による標準報告様式が規定されたところである。

(7) 地域公益法人の活用

社団法人北海道建築設計事務所協会が代行機関として昭和55年から業務を行っています。
昇降機については財団法人北海道建築指導センターが行っています。

2.定期報告関係法令について

  (報告・検査等)          建築基準法第6条第1項第1号
  (定期検査を要する建築物)  建築基準法施工令
  (定期報告)            建築基準法施行規則
  (特殊建築物の定期報告)   建築基準法施行細則(昭和48年北海道規則第9号)

3.定期報告対象建築物等の規模及び報告時期

(1)特殊建築物等の定期調査 マンション3階以上かつ床面積の合計が1,000uを超えるもの
                    報告時期は札幌市では6月1日〜11月30日
(2)建築設備の定期検査    報告時期は札幌市では6月1日〜11月30日
(3)昇降機等の定期報告    特定行政庁の規則による(設置された始期より1年)

4.特殊建築物等調査・建築設備検査・昇降機検査資格者について

各資格と調査・検査の関係

               区分
資格者

特殊建築物

建築設備

昇降機

一級建築士

ニ級建築士

建築基準適合判断資格者

特殊建築物調査資格者

×

×

建築設備検査資格者

×

×

昇降機検査資格者

×

×

5.既存建築物の総合的な防災対策と定期報告制度の関連について

(1) 建築物の防災について

既存不適格建築物の一定水準までの防災性能の向上

(2) 総合防災対策について

特に急がれるのが、既存不適格建築物に関する対策です。過去の災害事例からもこれら既存不適格建築物による災害は大惨事につながることが多い。


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